売掛金と仕掛金の違い|売上計上・完成・入金までの処理を整理

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本記事は広告・PRを含みます。仕掛品・仕掛金、売上原価、収益認識、工事契約等の処理は事業内容、契約条件、会計基準、税務で異なります。具体的な計上時期と仕訳は税理士・公認会計士等へ確認してください。

売掛金と仕掛金の違いは、「顧客へ請求・回収する段階まで進んだか」と「未完成の仕事に原価が残っているか」です。 売掛金は商品・サービスの提供によって生じた代金の受取権利、仕掛金(一般には仕掛品)は、まだ完成・販売に至っていない製品や案件へかかった原価を表します。

売掛金は売価ベースの債権、仕掛品は原価ベースの棚卸資産です。同じ案件から順番に発生することはありますが、同じ金額・同じ意味ではありません。

一目で分かる違い
  • 仕掛品:未完成の製品・案件に投入した材料費、労務費、外注費等の原価
  • 売掛金:提供済みの商品・サービスについて顧客から受け取る代金

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目次

売掛金と仕掛金の比較

比較項目売掛金仕掛金・仕掛品
性質営業上の債権棚卸資産
金額の基礎顧客への販売額・請求額完成前に投入した原価
発生場面収益認識後、代金未回収製造・作業が未完成
相手顧客ごとに管理製品・案件・工程ごとに管理
減少する場面入金、値引き、返品等完成して製品・売上原価等へ振替
主なリスク未回収、回収遅延原価超過、陳腐化、中止案件

国税庁は、棚卸資産の区分として商品・製品、半製品、仕掛品、原材料等を示しています。また、仕掛品の評価について、原材料の仕入価額に加工費その他の経費を加えた考え方を示す資料があります。

一方、日本政策金融公庫は、売掛金を商品・製品販売、請負工事、サービス提供などの営業上の未収入金として説明しています。

「仕掛金」と「仕掛品」は違うのか

会計実務では、貸借対照表の棚卸資産科目として「仕掛品」を使うのが一般的です。一方、受託制作、システム開発、士業・サービス業などで、案件途中の原価を「仕掛金」と呼んだり、会計ソフトの補助科目として使ったりすることがあります。

本記事では検索語に合わせて「仕掛金」も使いますが、科目名より、未完成の成果物・役務に対応する原価を集計しているかが重要です。 自社の決算書で使う科目は会計方針と専門家の確認に従ってください。

製造業での流れと仕訳例

材料30万円、製造に直接かかった労務費20万円、外注加工費10万円、合計60万円を投入し、期末時点で未完成の例です。簡略化した仕訳は次の考え方になります。

1. 未完成原価を仕掛品へ集計する

借方金額貸方金額
仕掛品600,000円材料費・労務費・外注加工費等600,000円

実務では製造原価勘定を経由する場合などがあります。直接費・間接費の配賦も会社の原価計算によって異なります。

2. 製品が完成したら製品へ振り替える

借方金額貸方金額
製品600,000円仕掛品600,000円

完成しただけで顧客へ売っていなければ、通常はまだ売掛金ではありません。

3. 100万円で掛け販売する

借方金額貸方金額
売掛金1,100,000円売上高1,100,000円

同時に、販売した製品の原価60万円を売上原価へ振り替えます。

借方金額貸方金額
売上原価600,000円製品600,000円

売掛金110万円と仕掛品60万円が違うのは、売掛金が消費税を含む販売対価、仕掛品が完成前原価だからです。

4. 入金を受ける

借方金額貸方金額
普通預金1,100,000円売掛金1,100,000円

入金時は売掛金が預金へ変わります。仕掛品を直接売掛金へ振り替える処理ではありません。

受託制作・システム開発での考え方

受託制作では、案件の途中で外注費や人件費が先行し、納品・検収・請求が後になることがあります。

未完成の案件原価

期末までに成果物が完成せず、収益認識の要件も満たしていない場合、案件へ直接対応する原価を仕掛品等として繰り越すことがあります。

完成・納品・検収後

一時点で収益を認識する契約なら、契約で定めた納品・検収などを踏まえて売上と売掛金を計上し、対応する原価を売上原価へ振り替えます。

期間にわたり収益を認識する場合

収益認識会計基準では、一定の要件を満たすと、履行義務の充足に応じて一定期間にわたり収益を認識する場合があります。この場合、未完成だから常に全額を仕掛品とするとは限りません。

また、収益を認識していても請求権が無条件でなければ、売掛金ではなく契約資産となる場合があります。「売掛金と契約資産の違い」も参照してください。

完成、納品、検収、請求書発行のどの日を売上計上日とするかは、請求書の日付だけで決めず、契約上の履行義務と支配の移転を確認します。

決算で仕掛品を計上する目的

未完成案件の原価をすべて当期費用にすると、対応する売上が翌期なのに費用だけが先に計上され、期間損益がゆがむ場合があります。 仕掛品として繰り越し、完成・販売時に売上原価へ対応させます。

ただし、何でも仕掛品へ入れれば利益が増えるため、対象原価と進捗の根拠が必要です。

仕掛品へ計上する前の確認
  • 決算日時点で本当に未完成か
  • 対象案件が実在し、継続しているか
  • 材料費・外注費・労務費等が案件に直接対応するか
  • 共通費の配賦基準が合理的か
  • 中止・失注・採算悪化で回収不能になっていないか
  • 売上をすでに認識していないか

売掛金と仕掛品が同時に残るケース

同じ取引先・同じプロジェクト群でも、完成して請求済みの工程は売掛金、未完成の別工程は仕掛品として同時に残ることがあります。

たとえば、全3フェーズの開発で、第1フェーズは検収済み・請求済み、第2フェーズは作業途中、第3フェーズは未着手なら、次のように分けます。

  • 第1フェーズの未入金額:売掛金
  • 第2フェーズへ投入済みの対象原価:仕掛品等
  • 第3フェーズ:原価がまだなければ残高なし

請求総額から入金額を引いただけでは、仕掛品は求められません。 案件別原価台帳が必要です。

よくある誤り

請求書を発行したら必ず売掛金にする

前払い請求、着手金、条件未達の請求など、請求書発行と収益認識が一致しない場合があります。契約と履行状況を確認します。

未請求売上をすべて仕掛品にする

収益認識済みで請求権だけが未確定なら、仕掛品ではなく契約資産等の検討が必要です。仕掛品は基本的に未完成原価です。

販売価格で仕掛品を計上する

仕掛品は通常、投入原価を基礎に評価します。見込利益を含む販売価格でそのまま計上しません。

間接費を根拠なく全額配賦する

管理部門人件費、営業費、異常なロスなどを何でも仕掛品へ入れると、原価と利益を過大に見せるおそれがあります。配賦基準を継続して使います。

長期滞留案件を同じ価額で残す

中止、仕様変更、顧客の信用不安、技術的陳腐化などで回収可能性が低下していないかを確認します。棚卸資産の評価損等は要件を専門家へ確認してください。

資金繰りへの影響

仕掛品が増えると、売上・入金前に材料費、外注費、人件費を立て替える期間が長くなります。 売掛金が増えると、売上計上後も入金まで待つ期間が長くなります。

仕掛期間+売掛金回収期間が長い事業ほど、受注増加時に運転資金が必要です。 進捗に応じた中間金、前受金、請求頻度、回収条件を契約段階で検討します。

運転資金の基本は「運転資金とは」、売掛金の早期資金化は「ファクタリングとは」で解説しています。

よくある質問

Q: 仕掛金は資産ですか?

A: 一般に仕掛品として棚卸資産に区分されます。未完成の製品・案件へ投入した原価を表します。

Q: 売掛金と仕掛品は同時に計上できますか?

A: 完成・請求済み部分と未完成部分が分かれている場合など、同じ取引先やプロジェクト群で同時に残ることがあります。

Q: 仕掛品を売掛金へ直接振り替えますか?

A: 通常は直接振り替えません。完成・販売時に仕掛品を製品や売上原価へ振り替え、販売対価は売上と売掛金として別に計上します。

Q: 請求書を発行していない売上は仕掛品ですか?

A: 必ずしもそうではありません。収益認識済みで請求権が未確定なら契約資産等、未完成原価なら仕掛品を検討します。

Q: 仕掛品は販売価格で計上しますか?

A: 通常は材料費、労務費、外注費等の原価を基礎に評価します。具体的な範囲と配賦は会計方針を確認してください。

Q: 人件費も仕掛品に含められますか?

A: 製造・案件に直接対応する労務費等を含める場合があります。対象範囲と配賦基準を合理的かつ継続的に設定します。

まとめ

売掛金は顧客から受け取る販売代金の債権、仕掛品は未完成の製品・案件に投入した原価です。完成・納品・収益認識で売上と売掛金が生じ、仕掛品は製品や売上原価へ振り替わります。

請求書の有無だけで判断せず、契約上の履行状況、収益認識、請求権、案件別原価を分けて確認してください。 この区分が正しければ、期間損益だけでなく、案件採算と必要運転資金も把握しやすくなります。

参考資料

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この記事を書いた人

ファクマッチ編集責任者。ファクタリング会社の公式情報、口コミ、比較データをもとに、事業者が自分の状況に合う資金調達先を選べるよう、記事制作とサイト改善を行っています。

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