ビジネスローンを使ったときに迷いやすいのが、「返済額を経費にできるのか」という点です。
結論からいうと、ビジネスローンの返済額をそのまま全額経費にすることはできません。借りたお金の元金返済は、借入金を返しているだけなので経費ではありません。一方で、事業のために借りたビジネスローンの利息は、経費として処理できる可能性があります。
ビジネスローンの経費処理で大切なのは、元金・利息・手数料を分けて見ることです。
この記事では、ビジネスローンの元金、利息、手数料、保証料の扱いと、借入時・返済時の仕訳例を整理します。具体的な借入先を比較したい方は、個人事業主向けビジネスローン34サービス比較も確認してください。
ビジネスローンで経費にできるもの・できないもの
まずは、経費にできるものとできないものを分けます。
| 項目 | 経費処理の考え方 | 主な勘定科目 |
|---|---|---|
| 借入元金 | 経費にならない | 借入金、短期借入金、長期借入金 |
| 返済元金 | 経費にならない | 借入金の減少 |
| 利息 | 事業用借入なら経費になり得る | 支払利息、利子割引料 |
| 事務手数料 | 事業用なら経費になり得る | 支払手数料など |
| 保証料 | 内容・期間で処理が変わる | 支払手数料、長期前払費用など |
| 印紙代 | 契約内容により経費処理 | 租税公課など |
国税庁のタックスアンサーでも、業務用資産の購入など業務のための借入金の利息は必要経費になる旨が示されています。一方で、借入金の元本に相当する返済額は必要経費になりません。
元金返済は経費にならない
ビジネスローンで100万円を借りた場合、その100万円は売上ではなく借入金です。返済するときも、元金部分は借入金を減らす処理になります。
たとえば、毎月5万円を返済しているとしても、その5万円すべてが経費になるわけではありません。返済額の中に元金と利息が含まれている場合、元金部分は借入金の返済、利息部分だけが経費候補になります。
「毎月返済している金額」ではなく、「返済額のうち利息がいくらか」を分けて確認してください。
事業用借入の利息は経費になる
ビジネスローンを事業資金として使っている場合、利息は事業に必要な資金調達コストとして処理できます。
個人事業主なら、利子割引料や支払利息として処理することが多いです。法人でも、支払利息として損金処理するのが一般的です。
ただし、借入金の使い道が事業と無関係な場合は注意が必要です。生活費やプライベートな支出に使った借入の利息まで、事業経費として処理することはできません。
手数料・保証料・印紙代は内容で処理が変わる
ビジネスローンでは、利息以外に事務手数料、保証料、印紙代、振込手数料などが発生することがあります。
これらは事業用借入に関係する費用であれば経費処理の対象になり得ます。ただし、保証料のように一定期間の保証に対応する費用は、金額や契約期間によって一括で経費にするのか、期間に応じて処理するのかが変わる場合があります。
保証料や大きな手数料がある場合は、契約書と明細を残し、税理士や会計担当者に確認してください。
ビジネスローン利用時の勘定科目
ビジネスローンの処理では、借りた時、返した時、費用が発生した時を分けます。
借入時は借入金で処理する
ビジネスローンで資金を受け取った時は、借入金として処理します。
たとえば、100万円を借りて普通預金に入金された場合は、次のような考え方です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,000,000円 | 借入金 | 1,000,000円 |
入金されたからといって、売上や雑収入にはしません。借入は将来返す必要があるため、負債として管理します。
返済時は元金と利息を分ける
返済時は、元金と利息を分けて仕訳します。
たとえば、55,000円を返済し、その内訳が元金50,000円、利息5,000円だった場合は、次のように考えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借入金 | 50,000円 | 普通預金 | 55,000円 |
| 支払利息 | 5,000円 |
返済予定表や明細で、元金と利息の内訳を必ず確認してください。
内訳が分からないまま返済額をまとめて経費にすると、元金まで経費にしてしまうミスが起きます。
個人利用分が混ざる場合は按分する
個人事業主の場合、借入金を事業と生活費の両方に使ってしまうケースがあります。
この場合、事業に使った部分と個人利用分を分けて考える必要があります。全額を事業経費にするのは危険です。
本来は、ビジネスローンを受ける時点で、入金口座と使い道を事業用に限定しておくのが安全です。事業用口座に入れ、支払いも事業用口座から行えば、後で説明しやすくなります。
仕訳例で見るビジネスローンの処理
ここでは、代表的な仕訳例を見ます。
100万円を借りた時の仕訳
100万円を借りて普通預金に入金された場合は、借入金として処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,000,000円 | 借入金 | 1,000,000円 |
この時点では、経費は発生していません。借りたお金は収入ではなく、返済義務のある負債です。
毎月返済した時の仕訳
返済額60,000円のうち、元金52,000円、利息8,000円だった場合は、次のように分けます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借入金 | 52,000円 | 普通預金 | 60,000円 |
| 支払利息 | 8,000円 |
この仕訳では、経費になるのは支払利息8,000円です。借入金52,000円は負債の返済であり、経費ではありません。
事務手数料や保証料がある時の仕訳
借入時に事務手数料10,000円が差し引かれ、実際の入金が990,000円だった場合は、次のように処理することがあります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 990,000円 | 借入金 | 1,000,000円 |
| 支払手数料 | 10,000円 |
ただし、保証料や手数料の性質によっては、長期前払費用などで期間配分が必要になることがあります。
金額が大きい手数料や複数年に対応する保証料は、契約期間に応じた処理が必要になる場合があります。
個人事業主が確定申告で注意すること
個人事業主は、事業用と私用の区分が特に重要です。
事業用口座と個人口座を分ける
ビジネスローンを受けるなら、できるだけ事業用口座で入出金を管理してください。
個人口座に入金し、生活費と混ざった状態で使うと、後から事業用支出だったことを説明しにくくなります。
事業用口座で借入、仕入、外注費、家賃、返済を管理すれば、帳簿付けも確認もしやすくなります。
利子割引料・支払利息を確認する
個人事業主の会計ソフトでは、借入金利息を「利子割引料」として処理するケースがあります。
会計ソフトや税理士の方針によって、支払利息を使う場合もあります。大切なのは、元金と利息を混ぜないことです。
返済明細に元金と利息の内訳がない場合は、金融機関や貸金業者に返済予定表を確認してください。
家事按分が必要な借入は慎重に処理する
ビジネスローンの資金を、事業用の仕入と生活費の両方に使った場合、利息も全額を経費にしにくくなります。
たとえば、借入金の70%を事業用、30%を私用に使ったなら、利息も事業用部分だけを経費にする考え方が必要になります。
そもそも事業資金として借りたお金を私用に使うと、資金繰りも帳簿も崩れやすくなります。借入時点で用途を分けてください。
法人が決算で注意すること
法人の場合も、元金と利息を分ける考え方は同じです。
短期借入金・長期借入金を分ける
返済期限が1年以内か、1年を超えるかによって、短期借入金・長期借入金を分けることがあります。
月次の資金繰りを管理するなら、借入先、借入残高、金利、返済日、完済予定日を一覧にしてください。
返済予定表と帳簿残高がズレると、決算時に修正が必要になります。
役員借入金と混同しない
法人では、代表者から会社へ貸し付けたお金を役員借入金として処理することがあります。
ビジネスローンは金融機関や貸金業者からの借入です。役員借入金とは性質が違うため、帳簿上も分けて管理します。
借入先ごとに補助科目を作ると、残高確認がしやすくなります。
借り換え時は旧借入の返済と新借入を分ける
ビジネスローンを借り換える場合は、新しく借りた処理と、旧借入を返済した処理を分けます。
借り換えによって入金と返済が同じ日に動くと、帳簿上は複雑に見えます。新借入、旧借入返済、繰上返済手数料、未払利息をそれぞれ確認してください。
借り換えを検討している場合は、ビジネスローン借り換えとはも確認してください。
経費になるから借りる、で判断しない
利息を経費にできる可能性があるからといって、ビジネスローンを安易に使うのは危険です。
経費化できるのは利息部分だけ
ビジネスローンの利息を経費にできても、元金返済は経費になりません。
100万円を借りて110万円返す場合、経費になる可能性があるのは利息部分です。返済総額すべてが税金を減らすわけではありません。
「経費になるから得」ではなく、「資金繰りを守るために必要なコストか」で判断してください。
金利が高いと資金繰りを圧迫する
ビジネスローンは、銀行融資や公庫融資より金利が高くなることがあります。
短期のつなぎとして使うなら有効な場面もありますが、長期で使い続けると利息負担が重くなります。
借入前に、毎月返済額、利息総額、完済予定日、売上入金予定を並べて確認してください。
借り換えやファクタリングとの使い分け
返済負担が重い場合は、借り換えやリスケ相談が必要な場合があります。
一方で、数日〜数週間の入金待ちを埋めたいだけなら、売掛金を資金化するファクタリングの方が目的に合うケースもあります。
ファクタリングは借入ではありませんが、手数料がかかります。資金調達方法ごとに、会計処理・コスト・スピード・審査の見られ方が違います。
短期資金の候補を見たい場合は、売掛金ファクタリングとはや即日入金ファクタリングランキングも参考にしてください。
よくある質問
ビジネスローンの返済は全額経費になりますか?
全額は経費になりません。返済額のうち、元金部分は借入金の返済であり、経費ではありません。事業用借入の利息部分は、経費として処理できる可能性があります。
利息はどの勘定科目に入れますか?
個人事業主では利子割引料、法人では支払利息を使うことが多いです。ただし、会計ソフトや顧問税理士の方針により処理名が異なる場合があります。
保証料は一括で経費にできますか?
保証料の内容、金額、契約期間によって処理が変わる場合があります。少額なら支払手数料などで処理することがありますが、複数年に対応する保証料は期間配分が必要になることもあります。
個人事業主のプライベート借入は経費にできますか?
できません。事業と関係のない借入金の利息は、事業の必要経費にはなりません。事業用と私用が混ざる場合は、事業用部分を説明できるように管理してください。
ビジネスローンとファクタリングの経費処理は同じですか?
同じではありません。ビジネスローンは借入であり、元金と利息を分けます。ファクタリングは売掛債権の資金化で、手数料や売却損の処理が論点になります。契約内容によって処理が変わるため、会計担当者に確認してください。
ビジネスローンの経費処理は元金と利息を分けて考える
ビジネスローンは、返済額をそのまま経費にするものではありません。
元金は借入金の返済、利息は事業用借入なら経費候補、手数料や保証料は内容によって処理が変わります。
ビジネスローンの帳簿処理で迷ったら、返済額を「元金」「利息」「手数料」に分けるところから始めてください。
借入を検討している段階なら、金利だけでなく、毎月返済額と資金繰りへの影響も確認しましょう。具体的な借入先を比較する場合は、個人事業主向けビジネスローン34サービス比較を確認できます。
