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電子記録債権とファクタリングの違い|公庫・地銀全て経験した経営者が選ぶ資金化

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電子記録債権(でんさい)は支払期日が確定した電子化された債権を銀行で安く割り引く選択肢、ファクタリングは売掛先に知られず最短即日で売掛金を現金化する選択肢です。手数料の安さで選ぶならでんさい割引、スピードと柔軟性で選ぶならファクタリングが基本軸になります。

私自身、日本政策金融公庫・鹿児島銀行・保証協会付き融資・民間ビジネスローンの全てを経験し、何度も資金繰りに苦しんできました。書類と審査に時間がかかる調達手段ばかりだと、入金が間に合わず詰むことが何度かあります。でんさい割引も銀行融資並みの審査を必要とするため、即日で現金が欲しい局面ではファクタリングを選ぶしかなかったというのが正直なところです。

まず違いを9項目で整理した比較表を示します。

比較項目電子記録債権(でんさい割引)ファクタリング
法的根拠電子記録債権法民法(債権譲渡)
利用前提でんさいネット加入(自社+取引先双方)なし(自社のみで完結)
取引先への通知必須(電子記録のため筒抜け)2社間なら不要
償還請求権あり(取引先が払えなければ自社が支払う)なし(ノンリコース型が主流)
手数料・割引料銀行1.5〜5.5%、ノンバンク3〜15%2社間8〜18%、3社間2〜9%
入金スピード数日〜2週間最短即日
審査の重点自社の信用力(融資並み)売掛先の信用力
個人事業主利用可だが審査が厳しい利用しやすい
会計処理電子記録債権勘定売掛金の譲渡

「とにかく明日までに現金が必要」という状況なら、まずファクタリングを起点に考えるのが現実的です。一方、支払期日まで1〜2ヶ月の余裕があり、手数料を1円でも安く抑えたい場面では、でんさい割引が有利になります。

小谷良太

資金繰りで何度も苦しんできた私の感覚だと、調達手段は1本に絞らず、状況で使い分けるのが現実的です。期日まで余裕があるならでんさい割引、明日までに必要ならファクタリング、長期投資なら公庫。この記事では、9項目の比較から状況別の選び方までを整理します。

目次

電子記録債権(でんさい)とは

電子記録債権(でんさい)とは、電子債権記録機関が電子記録することで発生や譲渡の効力が生じる金銭債権です。手形に代わる新しい金銭債権として、2008年の電子記録債権法施行を受けて2013年に「でんさいネット」が稼働しました。

電子記録債権の定義と法的根拠

電子記録債権は電子記録債権法に基づく独自の法的位置づけを持ちます。手形のように紙の証券を発行せず、電子データとしてでんさいネット(株式会社全銀電子債権ネットワーク)が記録原簿に登録することで権利が生まれます。

でんさいネット公式によれば、でんさいは「企業の資金調達と決済業務の効率化を目的として創設された、新しい形の金銭債権」と定義されています。手形のように所持人が直接権利を主張するのではなく、でんさいネットの記録原簿に記された内容が権利の根拠になるという点が、従来の手形や売掛債権との大きな違いです。

項目内容
法的根拠電子記録債権法(2008年施行)
運営機関株式会社全銀電子債権ネットワーク
稼働開始2013年
利用条件でんさいネット加入金融機関の口座保有

電子記録債権法の特徴は、「電子記録時に権利が発生する」というシンプルなルールにあります。手形のように振出から交付までの間に紛失するリスクや、売掛金のように二重譲渡で揉めるリスクが原則として発生しません。記録原簿にすべての権利関係を一元化しているため、第三者が見ても権利の所在が明確です。

でんさいネットの仕組み

でんさいネットを使うときは、債権者と債務者の双方が取引金融機関を通じて加入手続きを済ませる必要があります。みずほ・三井住友・三菱UFJ・りそななどの主要銀行はもちろん、地方銀行・信用金庫・信用組合の多くがでんさいネット参加金融機関として名前を連ねます。

利用開始後は、インターネットバンキングや銀行窓口から、金額・支払期日・債務者情報・債権者情報を入力し、電子記録を行うとでんさいが発生します。発生記録の手数料は金融機関により異なりますが、1件あたり220円〜880円程度が一般的です。

支払期日が到来すると、でんさいネットが期日管理を担い、債務者の口座から債権者の口座へ自動的に資金を振り替えます。手形のように銀行へ「取立依頼」を出す必要がなく、債権者は何もしなくても期日に入金される仕組みです。

期日前に資金化したい場合は、取引金融機関に「でんさい割引」を申し込むか、第三者へ「でんさい譲渡」で売却します。割引も譲渡も電子記録上で完結し、紙の裏書きは存在しません。

手形からでんさいへの移行背景

経済産業省と金融庁は、2026年までの紙の約束手形廃止を目指しています。中小企業庁の資料(約束手形の現金払い化)では、約束手形に代わる支払手段として「現金払い」「でんさい」「ファクタリング(売掛債権の活用)」を並べて検討しています。

つまり、でんさいとファクタリングは「手形からの移行先」として政策的にも並列に扱われている関係なのです。背景には、約束手形の支払サイトが長すぎて中小企業の資金繰りを圧迫しているという長年の課題があります。手形を受け取ってから現金化するまで90日〜120日かかるケースも珍しくなく、その間に運転資金が枯渇する中小企業は少なくありません。

政府は「2026年6月末までに紙の約束手形を廃止する」という大方針を示しており、すでに大企業から段階的に廃止を進めています。発注側の企業が紙の手形をやめると、その下請けや取引先は、必然的に「現金払い・でんさい・ファクタリング」のいずれかへ移行します。今この記事を読んでいる経営者の方も、近い将来必ずこの選択を迫られる場面が来ると考えてください。

ファクタリングとは

ファクタリングは、企業が保有する売掛金(売掛債権)を期日前にファクタリング会社へ売却し、現金化する資金調達方法です。融資ではなく債権の売買にあたるため、借入金として計上されず、信用情報にも影響しません。

ファクタリングの定義

ファクタリングは民法上の債権譲渡に基づきます。売掛金を譲渡すると、ファクタリング会社が手数料を差し引いた金額を売主へ支払います。回収リスクはファクタリング会社が負うため、売掛先が倒産しても売主に返済義務が生じないのが一般的です。

混同されやすい点ですが、ファクタリングは借入ではありません。会計処理は「売掛金の譲渡」であり、貸借対照表上は売掛金が現金に置き換わるだけです。負債を増やさないため、銀行融資の審査や信用情報に影響しないというのが、融資との大きな違いです。私自身、融資を申し込んだときに「ファクタリングを使っていると借入扱いされて評価が下がるのでは」と心配したことがありました。税理士に確認したところ「売掛債権の譲渡なので借入には計上されない」と整理してもらえて、ようやく安心したのを覚えています。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い

ファクタリングには2社間3社間の2つの契約形態があります。

項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング
当事者自社+ファクタリング会社自社+ファクタリング会社+売掛先
売掛先の同意不要必要
手数料8〜18%2〜9%
入金スピード最短即日1〜2週間
売掛先への通知なしあり

2社間ファクタリングはオンライン完結型が増えており、AI審査を導入する会社では数時間で入金まで完了するケースもあります。一方で3社間は売掛先の承諾を待つ必要があるため、どんなにスピード重視の会社でも最短1週間程度かかるのが実情です。手数料の安さを取るか、スピードと機密性を取るか、自社のニーズで使い分けます。

2社間と3社間の違いを詳しく知りたい方は、2社間と3社間ファクタリングの違いも参考にしてください。

売掛債権の譲渡という法的位置づけ

ファクタリングは2020年4月施行の改正民法で、債権譲渡に関する制限を緩和したことで広く使われるようになりました。譲渡禁止特約付きの売掛金でも、原則として譲渡が有効と扱われるようになっています。

これは中小企業にとって非常に大きな意味があります。改正前は、取引先との契約書に「債権譲渡禁止特約」が入っていると、その売掛金をファクタリングに回せないケースがありました。改正後は譲渡禁止特約があっても譲渡自体が有効となり、ファクタリングを使える売掛債権の範囲が大きく広がっています。法改正の背景には「中小企業の資金調達手段を増やす」という政策意図があり、政府もファクタリングを正規の資金調達手段として位置づけています。

電子記録債権とファクタリングの違い9項目を比較

ここからは、電子記録債権(主にでんさい割引・でんさい譲渡)とファクタリングの違いを、経営者が判断材料にしやすい9項目で具体的に比較します。

1. 法的根拠(電子記録債権法 vs 民法)

電子記録債権ファクタリング
根拠法電子記録債権法民法(債権譲渡)
権利の発生電子記録時点売掛先との取引発生時
第三者対抗要件電子記録確定日付ある通知または承諾

電子記録債権は独自法に基づく強い権利、ファクタリングは民法の枠内で運用する柔軟な仕組み、と覚えるとわかりやすいです。法的な強さでは電子記録債権が一歩リードしますが、その分制約も多いというのが実態です。具体的には「でんさいネットへの加入」「金融機関を通じた手続き」など、利用までの段取りが多いのが特徴です。

2. 利用前提(でんさいネット加入の有無)

でんさいの最大の制約は、自社と取引先の双方がでんさいネットに加入している必要があることです。取引先が未加入だと、そもそも利用できません。

でんさいネットの加入手続き自体は、取引のあるメインバンクを通じて申し込めば1〜2ヶ月程度で完了します。ただし、相手先の加入を待つのは別問題です。「うちは加入したから、御社も加入してください」と頼んでも、取引先が動いてくれる保証はありません。

一方ファクタリングは、自社とファクタリング会社の間だけで完結します。売掛先が中小零細企業でも、極端に言えば取引先が個人でも、ファクタリング会社が買い取れる売掛金であれば利用できます。「相手の都合に左右されない」という機動力が、ファクタリングの最大の強みです。

3. 取引先への通知の必要性

でんさいは電子記録の性質上、取引先に必ず利用状況を把握されます。譲渡記録も電子的に残るため、「資金繰りで動いている」ことが取引先に伝わる構造です。

これに対し、2社間ファクタリングは売掛先への通知も承諾も不要です。取引先に資金繰りの状況を知られたくない経営者にとっては、2社間ファクタリングの大きなメリットになります。

4. 償還請求権の有無(リコース/ノンリコース)

電子記録債権ファクタリング
償還請求権あり(リコース)なし(ノンリコース)が主流
売掛先倒産時自社が支払い義務を負うファクタリング会社が損失を負担

でんさい割引は形式的には「割引」ですが、債務者が支払不能になった場合に債権者(自社)が代わりに支払う義務を負います。手形割引と同じ構造です。

ファクタリングは原則ノンリコースで、売掛先が倒産しても自社に追加の支払い義務は生じません。貸し倒れリスクを切り離せるのは、ファクタリングの大きな価値です。

5. 手数料・割引料の相場

手数料の相場は以下の通りです。

区分手数料・割引料
銀行でのでんさい割引年1.5〜5.5%(利率)
ノンバンクでのでんさい割引年3〜15%(利率)
2社間ファクタリング8〜18%(手数料率)
3社間ファクタリング2〜9%(手数料率)

注意したいのは、でんさい割引は「年率」、ファクタリングは「手数料率」で表示する点です。たとえば支払期日まで60日100万円のでんさいを年率5%で割り引くと、割引料は約8,219円(100万円×60日÷365日×5%)になります。同じ100万円を2社間ファクタリング15%で売却すると、手数料は15万円。短期間の資金化なら、でんさい割引が圧倒的に安く済みます。

手数料の詳しい構造はファクタリング手数料の相場で別途解説しています。

小谷良太

私の経験では、融資申込みで一番大変だったのは書類作成と時間がかかることでした。でんさい割引も基本は銀行審査なので、書類と時間は融資と同じ感覚です。安く済むのは事実ですが、「今日中に現金が必要」という状況には合いません。

6. 入金スピード

電子記録債権ファクタリング
銀行でんさい割引数日〜2週間
ノンバンクでんさい割引1〜5営業日
2社間ファクタリング最短即日
3社間ファクタリング1〜2週間

最短即日入金を実現できるのは2社間ファクタリングだけです。当サイト掲載のファクタリング会社226社のうち、即日入金に対応しているのは148社(65%)にのぼります。資金需要が逼迫している経営者は、まずこの148社からファクタリングを検討するのが現実的です。

7. 審査基準(自社 vs 売掛先)

でんさい割引は自社の信用力を見ます。銀行融資と同じく、決算書・試算表・資金繰り表を求められ、赤字決算や債務超過があれば審査落ちすることもあります。私自身、創業期に銀行融資の審査を受けたとき、決算書の数字が悪いと「割引枠も使えない」と言われた感覚を覚えています。手元残高が100万を切ったような局面では、書類を揃える時間すら惜しいというのが本音でした。

小谷良太

手元残高100万を切った夜は、本当に眠れませんでした。役員報酬0を経験したのもこの頃です。決算書の数字が悪いと銀行はもう動いてくれない。そういう局面で「売掛先の信用力で見ます」と言われると、ようやく息ができる感覚になります。

ファクタリングは売掛先の信用力を見ます。自社が赤字でも、税金滞納があっても、売掛先が大手や上場企業など信用力の高い会社なら審査に通る可能性が高いのが特徴です。これは「銀行融資もでんさい割引も無理」という追い詰められた状況の経営者にとって、最後の砦になり得る仕組みです。

8. 個人事業主の利用可否

でんさいは個人事業主も利用できますが、金融機関の口座開設審査・でんさいネット加入審査をクリアする必要があり、ハードルが高めです。

ファクタリングは個人事業主向けの会社が多く、当サイト掲載のファクタリング会社226社のうち121社(54%)が個人事業主に対応しています。詳しくは個人事業主向けファクタリングを参照してください。

9. 会計処理・勘定科目の違い

仕訳の中心勘定科目消費税
電子記録債権電子記録債権/電子記録債務非課税
ファクタリング売掛金の譲渡/売上債権譲渡損非課税

どちらも金銭債権の譲渡なので消費税は非課税ですが、勘定科目が異なるため、経理処理の流れに変更が必要です。経理担当者と事前に擦り合わせておきましょう。

特にファクタリングの手数料は「売上債権譲渡損」として営業外費用または特別損失で計上するのが一般的です。融資の支払利息と違って税務上の取り扱いが少し変わるため、決算期をまたぐ場合は税理士と相談すると安心です。でんさいの割引料は「割引料」または「支払利息」として計上し、こちらは融資の利息と同じ感覚で処理できます。

でんさい割引のメリット・デメリット

ここからは、電子記録債権(特にでんさい割引)の長所と短所を整理します。

でんさい割引のメリット3つ

加えて、取立依頼の手間が不要という運用面のメリットも大きいです。紙の手形時代は、期日が近づくと銀行に取立依頼を出す必要があり、忘れると不渡りの引き金になることもありました。でんさいは期日に自動で口座振替されるため、経理担当者の手間が大幅に減ります。

でんさいネットの受取利用のメリットも公式情報として参考にできます。

でんさい割引のデメリット3つ

特に3つめの償還請求権は、経営者が見落としがちなリスクです。「銀行で割り引いたから資金化完了」と思っていたら、半年後に売掛先が倒産して、銀行から「ではこの金額を返してください」と請求されるケースが起こり得ます。割引料の安さに目を奪われると、リスクの大きさを見落とすことになります。

でんさい割引が向くケース

でんさい割引が向くケースのチェックリスト
  • 取引先と継続的に大型取引があり、双方がでんさいネット加入済み
  • 自社の決算内容が健全で銀行審査に通る
  • 入金まで2週間程度の余裕がある
  • 手数料を最小化したい

具体例で言えば、製造業で大手取引先からでんさいで支払いを受けているA社が、支払期日まで90日残った500万円の債権を銀行で割り引くケース。年率3%で割り引けば、割引料は約3.7万円(500万円×90日÷365日×3%)に収まります。同じ500万円を2社間ファクタリング手数料率10%で売却すると、手数料は50万円。差は約46万円です。「時間に余裕がある+取引先がでんさい加入済み+自社の決算が健全」なら、迷わずでんさい割引を選ぶべき場面です。

ファクタリングのメリット・デメリット

続いてファクタリングを整理します。

ファクタリングのメリット3つ

これに加えて、負債として計上されないため信用情報に傷がつかない点も大きな価値です。ファクタリングは債権の売買なので、金融機関の信用情報機関には登録されません。「次に銀行融資を申し込む予定がある」という経営者でも、影響を心配せずに使えます。

ファクタリングのデメリット3つ

私自身、もし当時ファクタリングを使っていたとしても、「常用しない」という規律は意識していたと思います。手数料率が10%を超えるサービスを毎月使い続けると、本業の利益率を簡単に超えてしまいます。あくまで「一時的なつなぎ」として活用するのが、健全な使い方です。

ファクタリングが向くケース

ファクタリングが向くケースのチェックリスト
  • 最短即日で現金が必要
  • 取引先に資金繰りを知られたくない
  • 自社の決算が赤字・債務超過などで銀行審査に通らない
  • 個人事業主・小規模企業
  • 一時的なつなぎ資金として一回限り使いたい

たとえば、給与振込日が3日後に迫っていて口座残高が足りないという状況なら、でんさい割引では間に合いません。2社間ファクタリングなら、当日中に審査・契約・入金まで完結できる会社があります。手数料は数十万円かかっても、給与遅延を回避できるなら結果的に経営判断としては正解、という場面は実際にあります。

具体的にどの会社を選べばよいかは、ファクタリング会社ランキングで各社の手数料・入金スピードを比較できます。

経営者の状況別・選び方フローチャート

ここからは、経営者の置かれた状況別に「どちらを選ぶべきか」を整理します。

取引先がでんさいネットに未加入の場合

ファクタリング一択。でんさいの前提条件が満たせないため、選択肢に入りません。

取引先にでんさいネット加入を依頼するという選択肢もありますが、実務上は「うちは紙の請求書で慣れている」「経理システムを変えたくない」と渋られるケースが多く、加入してもらうまでに数ヶ月かかるのが普通です。資金繰りで困っている経営者には、その時間的余裕はないはずです。素直にファクタリングを選びましょう。

取引先に資金繰りを知られたくない場合

2社間ファクタリング。でんさいは電子記録で取引先に通知が必須なので、機密性を保ちたいなら2社間ファクタリングが現実解です。

取引先に「資金繰りに困っている」と思われると、次回以降の取引条件が悪くなったり、与信枠を絞られたりするリスクがあります。継続取引のある重要顧客には知られたくない、というのが経営者の本音でしょう。2社間ファクタリングなら、契約から入金まですべてファクタリング会社と自社の2者で完結するため、売掛先に通知も承諾依頼も発生しません

最短即日で入金が必要な場合

2社間ファクタリング。でんさい割引は最速でも翌営業日、銀行なら数日かかります。最短即日入金は2社間ファクタリングだけの強みです。詳しくは即日入金対応のファクタリング会社で各社の対応時間を確認できます。

手数料を最小化したい場合

でんさい割引(銀行)。年率1.5〜5.5%は、ファクタリングのどの形態よりも低コストです。ただし審査と時間がかかる点は割り切る必要があります。

手数料を抑えたいが銀行審査に時間をかけられない、という中間ニーズなら、ノンバンクのでんさい割引(年率3〜15%)が選択肢に入ります。銀行よりは高いものの、2社間ファクタリングよりは安く、入金スピードも数営業日と現実的です。「ファクタリングは初めてで不安、でも銀行は遅すぎる」という場合の橋渡しとして使えます。

個人事業主の場合

ファクタリング寄り。でんさいネットは個人事業主の加入が可能ですが、審査ハードルが高めです。ファクタリングは当サイト掲載のファクタリング会社226社のうち121社が個人事業主対応なので、選択肢が圧倒的に広く、入金スピードも速い会社を見つけやすいのが特徴です。

特に建設業の一人親方やフリーランス系の業種では、元請けからの入金まで2〜3ヶ月待たされるケースが珍しくありません。その間の現場経費や生活費をどう賄うかが切実な問題になります。少額(10万円〜)からファクタリングを使えるオンライン完結型のサービスも増えているので、無理なく使える会社を探すのが現実的です。

でんさいとファクタリングの併用は可能か

両者は競合する関係ではなく、併用も可能です。

併用のパターン

3つの併用パターン
  • A取引先からの売掛金 → でんさいで受領→銀行で割引(低コスト)
  • B取引先からの売掛金 → 2社間ファクタリングで即日現金化(スピード優先)
  • C取引先からの売掛金 → 通常入金を待つ

このように、取引先ごとに最適な方法を選ぶ運用が現実的です。

併用時の注意点

併用時の3つの注意点
  • 手数料の二重発生に注意(同じ売掛金にでんさい割引とファクタリングを同時にかけることはできない)
  • 経理処理が複雑になるため、勘定科目を整理しておく
  • ファクタリング比率が高すぎると、本業の利益を圧迫する

経理処理を分けるコツ

でんさいは「電子記録債権」、ファクタリングは「売上債権譲渡損」など、それぞれ独立した勘定科目で記帳します。月次決算で手数料合計を可視化し、資金調達コストが売上に対して何%になっているかを定点観測しておくと、健全性を保ちやすくなります。

失敗しないための注意点

両者で失敗しないための注意点を整理します。

でんさい割引で気をつけるべき3つの落とし穴

ファクタリング業者選びで失敗しないコツ

ファクタリング業者選びのチェックリスト
  • 手数料率の根拠を明示する会社を選ぶ(曖昧な業者は要注意)
  • 契約書を必ず取得し、内容を理解してからサインする
  • 口コミを複数のソースで確認する
  • 償還請求権の有無を契約前に必ず確認する
  • 担当者の説明が丁寧で、急かしてこない会社を選ぶ

ファクマッチでは利用者から集めた口コミを当サイトの口コミ423件公開しており、各社の対応の実態を確認できます。多くの比較サイトでは星評価だけで終わりがちですが、ファクマッチは契約時のやり取り・入金スピード・担当者の対応まで踏み込んだ生の声を読めるのが強みです。「初回利用前に複数社で相見積もりを取った」「契約書の内容を税理士に見てもらった」という慎重な経営者ほど、結果的に良い条件で契約できているという傾向があります。

偽装ファクタリング(ヤミ金融)の見分け方

「ファクタリング」を名乗りながら、実態は貸金業のヤミ金融が紛れています。以下のサインがあれば要注意です。

偽装ファクタリング業者を見抜く6つのサイン
  • 償還請求権あり(リコース)の契約を強要してくる
  • 手数料が年利換算で30%超
  • 契約書を渡さない
  • 担保や保証人を要求する
  • 「給与ファクタリング」を勧めてくる(最高裁判例で違法と判断済み)
  • 金融庁の登録番号を提示できない

正規のファクタリング会社は、契約書に「償還請求権なし(ノンリコース)」と明記しており、手数料の根拠も丁寧に説明してくれます。逆に「即日OKだけど契約書は後で郵送」と言ってくる業者は危険信号です。

詳しい見分け方は悪質ファクタリングの見分け方で別途解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 電子記録債権とファクタリングはどちらが安いですか?

短期間の資金化なら、銀行のでんさい割引(年率1.5〜5.5%)が圧倒的に安く済みます。たとえば支払期日まで60日の100万円の債権を年率5%で割り引くと、割引料は約8,200円。同じ100万円を2社間ファクタリング15%で売却すると、手数料は15万円です。ただし、でんさい割引は審査と入金まで数日〜2週間かかるため、「今日中に現金が必要」という状況ではファクタリングしか選択肢になりません。

Q. でんさいネットに加入していないと電子記録債権は使えませんか?

はい、使えません。電子記録債権の発生・譲渡・割引はすべてでんさいネットの記録原簿で処理するため、利用者は事前にでんさいネット参加金融機関を通じて加入手続きを完了させる必要があります。さらに、取引相手もでんさいネットに加入していないと利用できません。

Q. 電子記録債権の譲渡で消費税はかかりますか?

かかりません。電子記録債権の譲渡は消費税法上「金銭債権の譲渡」にあたり、非課税取引とされています。ファクタリングも同様に非課税です。ただし、譲渡時にファクタリング会社や金融機関へ支払う手数料は、課税対象になる場合と非課税扱いの場合があるため、契約書で確認しましょう。

Q. ファクタリングを使うと信用情報に傷がつきますか?

つきません。ファクタリングは借入ではなく債権の売買にあたるため、金融機関の信用情報機関(CIC・JICC・KSC)には登録されません。借入金として計上されないので、銀行融資の審査にも影響しません。これは融資との大きな違いです。

Q. でんさいとファクタリングを同時に使うことはできますか?

同じ売掛金(または同じ電子記録債権)を同時に二重で資金化することはできません。ただし、取引先Aからの売掛金はでんさい割引、取引先Bからの売掛金は2社間ファクタリング、という形で取引先ごとに使い分けることは問題ありません。経理処理の手間は増えますが、コストと機動力のバランスを取る方法として有効です。

Q. 個人事業主でも電子記録債権を使えますか?

利用できます。ただし、でんさいネット参加金融機関の口座を持っていること、加入審査をクリアすることが前提です。法人と比べると審査ハードルが高めなので、まずは取引のあるメインバンクに相談してみてください。ファクタリングのほうが個人事業主には利用しやすい傾向があり、当サイト掲載のファクタリング会社226社のうち121社(54%)が個人事業主に対応しています。

Q. 紙の約束手形が廃止されると、でんさいとファクタリングのどちらに移行すべきですか?

取引先の対応状況で判断するのが現実的です。取引先がでんさいネット加入済みで継続的な大口取引があるならでんさい中心、取引先が小規模・多数で個別事情がバラバラならファクタリングを組み合わせる、という二段構えが王道です。政府は2026年6月末までの紙の約束手形廃止方針を示しているため、どちらか一方ではなく両方の口座・契約を用意しておくのが安全策です。

まとめ:自社の状況に合う選択肢を選ぶ

電子記録債権(でんさい割引)とファクタリングは、対立する制度ではなく使い分ける選択肢です。それぞれの特徴を整理します。

状況推奨
手数料を最小化したい・時間に余裕があるでんさい割引(銀行)
即日入金が必要2社間ファクタリング
取引先に知られたくない2社間ファクタリング
取引先がでんさい未加入ファクタリング
自社の決算が赤字ファクタリング
個人事業主ファクタリング寄り
小谷良太

経営者にとって一番大切なのは、選択肢を多く持って事業を継続させることです。私自身、資金繰りで苦しんでいた当時はファクタリングという選択肢を知らなかったので、検討すらできませんでした。役員報酬0を経験した時期もあります。だからこそ、でんさいとファクタリングのどちらも知った上で、自社に合う方を選んでほしいと思っています。

ご自身の状況に当てはめて、まずは比較表を見直してみてください。即日入金が必要ならファクタリング会社ランキングで各社の対応スピードと手数料を比較し、時間に余裕があれば取引銀行にでんさい割引の条件を相談してみる——この二段構えが、失敗しない選び方の出発点になります。

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この記事を書いた人

株式会社GoodWeather 代表取締役。2021年創業。事業拡大期に資金繰りの壁に直面し、銀行融資で乗り越えた経験を持つ。その過程で「融資が通らない経営者には、まともな比較情報すらない」と気づく。どの会社が自分に合うのか226社から探すのは現実的じゃない——その課題を解決するためにファクマッチを立ち上げた。

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