工事代金の入金前に材料費や外注費を払う場合、どのファクタリング会社へ相談すればよいのでしょうか。建設業の下請けが使える候補は、工事の進み具合と手元の書類で変わります。
受注直後と、完成して請求額が決まった工事では、使える商品が異なるためです。
この記事では、工事代金を早く資金化したい方に向け、20サービスの対象条件と、元請けへの通知・費用・必要書類を解説します。各社の公式案内をもとに、下請け企業や一人親方に合う候補を紹介します。
相談する前に、工事資料と必要額・支払期限をそろえ、見積もりの振込額が支払いに届くかを確かめましょう。
建設業の下請け向けファクタリング20サービスを比較

受注段階なら注文書対応、工事が終わっていれば請求額と入金予定に合うサービスが候補になります。下請け企業や一人親方は、手元の書類に加え、自社が法人か個人事業主かを伝えて相談しましょう。
工事がどこまで進んでいるかで、相談先を絞る
ファクタリングは、工事代金などを受け取る権利(債権)を売り、支払期日より前に資金化する方法です。受注した工事と、完成して請求額が決まった工事では、使えるサービスが変わります。
- 受注段階で注文書・請書がある:土建くんやビートレーディングの注文書対応窓口が候補です。トップ・マネジメントの受注書等の商品には、法人の設立期間・月商の条件があります。
- 納品等が完了し、請求書をまだ発行していない:PAYTODAYは、納品等が完了し、代金を受け取る権利が確定していれば申込み可能と案内しています。工事の完了・検収を示す資料を用意して相談しましょう。
- 請求書を発行し、入金を待っている:請求書の買取サービスから、事業形態や売掛先の条件に合う候補を選びましょう。
注文書は発注側が工事の内容を示す書類、請書は受注側がその注文を引き受ける書類です。検収は、元請けが工事の完成や内容を確かめる手続きで、請求額の確定に関わります。
出来高払いの工事では、今回資金化したい出来高分の請求額・支払日を整理しましょう。工事全体の完成前に相談するときは、元請けの確認が分かる出来高の内訳や検収書なども添えましょう。
工事全体が未完成の出来高分を買い取れるかは、今回分の資料を示して窓口ごとに相談する必要があります。
工事の取消しや金額変更が起きた際の負担も契約条件です。受注金額の全額を支払前に受け取れると予定を立てず、買取額と変更時の扱いを見積もりで確かめましょう。
20サービスの対象と主な条件
以下の表は、工事資料と利用者の条件から相談先を選ぶための一覧です。サービス名の異なる同一運営の商品も含めています。掲載順は優劣の順位ではありません。
2社間は利用者とファクタリング会社が契約し、3社間は元請けも加わる方式です。一人親方は「個人事業主」と明記したサービスから候補を探しましょう。
債権譲渡登記は、債権の譲渡を法務局へ記録する手続きです。
| サービス | 資金化の対象・書類 | 利用者と主な条件 |
|---|---|---|
| アクセルファクター | 契約・発注・請求に関する資料 | 法人向け窓口。工事の受注段階の対応は相談時に伝える |
| No.1 | 売掛金・請求書 | 法人・個人事業主。必要資料をそろえて申込み |
| PAYTODAY | 請求書。納品等の完了・債権確定後は発行前も申込対象 | 法人・個人事業主・フリーランス向け |
| トップ・マネジメント | 請求書、見積書・受注書・発注書の商品 | 受注書等の商品は設立半年以上・月商500万円以上の法人 |
| MSFJ | 売掛金・請求書 | 法人・個人事業主・フリーランス、建設業向け窓口あり |
| えんナビ | 売掛金・請求書 | 法人・個人事業主向け |
| トラストゲートウェイ | 提供・請求が済んだ売掛金 | 法人・個人事業主向け |
| アウル経済 | 請求書、通帳、決算書 | 中小企業向け、原則2社間。個人の受付は事前に相談 |
| ファクターズ | 請求書 | 中小企業向け、建設業の活用事例あり。個人の受付は事前に相談 |
| ラボル | 発行済みの法人宛て請求書 | フリーランス・個人事業主向け、1万円から |
| トラペイ | 発生済みの売掛金・請求書 | 公式サイトが案内するのは法人向け窓口 |
| イージーファクター | 請求書 | 法人・個人事業主、オンラインの2社間契約 |
| 共栄サポート | 発生済みの売掛金・請求書 | 原則法人。個人は法人宛て債権を相談 |
| 資金調達QUICK | 請求書 | 法人・フリーランス向け、Webで手続き |
| インボイスファクター | 発生済みの売掛金 | 2社間・3社間の手続きを案内。個人の受付は事前に相談 |
| ビートレーディング | 請求書、担当者へ相談する注文書買取 | 法人・個人事業主・フリーランス。希望額に応じた窓口あり |
| QuQuMo | 金額と元請けからの入金日が確定した請求書 | 法人・個人事業主、2社間・登記不要 |
| ベストファクター | 売掛金・請求書 | 法人・個人向け窓口、2社間・3社間の案内あり |
| 日本中小企業金融サポート機構 | 売掛金の資料、直近3か月の入出金履歴 | 法人・個人事業主向け |
| 土建くん | 請求書・注文書・請書 | 建設業の法人・個人事業主、一人親方向け |
公式案内の確認日:2026年11月2日。各サービスの出典は、以下の紹介に掲載しています。まず自社の工事段階と事業形態に合う候補を2〜3件に絞り、同じ必要額・希望日で見積もりを依頼しましょう。
法人で請求書を発行済みの場合は、たとえばMSFJ、イージーファクター、QuQuMoが比較候補です。3サービスは、運営会社の異なるオンラインの2社間窓口です。
表で個人事業主も対象としていても、広告ボタンが法人向けの場合があります。個人名義で申し込む場合は、各紹介の出典にある公式サイトから相談しましょう。
元請けへの連絡が気になる場合は、通常の通知と、自社から買取会社への送金が遅れた場合の連絡条件も確かめておきましょう。見積もりの読み方は、費用を引いた振込額の計算例で説明しています。
土建くんとファクターズ、No.1とイージーファクター、トラストゲートウェイとトラペイは、それぞれ運営会社が共通です。相見積もりではサービス名だけでなく、契約する運営会社も分けると条件の違いを確かめられます。
1. アクセルファクター

アクセルファクターの法人向けFAQでは、契約書・発注書・請求書などの資料と通帳を挙げ、個人事業主を対象外としています。
一方、広告先の一般説明には、法人・個人事業主の売掛債権を買い取るという記載もあります。申込み時は事業形態を伝え、今回利用する窓口の対象条件を確かめましょう。
将来の債権は家賃・委託費などの個別対応です。受注直後の工事なら、工事内容と支払条件を先に伝え、対象になるかを確かめましょう。
2. No.1

No.1の最短即日契約は、必要資料がすべてそろうことが前提です。FAQでは売掛先1社あたり5,000万円を基本とし、取引に応じた個別対応も示しています。
工事代金が大きい場合は、元請け別の請求額と、今回必要な資金を分けて伝えましょう。
3. PAYTODAY

請求書の発行前に資金化を相談したい場合は、PAYTODAYが候補です。FAQでは、納品等が完了して代金を受け取る権利が確定していれば、請求書発行前でも申込み可能としています。
現金化は、申込書類をすべて提出してから最短1営業日以内という案内です。工事の完了・検収を示す資料も含めて、提出予定を決めましょう。
4. トップ・マネジメント

トップ・マネジメントには、見積書・受注書・発注書を使う商品があります。この商品の対象は設立半年以上、月商500万円以上の法人で、個人事業主・フリーランスは利用できません。
請求書買取とは条件が分かれます。注文書の段階か、工事完了後かを伝え、今回の工事に合う商品を選びましょう。
5. MSFJ

MSFJの建設業向け窓口は、法人・個人事業主・フリーランスが対象です。売掛先への通知・承諾を伴わない2社間契約で、オンラインでの契約にも対応しています。
現場から手続きを進める場合は、必要資料の提出方法と、自社口座への振込予定を担当者に確かめておきましょう。
6. えんナビ

えんナビは法人・個人事業主向けに、2社間・3社間の両方を扱っています。申込み・相談は24時間365日受け付けています。
審査や振込が進む時刻は、受付時間とは別に確認が必要です。夜間や休日の相談でも支払期限を伝え、今回の入金予定を聞いておきましょう。
7. トラストゲートウェイ

トラストゲートウェイは、法人・個人事業主向けのオンラインサービスです。2社間・3社間を扱っていますが、公表手数料には、審査によって上限を超える場合があるとの注記があります。
資金計画には広告の手数料率だけでなく、費用をすべて引いた振込額を使いましょう。
8. アウル経済

アウル経済は中小企業向けで、契約は原則2社間です。平日15時までに必要書類を受け取った場合、当日中に審査結果を回答するとしています。
必要資料は直近の決算書・通帳・請求書です。審査結果の回答後に、契約と振込をいつ進められるかも確認しておきましょう。
9. ファクターズ

ファクターズは請求書買取を扱い、建設業の活用事例を掲載しています。入金は最短4時間、午前中の申込みなら最短15時という案内です。
運営会社は土建くんと共通です。同じ工事について見積もりを取る場合も、対象商品と手続きの違いを確かめましょう。
10. ラボル

ラボルは、フリーランス・個人事業主の法人宛て請求書を、1万円から買い取るサービスです。買取額の10%が手数料としてかかります。
24時間365日の振込は審査完了後の対応です。夜間や休日の入金を希望する場合は、審査の実施時間も確かめておきましょう。
11. トラペイ

トラペイのオンライン請求書買取は法人向けです。公表手数料には、審査によって上限を超える場合があるとの注記があります。
運営主体はトラストゲートウェイと共通です。見積書には、サービス名に加え、今回の契約方式と契約する会社名も記載してもらいましょう。
12. イージーファクター

イージーファクターは、法人・個人事業主向けのオンライン2社間サービスです。公表手数料は2〜8%で、書類がすべてそろうことを前提に最短60分での入金としています。面談はZoom、契約はクラウドサインを使います。
No.1の別サービスなので、見積もりを取るときは、それぞれの窓口の商品条件を分けて確かめましょう。
13. 共栄サポート

共栄サポートは原則法人向けですが、個人事業主も法人宛ての債権なら相談の対象です。2社間・3社間を扱い、3社間では元請けへの通知と承諾が必要になります。
支払いを急ぐ場合は、希望する方式と支払期限を一緒に伝えましょう。
14. 資金調達QUICK

資金調達QUICKは、法人・フリーランス向けのWeb完結型請求書買取サービスです。同じ公式ページに「最短10分」と「最短2時間」の両方の表示があります。
資料提出から審査・契約までの予定を伝え、自社口座へいつ振り込まれるかを確かめましょう。
15. インボイスファクター

インボイスファクターは、発生済みの売掛金を対象に2社間・3社間を扱っています。公式サイトには、来店不要・最短即日との表示があります。
現場から資料を送るときは、原本の郵送が必要かどうかも含め、今回の手続き方法を確かめましょう。
16. ビートレーディング

ビートレーディングの注文書買取は2社間です。必要資料は注文書・発注書と、直近3か月の入出金明細で、契約後は最短翌日の入金としています。
注文書買取は担当者へ相談する窓口を使います。請求書を買い取る通常のオンライン窓口とは、手続きを分けて進めましょう。
17. QuQuMo

QuQuMoは、法人・個人事業主向けのオンライン2社間サービスで、通知・登記は不要としています。必要資料は、請求額と元請けからの入金日が決まった請求書、直近3か月の全口座分の通帳、本人確認書類などです。
個人事業主は、開業届や確定申告書などもそろえましょう。運営会社はアクティブサポートなので、QuQuMoと運営会社を異なる2社として候補に数えないようにしましょう。
別窓口:アクティブサポートの公式サイト(PR・法人向け・300万円までの少額買取)
18. ベストファクター

ベストファクターは2社間・3社間を扱い、個人事業主向けは主に2社間です。最短6時間という表示は、審査に必要な書類がそろうことが条件になっています。
元請けとの取引が分かる資料も準備し、今回の工事代金がいつ振り込まれるかを聞いておきましょう。
19. 日本中小企業金融サポート機構

日本中小企業金融サポート機構の一般窓口では、入出金履歴と売掛金の資料が必要です。審査は最短30分、振込は最短3時間としています。
オンラインサービスFACTOR+Uとは窓口も最短表示も異なります。資金繰りの相談もしたいかを伝え、利用する窓口を選びましょう。
20. 土建くん

土建くんは、受注段階の注文書・請書から相談できる建設業向けサービスです。一人親方や小規模工務店も対象で、2社間・3社間の選択肢があります。
完成後の一括払いか、工事の進みに応じた出来高払いかを伝え、今回の工事で資金化できる金額を確かめましょう。
元請けへの通知・送金・登記は契約でどう決まる?

元請けへの通知を伴わずに進めたい場合は、2社間ファクタリングが候補です。通常の取引での通知に加え、回収した工事代金の送金期限と、遅れた場合の連絡条件まで契約書で確かめましょう。ラボルのFAQには、同社への振込が遅れる場合に取引先へ連絡することがあると明記されています。
2社間と3社間では、工事代金を渡す相手が変わる
元請けが契約に関わるかによって、手続きと回収後のお金の流れが変わります。元請けの協力を得て進める3社間では、工事代金の回収先はファクタリング会社です。
| 契約方式 | 契約に関わる相手 | 元請けからの支払いと送金 |
|---|---|---|
| 2社間 | 下請けとファクタリング会社 | 元請けから下請けが工事代金を受け取り、契約で定めた期限までにファクタリング会社へ送金する方式 |
| 3社間 | 下請け・ファクタリング会社・元請け | 元請けへ通知・承諾の手続きを行い、元請けからファクタリング会社へ直接支払う方式 |
2社間で工事代金を回収した場合、売却済みの分は送金に充てる資金です。材料費などに使うと送金できなくなるため、入金日と送金期限を資金繰り表へ一緒に記入しておきましょう。
3社間では、元請けの承諾に必要な日数も資金化までの予定へ含めます。元請けの経理担当者へ相談できるかどうかで、選べる方式が変わります。
出典:ラボル、トラストゲートウェイ・ファクタリングの仕組み、日本中小企業金融サポート機構・ファクタリング(2026年11月2日確認)。
債権譲渡登記と元請けへの通知は、別の手続き
債権譲渡登記は、法人による金銭債権の譲渡などを法務局へ記録する制度です。売却した権利を、元請け以外の第三者に対して主張するために利用します。
法務省は、登記をした後、元請けへ登記事項証明書を交付して通知するなどの手続きで、元請けに対しても譲渡を主張できると説明しています。登記の有無と、元請けへ連絡する条件は、それぞれ契約で確かめる項目です。
個人事業主は、この登記制度の対象となる譲渡人に含まれません。法人が利用する場合は、登記するかどうかに加え、登記費用が手取り額から引かれるかも見積書で確かめましょう。
出典:法務省・債権譲渡登記制度(2026年11月2日確認)。
手数料より手取り額と次の支払いを確かめる

見積もりの最終振込額は、今回売却する債権額から費用を引いた金額です。材料費や外注費に必要な額へ届くかを確かめましょう。手数料率が低い見積もりでも、ほかの費用で手取りが減ることがあります。
手数料率が低くても、振込額が少ないことがある
次の表は、同じ300万円の請求書を売る仮の計算例です。特定のサービスの料金を示したものではありません。
| 見積もり | 手数料 | その他費用 | 振込額 |
|---|---|---|---|
| A | 15万円 | 0円 | 285万円 |
| B | 12万円 | 5万円 | 283万円 |
Aの手数料率は5%、Bは4%です。それでもBはその他費用を含めると、振込額がAより2万円少なくなります。材料費に285万円必要なら、Aは足り、Bは2万円不足します。
見積もりを依頼する際は、同じ請求書・希望日・必要額を伝えましょう。最終振込額に加え、振込手数料や登記費用など、別に支払う費用も書面に残すと、必要額へ届くか計算できます。
工事代金の入金後にも、次の現場の資金を残す
工事代金を前倒しして受け取ると、その分を元請けの支払日に改めて受け取ることはできません。2社間で下請けの口座へ入る代金も、売却済みの分はファクタリング会社へ送金します。
先ほどの例で300万円の債権を全額売った場合、次の現場の材料費は、ほかの未売却の工事代金や預金から支払う計画が必要です。今回の支払いだけでなく、元請けの支払日以降の入出金も日付順に並べましょう。
高額な手数料によって、かえって資金繰りが悪化する危険は金融庁も注意喚起しています。利用後も残高が不足するなら、買取額を増やすだけでなく、融資や工事の利益率・支払条件の見直しも必要です。
出典:金融庁・ファクタリングの利用に関する注意喚起(2026年11月2日確認)。
申込み前にそろえる書類と入金までの流れ

申込みには、工事代金の内容と入金予定を示す資料が必要です。請求書や注文書だけでなく、工事の進捗や元請けとの取引を示す資料も、手元へまとめておきましょう。
受注・工事完了・請求確定の資料をそろえる
工事の状況を説明する資料と、これまでの取引や本人を確認する資料では、役割が異なります。
| 資料の役割 | 用意するものの例 | 伝える内容 |
|---|---|---|
| 工事内容と代金の約束 | 工事請負契約書、注文書、請書 | 誰から何の工事を受注し、いくら受け取るか |
| 工事の進捗と請求額 | 請求書、完了・検収を示す資料、出来高の資料 | 今回資金化したい代金が、どの段階まで確定しているか |
| 元請けとの取引 | 通帳の入出金履歴、取引の連絡記録 | 過去の入金と今回の支払予定 |
| 申込者の確認 | 本人確認書類、決算書・確定申告書など | 法人か個人事業主か、事業と申込者の情報 |
上記は準備の例で、必要書類はサービスごとに決まります。追加工事や工期変更がある場合は、変更後の金額と支払予定が分かる資料もそろえましょう。古い契約金額のまま申し込むと、今回の請求内容を説明し直す必要が生じます。
書類提出から契約までに、入金予定日をそろえる
手続きは、申込み・資料提出、審査と見積もり、契約、振込の順で進みます。3社間では、元請けの承諾なども必要です。
- 工事段階、請求額、必要な手取り額、支払期限を伝える。
- 必要資料を提出し、費用と最終振込額の見積もりを受け取る。
- 契約方式、元請けへの通知、回収後の送金条件を契約書で読む。
- 契約と手続きを終え、振込予定を確かめる。
「最短即日」という表示があっても、審査の回答と入金は別の段階です。資料の不足や申込時刻で予定が変わるため、支払期限に間に合うかは、今回の資料を提出した後の回答で確かめましょう。
資金不足が続くときは融資や支払条件も検討する

毎月の資金不足が続く場合は、融資や元請けとの支払条件の見直しも含めて計画を立てましょう。ファクタリングは売掛金の入金を早める方法なので、受注時の利益や工事代金の総額を増やすものではありません。
継続する運転資金は、金融機関へ相談する
次の工事の材料費や人件費が継続して必要なら、取引銀行や日本政策金融公庫の事業資金が相談先になります。公庫は、小規模事業者・個人事業主向けと、中小企業向けの融資制度を案内しています。
融資を相談する際も、必要額と支払期限を伝えることが大切です。毎月の返済を加えても材料費と給与を払えるか、工事別の入出金と一緒に資金繰り表へ記入しておきましょう。
出典:日本政策金融公庫・事業資金(2026年11月2日確認)。
元請けへ、出来高払いや中間払いを相談する
材料費などを長期間立て替える工事では、出来高払いに加え、中間払いの相談も資金不足を減らす方法になります。中間払いは、工事途中の決めた時点で、代金の一部を受け取る方法です。工事の進捗と支出予定を示し、次の契約も含めて支払条件を話し合いましょう。
すでに契約の支払日を過ぎている場合は、請求の根拠と元請けの説明を記録する必要があります。国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインは、下請代金の支払保留・遅延を取り上げています。契約上の扱いに疑問があれば、管轄の建設業担当部局等へ契約書を示して相談しましょう。
出典:国土交通省・建設業法令遵守ガイドライン第12版(2026年11月2日確認)。
下請債権保全支援事業は、保証と買取を支援する
国土交通省の下請債権保全支援事業は、下請建設企業や資材業者が、元請けに持つ債権の保証を支援する制度です。金額が確定している個別債権の買取も対象となり、制度は令和9年3月末まで延長されています。
元請けの不払いに備える保証と、支払期日前の資金化を目的とする買取では、役割が変わります。自社の工事代金がどちらの対象となるか、取扱会社へ工事内容と契約資料を示して相談しましょう。
出典:国土交通省・下請債権保全支援事業(2026年11月2日確認)。
契約前に避けたい取引と確認する条件

契約前には、工事代金を回収できなかった場合の負担と、見積もり・契約書の内容を確かめましょう。急ぎの支払いがあっても、説明と書面が食い違うまま署名しないことが大切です。
回収不能時の買戻しや自己資金での支払いを確かめる
償還請求権は、売掛先から回収できないときに、利用者へ支払いを求める権利です。金融庁は、回収できない場合の債権の買戻しや、売主自身の資金による支払いなどを求める取引に注意を促しています。
契約書にノンリコース(償還請求権なし)と書かれていても、実際の条件を読む必要があります。元請けが支払わない場合と、利用者が契約に違反した場合の負担を分け、説明を受けてから契約しましょう。
契約書を受け取り、同じ工事代金を重複して売らない
見積もりと契約書では、売却する工事代金、すべての費用、振込額、入金予定、送金期限が一致しているかを確かめましょう。契約書を渡さない、書面と説明が違う場合は、条件を文書で回答してもらう必要があります。
また、同じ工事代金の債権を、複数の会社へ重複して売らないようにしましょう。注文書で資金化した後に請求書を発行・再発行した場合も、すでに売却した代金かを確かめる必要があります。工事名・請求先・請求日・金額・売却先を一覧にすると、複数現場の債権を管理できます。
出典:金融庁・ファクタリングの利用に関する注意喚起(2026年11月2日確認)。
まとめ|工事の進捗・通知・手取り額をそろえて選ぶ

建設業の下請けが利用するファクタリングは、工事段階と事業形態によって候補が変わります。
- 受注段階なら注文書対応、工事完了後なら請求額と入金予定に合う窓口を探す。
- 一人親方は、利用者の事業形態と、元請けが法人か個人かを伝える。
- 元請けへの通知、登記、回収した代金の送金条件を契約書で確かめる。
- 見積もりは最終振込額で比べ、利用後の支払いに必要な資金も残す。
まずは手元の工事資料と、必要額・支払期限をそろえ、運営会社の異なる複数の候補へ同じ条件で見積もりを依頼しましょう。振込額と手続きの違いを確かめながら、自社の現場と資金計画に合うサービスを選んでいきましょう。

