ファクタリングを使うと、売掛金の額面と実際の入金額に差が出ます。この差額が、いわゆるファクタリング手数料です。
結論からいうと、ファクタリング手数料は事業のために売掛債権を資金化するコストとして、経費処理の対象になり得ます。ただし、勘定科目や消費税の扱いは、契約内容や会計方針によって確認が必要です。
ファクタリング手数料は、ビジネスローンの利息ではなく、売掛債権を売却する時の差額として考えるのが基本です。
この記事では、ファクタリング手数料の経費処理、勘定科目、仕訳例、消費税の注意点を整理します。手数料の相場や安い会社を比較したい方は、ファクタリング手数料が安い会社20選も確認してください。
ファクタリング手数料は経費になるのか
ファクタリング手数料は、売掛債権を早期に現金化するためのコストです。
売掛債権を売却するためのコストとして処理する
買取型ファクタリングでは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた金額を受け取ります。
たとえば、売掛金100万円をファクタリングして95万円が入金された場合、差額5万円は売掛債権を売却するためにかかったコストとして処理します。
経費処理のポイントは、売掛金100万円を消し込み、入金95万円との差額5万円を別に処理することです。
借入利息とは分けて考える
ファクタリングは、通常のビジネスローンのような借入ではありません。
そのため、ファクタリング手数料を支払利息として処理するのは基本的には避けます。支払利息は借入金に対する利息の勘定科目です。
ファクタリングは売掛債権の売却なので、売上債権売却損や支払手数料など、売掛債権を資金化したコストとして処理する考え方になります。
勘定科目は会社方針で変わる
ファクタリング手数料の勘定科目は、会計ソフトや会社の会計方針によって変わることがあります。
代表的には、売上債権売却損、支払手数料、雑損失などが使われます。
ただし、どの勘定科目を使うかよりも、毎回同じ方針で処理し、契約書や買取明細と照合できるようにすることが重要です。
ファクタリング手数料の主な勘定科目
よく使われる勘定科目を整理します。
| 勘定科目 | 使われる場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 売上債権売却損 | 売掛債権の額面と入金額の差額を処理する時 | ファクタリングの性質に合いやすい |
| 支払手数料 | 会計ソフト上で売上債権売却損が使いにくい時 | 事務手数料と混ざらないよう注意 |
| 雑損失 | 少額・臨時的な処理として使う場合 | 継続利用なら科目を固定した方がよい |
売上債権売却損
売上債権売却損は、売掛債権を額面より低い金額で売却した時の損失を表す勘定科目です。
ファクタリングの性質を考えると、もっとも意味が伝わりやすい科目です。
売掛金100万円を95万円で資金化した場合、差額5万円を売上債権売却損として処理する考え方です。
支払手数料
会計ソフトに売上債権売却損がない場合や、社内処理として支払手数料を使う場合もあります。
ただし、支払手数料を使う場合は、通常の銀行振込手数料や事務手数料と混ざりやすくなります。
ファクタリングを継続的に使うなら、補助科目や摘要で「ファクタリング手数料」と分かるようにしておきましょう。
雑損失などを使う場合
少額で一時的な利用なら、雑損失などで処理するケースもあります。
ただし、毎月のようにファクタリングを使う場合、雑損失にまとめると資金調達コストが見えにくくなります。
経営管理の観点では、ファクタリング手数料を後から集計できる科目や補助科目を使う方が安全です。
仕訳例で見るファクタリング手数料の処理
実際の仕訳で確認します。
売掛金100万円を95万円で資金化した時
売掛金100万円をファクタリングし、手数料5万円を差し引いて95万円が入金された場合の例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 950,000円 | 売掛金 | 1,000,000円 |
| 売上債権売却損 | 50,000円 |
この処理により、売掛金100万円が消え、入金95万円と手数料相当5万円が記録されます。
入金額だけで売掛金を消し込むと、売掛金5万円が残ってしまいます。
事務手数料が別にかかる時
ファクタリング会社によっては、買取手数料とは別に、事務手数料や登記費用などが発生することがあります。
その場合は、買取手数料と別費用を契約書や明細で分けて確認します。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 買取手数料 | 売掛債権の額面と入金額の差額 |
| 事務手数料 | 契約・審査・事務処理の費用 |
| 登記費用 | 債権譲渡登記が必要な場合の費用 |
| 振込手数料 | 入金時に差し引かれる費用 |
明細が分かれている場合は、会計処理も分けて管理した方が後で確認しやすくなります。
入金後に取引先から回収する2社間の処理
2社間ファクタリングでは、売掛先から利用者に入金された後、利用者がファクタリング会社へ送金する流れがあります。
この場合も、実態は売掛債権の売却です。取引先から入金されたお金を自社の売上回収として二重に処理しないよう注意してください。
2社間の会計処理は契約内容によって確認点が増えるため、買取契約書、債権譲渡通知の有無、入金・送金の流れを会計担当者と共有してください。
ファクタリング手数料の消費税
ファクタリングの消費税は、特に間違えやすい論点です。
金銭債権の譲渡は非課税取引に該当し得る
国税庁は、金銭債権の譲受けの際に債権者から徴収する割引料、保証料または手数料について、名目にかかわらず金銭債権の譲受対価として非課税となる旨を示しています。
売掛債権は金銭債権に該当するため、ファクタリングの買取手数料部分は消費税が非課税として扱われるケースがあります。
ファクタリング手数料は「消費税が必ず課税」とは限りません。契約明細で、何に対する費用なのかを確認してください。
事務手数料などは契約明細で確認する
一方で、契約事務、登記、振込、書類取得など、買取手数料とは別に請求される費用は、内容によって消費税の扱いが変わる場合があります。
「手数料」と書かれていても、すべて同じ性質とは限りません。
消費税区分まで正しく処理するには、請求書や買取明細で、買取手数料、事務手数料、登記費用、振込手数料を分けて確認してください。
請求書・契約書・買取明細を保存する
ファクタリングの経費処理では、資料保存が重要です。
最低限、次の資料を残してください。
- ファクタリング契約書
- 買取明細
- 売掛金の請求書
- 入金明細
- ファクタリング会社への送金明細
- 手数料や消費税区分が分かる資料
後から帳簿を確認する時、売掛金の消込、入金額、手数料、消費税区分を追える状態にしておくことが大切です。
経費処理で間違いやすいポイント
ファクタリング手数料の処理では、次のミスに注意してください。
支払利息にしない
ファクタリングは通常、借入ではありません。
そのため、ビジネスローンの利息のように支払利息で処理すると、取引の実態と合わなくなる可能性があります。
借入金を増やす処理も、原則として行いません。仕組みを確認したい場合は、ファクタリング制度とはも参考になります。
入金額だけで売掛金を消し込まない
売掛金100万円をファクタリングして95万円が入金された時、普通預金95万円だけで売掛金を消し込むと、売掛金5万円が残ります。
差額5万円を売上債権売却損などで処理し、売掛金100万円を消してください。
売掛金を減らす仕訳の基本は、売掛金を減らす仕訳とはでも整理しています。
償還請求権付き契約は会計処理を確認する
ファクタリング契約に償還請求権や買戻し義務がある場合、通常の売掛債権売却とは会計処理や法的性質の確認が必要になることがあります。
契約書に償還請求権、買戻し、保証、返済義務に近い文言がある場合は、経費処理だけで判断せず、契約内容を専門家に確認してください。
よくある質問
ファクタリング手数料は経費にできますか?
事業のために売掛債権を資金化したコストとして、経費処理の対象になり得ます。ただし、勘定科目や消費税区分は契約内容と会計方針により確認が必要です。
勘定科目は売上債権売却損ですか?
売上債権売却損を使うと、売掛債権を売却した差額として意味が分かりやすいです。ただし、会計ソフトや会社方針により支払手数料などを使う場合もあります。
ファクタリング手数料に消費税はかかりますか?
金銭債権の譲受対価としての割引料・手数料は、非課税として扱われる整理があります。ただし、別途請求される事務手数料などは内容により扱いが変わる場合があるため、明細を確認してください。
個人事業主でも同じ処理ですか?
基本的な考え方は同じです。売掛金を資金化した差額を、売上債権売却損や支払手数料などで処理します。ただし、会計ソフトの科目設定や確定申告の処理は税理士に確認してください。
ファクタリングは借入金として処理しますか?
通常の買取型ファクタリングは、借入金として処理しません。売掛債権の売却として処理します。ただし、契約内容によっては実質的に貸付に近い性質を持つ場合があるため、契約書の確認が必要です。
ファクタリング手数料は経費候補だが、勘定科目と消費税を分けて確認する
ファクタリング手数料は、売掛債権を早期に資金化するためのコストとして経費処理の対象になり得ます。
ただし、支払利息とは違います。売上債権売却損や支払手数料など、売掛債権の売却に合う勘定科目で処理します。
ファクタリング手数料の処理では、勘定科目だけでなく、消費税区分と契約内容まで確認してください。
手数料の水準を見直したい方は、ファクタリング手数料が安い会社20選、ファクタリングの仕組みから確認したい方は売掛金ファクタリングとはを参考にしてください。
