本記事は広告・PRを含みます。法律判断は契約内容や取引実態によって変わるため、本文では一般的な確認点として解説しています。不安がある場合は、契約先、弁護士、公的相談窓口へ確認してください。
ファクタリングの二重譲渡とは、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ譲渡することです。たとえば、A社に売却済みの請求書を、別のB社にも出して資金化するようなケースが該当します。
複数社へ見積もり相談をすること自体と、同じ請求書で複数社と契約することは別です。条件を比較する段階なら問題になりにくい一方で、契約済み・入金済みの売掛金を別会社へ再度出すと、契約トラブルや法的責任につながるおそれがあります。
見積もり相談は比較の範囲ですが、同じ請求書を複数社へ契約することは避ける必要があります。
この記事では、ファクタリングの二重譲渡にあたるケース・あたらないケース、発覚しやすい理由、すでに同じ請求書を出してしまった可能性があるときの初動、防止チェックリストを整理します。
- 二重譲渡とは何か
- 相見積もりと二重譲渡の違い
- 同じ請求書を複数社へ出すリスク
- やってしまった可能性があるときの初動
- 二重譲渡を防ぐ請求書管理の方法
ファクタリングの二重譲渡とは
ファクタリングの二重譲渡を理解するには、まず「売掛先が同じか」ではなく「売掛債権が同じか」を見る必要があります。
売掛債権とは、取引先に商品やサービスを提供し、後日代金を受け取る権利のことです。ファクタリングでは、この売掛債権をファクタリング会社へ譲渡して、支払期日前に資金化します。
二重譲渡は、すでに譲渡した売掛債権を、別の相手にも譲渡する状態です。ファクタリングでいえば、同じ請求書、同じ支払期日、同じ売掛先、同じ対象案件の売掛金を、複数のファクタリング会社へ売却するようなケースです。
同じ売掛債権を複数社へ譲渡すること
たとえば、A社に対する100万円の請求書を、ファクタリング会社Xへ譲渡して80万円を受け取ったとします。その後、同じ100万円の請求書をファクタリング会社Yにも提出し、再度資金化すると、二重譲渡の問題が起きます。
この場合、売掛先から支払われる100万円は1回だけです。それにもかかわらず、X社とY社の両方が「自社が譲り受けた債権だ」と考える状態になります。売掛先が誰に支払えばよいのか、回収権限はどちらにあるのか、利用者がどちらへ精算すべきなのかが衝突します。
本人としては「あとで調整するつもりだった」「資金繰りが一時的に厳しかった」と考えていても、契約上は同じ債権を複数社へ出した状態です。これは単なる比較や相談ではありません。
相見積もりや複数社への相談とは違う
ファクタリングを使う前に、複数社へ条件を聞くこと自体は、二重譲渡とは別です。手数料、入金速度、必要書類、売掛先通知の有無を比較するために、複数社へ見積もり相談することはあります。
大事なのは、どの時点で契約したのかです。
見積もりだけなら、まだ売掛債権を譲渡したとはいえません。しかし、契約書を締結し、債権譲渡の対象が確定し、買取代金を受け取った後は、その債権を別会社へ再度出すべきではありません。
相見積もりを取る場合も、申込先ごとに「契約済み」「審査中」「見積もりのみ」を分けて管理してください。条件がよい会社に決めたら、同じ請求書で他社との契約を進めないことが安全ラインです。
ファクタリング会社同士で情報共有されるか、他社利用がどう見えるかは、ファクタリング会社で情報共有される?他社利用がバレるケースと二重譲渡の注意点でも解説しています。
2社間でも3社間でも起こり得る
二重譲渡は、2社間ファクタリングでも3社間ファクタリングでも起こり得ます。
2社間ファクタリングでは、利用者とファクタリング会社の間で契約し、売掛先へ通知しない形で進むことがあります。売掛先に知られにくい一方で、利用者側の請求書管理が甘いと、同じ債権を別会社にも出してしまうリスクがあります。
3社間ファクタリングでは、売掛先への通知や承諾が入るため、同じ債権について複数社から連絡が入れば不自然です。その意味では発覚しやすい一方で、売掛先を巻き込むトラブルになりやすい面もあります。
どちらの方式でも、同じ請求書を複数社へ契約しないことが基本です。
ファクタリングで二重譲渡になるケース・ならないケース
二重譲渡で迷いやすいのは、「複数社へ相談すること」と「複数社へ売却すること」が混同されるためです。
ここでは、典型的なOK/NGを分けて整理します。実際の判断は契約内容によって変わりますが、少なくとも次の線引きを押さえておくと、危険な進め方を避けやすくなります。
二重譲渡を避けるポイントは、「同じ売掛債権を、契約済みの状態で、別会社へも出していないか」です。
NGになりやすいケース
| ケース | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| A社に売却済みの請求書をB社にも売る | NG | 同じ債権を複数社へ譲渡するため |
| 入金済みの債権を別会社へ再提出する | NG | すでに資金化済みの債権だから |
| 請求書番号を変えて同じ債権を出す | NG | 実質的に同じ売掛金なら危険 |
| 既存契約の対象債権を把握せず申し込む | 危険 | 二重譲渡疑いを招くため |
特に危ないのは、すでに買取代金を受け取っている請求書を、別の会社にも出すケースです。売掛先からの入金は1回しかないため、複数のファクタリング会社に対して精算義務のようなものが発生し、資金の流れが破綻しやすくなります。
また、請求書番号やファイル名を変えても、取引の実態が同じなら安全にはなりません。売掛先、対象月、納品内容、支払期日、金額が同じであれば、実質的に同じ売掛債権と見られる可能性があります。
問題になりにくいケース
| ケース | 判断 | 注意点 |
|---|---|---|
| 契約前に複数社へ見積もり相談する | 原則可 | 契約先を1社に決める |
| 別の売掛先の請求書を別会社へ出す | 原則可 | 対象債権を分けて管理する |
| 同じ売掛先でも別月・別案件の請求書を使う | 条件次第 | 請求書番号・対象月を明確にする |
| 他社利用中に未譲渡の債権で申し込む | 条件次第 | 既存契約と重複しないことを説明する |
複数社へ見積もりを取るだけなら、通常は二重譲渡とは別です。比較したうえで、契約する会社を1社に絞ればよいからです。
また、すでにA社の請求書をファクタリング会社Xへ出している状態で、まったく別のB社の請求書をファクタリング会社Yへ相談することは、同じ債権の二重譲渡とは異なります。
ただし、同じ売掛先の継続案件では注意が必要です。たとえば「6月分の請求書」と「7月分の請求書」が別債権だとしても、請求金額や支払期日が似ていると、社内でも申込先でも混同が起きやすくなります。
「同じ売掛先」と「同じ売掛債権」は分けて考える
読者が最も迷いやすいのが、同じ売掛先に対する複数の請求書です。
同じ売掛先でも、納品内容、対象月、請求書番号、支払期日が異なれば、別の売掛債権として扱える場合があります。一方で、同じ案件の請求書を再発行しただけ、請求書番号を変えただけ、分割しただけという場合は、実質的に同じ債権と見られる可能性があります。
判断に迷う場合は、次の資料を並べて確認してください。
- 請求書
- 発注書・注文書
- 納品書
- 契約書
- 売掛先とのメール
- 入金予定表
- 既存ファクタリング契約書
「同じ売掛先だから全部NG」ではありません。ただし、「別の請求書だから必ず安全」とも言い切れません。対象債権を特定できる資料で、重複していないことを説明できる状態にしておくことが大切です。
二重譲渡が発覚しやすい理由
二重譲渡は、契約時点では見えにくくても、審査、登記、売掛先確認、入金後の精算で発覚することがあります。
「黙っていれば分からない」と考えるのは危険です。特に資金繰りが厳しいときは、入金日が近づくほど説明が難しくなり、売掛先や関係者を巻き込む可能性が高くなります。
通帳履歴や入金履歴で分かることがある
ファクタリング会社は、審査で通帳コピーや入出金明細を確認することがあります。そこに他社ファクタリング会社からの入金、売掛先からの入金後の送金、未精算と思われる資金移動があれば、既存利用を確認されることがあります。
他社利用そのものが直ちにNGとは限りません。問題は、既存契約の対象債権と、今回申し込む債権が重なっているかどうかです。
通帳に他社ファクタリングの履歴がある場合は、隠すよりも先に整理してください。どの売掛金を、どの会社へ、いつ譲渡したのか。今回使いたい請求書と重複していないか。ここを説明できるかどうかで、審査の見え方は変わります。
債権譲渡登記で分かることがある
法人のファクタリングでは、債権譲渡登記が使われる場合があります。
法務省は、債権譲渡登記制度について、法人がする金銭債権の譲渡について、債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度と説明しています。登記できる譲渡人は法人に限定され、対象は金銭債権です。
また、法務省の説明では、債権譲渡登記により債権の存在や譲渡の有効性が公的に証明されるわけではない点も示されています。つまり、登記があるからすべて安全、登記がないから必ず問題、という単純な話ではありません。
ただし、既存の債権譲渡登記がある場合、同じ債権を別会社へ出そうとすると、確認の過程で問題が見える可能性があります。特に法人で2社間ファクタリングを使う場合は、登記の有無も契約前に確認してください。
売掛先への通知・確認で分かることがある
3社間ファクタリングでは、売掛先への通知や承諾が入ります。同じ売掛債権について複数のファクタリング会社から通知が届けば、売掛先は不審に感じます。
2社間ファクタリングでも、支払い遅れや連絡不通が発生すると、ファクタリング会社が売掛先や関係者へ確認することがあります。売掛先から「すでに別会社からも同じ請求書の話が来ている」と分かれば、二重譲渡の疑いが強まります。
二重譲渡は、契約時だけの問題ではありません。入金日、精算日、売掛先確認のタイミングで表面化しやすいトラブルです。
二重譲渡は違法になる?法的リスクを整理
二重譲渡は、単なる資金繰りの失敗や手続きミスでは済まない可能性があります。
ただし、「二重譲渡をしたら必ず詐欺罪」と断定するのも不正確です。契約内容、説明内容、故意の有無、入金後の対応、損害の有無などによって判断が変わるため、本文では一般的なリスクとして整理します。
民事上の契約トラブルになる可能性
まず考えられるのは、民事上の契約トラブルです。
ファクタリング契約では、譲渡対象の売掛債権、売掛先、支払期日、買取金額、入金後の扱いなどが定められます。同じ債権を別会社にも譲渡していれば、契約違反、損害賠償、契約解除、返還請求などの問題につながる可能性があります。
民法467条では、債権譲渡について、譲渡人が債務者に通知するか、債務者が承諾しなければ、債務者その他の第三者に対抗できない旨が定められています。また、債務者以外の第三者に対抗するには、確定日付のある証書による通知または承諾が必要です。
この対抗要件の話は、二重譲渡が起きたときに、誰が第三者に対して権利を主張できるかという問題にも関わります。とはいえ、利用者側が実務でまず意識すべきなのは、そもそも同じ債権を複数社へ契約しないことです。
詐欺罪・横領罪などに該当し得る場合がある
売却済みと分かっている売掛債権を、別会社へも売却して資金を受け取った場合、詐欺罪や横領罪などに該当し得るリスクがあります。
ただし、どの罪に当たるか、刑事事件になるかは個別事情によります。たとえば、最初からだます意図があったのか、契約済みであることを隠していたのか、入金後にどのように説明したのか、ファクタリング会社や売掛先に損害が出たのかによって見方は変わります。
そのため、本文では一律に「犯罪です」とは断定しません。一方で、資金繰りが苦しいからといって、同じ請求書を複数社へ出すことは、通常の安全なファクタリング利用ではありません。
すでに契約・入金が進んでいる場合は、自己判断で追加申込を続けるのではなく、事実関係を整理し、契約先や弁護士に相談してください。
偽装ファクタリングとは別の問題
二重譲渡と、偽装ファクタリングは分けて考える必要があります。
金融庁は、一般にファクタリングは売掛債権等を期日前に買い取るサービスで、法的には債権譲渡契約であると説明しています。一方で、ファクタリングを装った高金利の貸付や、経済的に貸付けと同様の機能を有する取引について注意喚起しています。
これは、主に「ファクタリング業者側の契約実態」に関する問題です。買戻し義務がある、売主自身の資金で支払う必要がある、ファクタリング会社が不払いリスクをほとんど負っていない、といった場合は、実態として貸付に近いと判断されるおそれがあります。
一方、二重譲渡は、利用者側が同じ売掛債権を複数社へ出す問題です。どちらも重大なトラブルにつながりますが、論点は同じではありません。
ファクタリング詐欺や違法になるケース全体は、ファクタリング詐欺とは?違法になるケースと摘発事例で整理しています。
参考にした公的情報:
すでに同じ請求書を複数社に出してしまった可能性があるとき
「もしかして同じ請求書を複数社に出したかもしれない」と気づいた場合、まずやるべきことは、追加で動くことではなく整理です。
焦って別の会社へ申し込む、説明せずに契約を進める、入金後に帳尻を合わせようとする、といった行動は避けてください。状況が進むほど、修正が難しくなります。
二重譲渡の不安があるときは、「見積もりだけ」「契約済み」「入金済み」のどの段階かを先に整理してください。
まず契約済みか見積もり段階かを分ける
最初に、各社との進行状況を分けてください。
| 状態 | 優先する確認 |
|---|---|
| 見積もりだけ | 契約していないか、申込先に整理して伝える |
| 契約前審査中 | 同じ債権で複数契約しない |
| 契約済み | 契約書と対象債権を確認する |
| 入金済み | 支払先・返金・精算の扱いを専門家に相談 |
見積もりだけであれば、契約前に整理できる余地があります。どの会社にどの請求書を出したかを確認し、契約する会社を1社に決めて、他社には進めない旨を伝えます。
契約済みの場合は、契約書の対象債権を確認してください。請求書番号、売掛先、金額、支払期日、対象月、案件名がどのように記載されているかを見ます。
すでに入金済みの場合は、自己判断で返金や追加契約を進めず、契約先や弁護士に相談した方が安全です。
申込先に事実関係を整理して伝える
二重譲渡の不安があるときほど、説明を曖昧にしないことが大切です。
申込先に伝える前に、次の情報を整理してください。
- どの請求書を出したか
- どの会社へ出したか
- 見積もりだけか、審査中か、契約済みか
- 買取代金を受け取ったか
- 売掛先からの入金予定日はいつか
- 既存契約と今回の請求書が重複していないか
「たぶん別の請求書です」「まだ契約していないと思います」という曖昧な説明では、疑いが強まることがあります。資料を見ながら、事実関係を時系列で整理してください。
法的な不安がある場合は弁護士に相談する
すでに複数社と契約している、複数社から入金を受けている、売掛先に確認が入っている、ファクタリング会社から強い請求を受けている。このような場合は、早めに弁護士へ相談してください。
二重譲渡がどのような法的責任につながるかは、契約内容や事情によって変わります。自分だけで「返せば大丈夫」「黙っていれば調整できる」と判断するのは危険です。
相談時には、契約書、請求書、通帳明細、ファクタリング会社とのメール、売掛先とのやり取りをまとめて持参すると、状況を説明しやすくなります。
二重譲渡を防ぐ請求書管理チェックリスト
二重譲渡は、悪意がなくても起こり得ます。
代表者、経理担当者、営業担当者が別々に動いている。複数の請求書を同時にファクタリング会社へ出している。過去に売却した債権の一覧が残っていない。このような状態では、同じ請求書を重複して出すミスが起きやすくなります。
二重譲渡を防ぐには、契約前に「どの請求書を、どの会社へ、どの状態で出しているか」を一覧化することが重要です。
申込前に管理する項目
最低限、次の項目を一覧にしてください。
| 確認項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 売掛先 | 会社名・部署名・担当者 |
| 請求書番号 | 再発行した場合も履歴を残す |
| 対象月・納品日 | 何月分、どの案件か |
| 請求金額 | 税込・税抜の区別も確認 |
| 支払期日 | 売掛先からの入金予定日 |
| 申込先 | ファクタリング会社名 |
| 状態 | 見積もりのみ・審査中・契約済み・入金済み |
| 精算予定 | 売掛先入金後の支払先・期日 |
この一覧があれば、同じ請求書を別会社へ出しそうになったときに気づけます。
特に、同じ売掛先に毎月請求している会社は、対象月の取り違えが起きやすいです。請求書番号だけでなく、対象期間、納品内容、支払期日まで記録してください。
相見積もりは「契約先を1社に決める」前提で行う
ファクタリングの相見積もりは、手数料や入金速度を比べるために有効です。ただし、相見積もりはあくまで契約前の比較です。
複数社へ同じ請求書を見せて条件を聞いた場合でも、契約する会社を1社に決めたら、他社には契約しない旨を伝えてください。見積もりだけで止めた会社の管理も残しておくと、後から混乱しにくくなります。
契約書に署名する前には、次の3点を確認します。
- この請求書は他社と契約済みではないか
- 同じ請求書で別会社の審査が進んでいないか
- 申込先に伝えた内容と契約書の対象債権が一致しているか
社内で担当者が複数いる場合の注意
社内で担当者が複数いる場合は、二重譲渡リスクが上がります。
代表者が資金繰りのためにA社へ申し込み、経理担当者が別の資金調達としてB社へ同じ請求書を提出する。営業担当者が売掛先との請求状況を把握しておらず、対象月を取り違える。このようなミスは、意図的でなくても重大なトラブルになります。
申込窓口を1人に絞るか、少なくとも請求書管理シートを共有してください。ファクタリング会社へ提出する前に、社内で「この請求書は未譲渡か」を確認する工程を入れるだけでも、重複リスクは下がります。
債権譲渡や対抗要件の基礎は、ファクタリングの債権譲渡とは?売掛金を譲渡する仕組みと注意点でも確認できます。
他社利用中に追加でファクタリングを使うときの安全な進め方
すでに他社ファクタリングを利用していても、別の未譲渡債権があれば、追加で相談できる場合があります。
ただし、他社利用中の追加申込では、既存契約との重複がないことを説明できる状態にしておく必要があります。ここを曖昧にすると、二重譲渡を疑われたり、審査が進みにくくなったりします。
未譲渡の債権かを先に確認する
追加で申し込む前に、既存会社へ出した債権と、今回使いたい債権を分けてください。
同じ売掛先でも、対象月、案件名、請求書番号、支払期日が違えば、別債権として相談できる場合があります。一方で、同じ案件を再発行しただけ、請求書番号を変えただけなら、重複の疑いがあります。
申込前に、既存契約書と今回の請求書を並べて確認しましょう。
既存契約の精算予定を確認する
他社利用中の場合、既存契約の精算予定も重要です。
売掛先からいつ入金されるのか、入金後にどの会社へいくら支払うのか、未精算が残っていないかを確認してください。未精算がある状態で新しく申し込む場合、通帳履歴や説明内容から慎重に見られることがあります。
他社利用中に追加で申し込むときは、既存契約の対象債権と今回使う債権が重なっていないことを先に確認してください。
未精算があること自体を隠すよりも、対象債権が重複していないこと、精算予定が明確であることを説明できる状態にする方が安全です。
条件比較は手取り額と契約範囲で見る
他社利用中に追加でファクタリングを使う場合、手数料だけで判断しないでください。
重要なのは、手取り額、入金日、売掛先通知の有無、債権譲渡登記の有無、契約対象の債権範囲です。契約対象が曖昧だと、どの請求書が譲渡済みなのか分からなくなります。
他社利用中の追加利用や乗り換えは、ファクタリングは他社利用中でも使える?追加利用・乗り換え時の注意点も参考にしてください。
二重譲渡を疑われやすい申込パターン
実際に二重譲渡をしていなくても、資料や説明が曖昧だと疑われることがあります。
ファクタリング会社は、売掛債権が本当に存在するか、売掛先が支払う見込みがあるか、すでに他社へ譲渡されていないかを確認します。ここで説明が合わないと、審査が止まる原因になります。
請求書・通帳・契約書の内容が一致しない
請求書の金額と通帳の入金履歴が合わない、売掛先名が契約書と違う、支払期日が資料ごとに異なる。このような不一致があると、ファクタリング会社は慎重に見ます。
単純な記載ミスであっても、架空請求書や二重譲渡を疑われる可能性があります。提出前に、請求書、契約書、納品書、入出金明細の内容を見比べてください。
他社ファクタリングの入出金説明が曖昧
通帳に他社ファクタリング会社からの入金や送金履歴があるのに、何の取引か説明できない場合も注意が必要です。
他社利用そのものが問題ではなくても、どの債権を譲渡したのか、精算は終わっているのか、今回申し込む債権と重複していないのかを説明できなければ、二重譲渡リスクを疑われます。
短期間に同じ債権で何度も申し込む
同じ請求書で短期間に複数社へ申し込み、審査に落ちるたびに別会社へ出す進め方も危険です。
見積もり比較の範囲なら整理できますが、契約手続きが複数社で並行すると、どこまで進んだか分からなくなります。審査に落ちた場合は、むやみに次へ出す前に、断られた理由を確認してください。
審査に断られたときの整理は、ファクタリングを断られたら?審査落ちの理由と次に確認することで詳しく解説しています。
二重譲渡を避けて資金繰りを立て直す方法
二重譲渡の背景には、資金繰りの切迫があることも少なくありません。
しかし、同じ請求書を複数社へ出して一時的に資金を作っても、後で精算できず、売掛先やファクタリング会社との信用を失うおそれがあります。資金繰りが厳しいときほど、使える債権と使えない債権を分けて、安全な選択肢を取ることが重要です。
別の未譲渡債権で相談する
追加で資金が必要な場合は、同じ請求書ではなく、別の未譲渡債権で相談してください。
別の売掛先、別の対象月、別の案件の請求書があるなら、ファクタリング会社に状況を説明したうえで相談できる場合があります。既存契約と重複しないことを示せる資料を準備しましょう。
ファクタリング以外の資金調達も検討する
ファクタリングを繰り返している場合、手数料負担で資金繰りが悪化している可能性があります。
状況によっては、ビジネスローン、支払い猶予の相談、固定費の見直し、資金繰り表の作成、公的制度の確認なども検討してください。ファクタリングだけで短期資金をつなぐと、売掛金の前倒しが続き、翌月以降の資金が不足しやすくなります。
条件診断で合うサービスを絞る
ファクタリングを使う場合でも、むやみに多数の会社へ出すのではなく、条件に合う会社を絞って相談する方が安全です。
必要な金額、入金希望日、売掛先通知の可否、個人事業主か法人か、既存利用の有無を整理してから比較してください。
サービス全体を比較する場合は、ファクタリングサービスおすすめ100選も参考になります。
:::facmatch-article-cta title="条件に合うファクタリング会社を絞り込みたい方へ" 同じ請求書を複数社へ出すのではなく、売掛金の内容や希望条件に合う会社を先に絞ることが大切です。診断では、入金希望日や利用者区分に合わせて候補を確認できます。
ファクタリング会社を診断する :::end-facmatch-article-cta
ファクタリングの二重譲渡に関するよくある質問
Q: ファクタリングで複数社に見積もりを取るだけでも二重譲渡ですか?
A: 見積もり相談だけなら、通常は二重譲渡とは別です。ただし、同じ請求書で複数社と契約しないよう、契約前に申込状況を整理してください。
Q: 同じ売掛先の別請求書なら別の会社に出せますか?
A: 対象月、請求書番号、金額、案件内容が別であれば、別債権として扱える場合があります。ただし、既存契約と重ならないか確認してください。
Q: 二重譲渡をしてしまったらすぐ返せば問題ありませんか?
A: 一律には言えません。契約内容、説明内容、入金状況によって扱いが変わるため、自己判断せず契約先や弁護士に相談してください。
Q: 二重譲渡は必ずバレますか?
A: 必ずとは断定できませんが、通帳履歴、債権譲渡登記、売掛先確認、入金後の精算遅れなどから発覚する可能性があります。
Q: 個人事業主でも債権譲渡登記で分かりますか?
A: 債権譲渡登記の譲渡人は法人に限定されています。個人事業主の場合でも、通帳履歴や売掛先確認など別の経路で状況が分かることがあります。
Q: 二重譲渡を疑われて審査に落ちたらどうすればよいですか?
A: まず対象債権、既存契約、入金予定、他社申込状況を整理してください。誤解なら資料で説明し、実際に重複がある場合は専門家に相談してください。
まとめ
ファクタリングの二重譲渡とは、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ譲渡することです。
複数社へ見積もり相談することと、同じ請求書で複数社と契約することは違います。比較の段階なら整理できますが、契約済み・入金済みの売掛金を別会社へ再度出すと、契約トラブルや法的責任につながるおそれがあります。
二重譲渡を避けるには、請求書番号、売掛先、対象月、申込先、契約状況を一覧で管理することが大切です。
すでに同じ請求書を複数社へ出した可能性がある場合は、まず見積もり段階か、契約済みか、入金済みかを分けてください。そのうえで、契約書、請求書、通帳明細、申込先とのやり取りを整理し、必要に応じて契約先や弁護士へ相談しましょう。
安全にファクタリングを使うには、同じ請求書を何度も出すのではなく、未譲渡の債権を整理し、条件に合う会社を絞って相談することが重要です。
