本ページにはプロモーションが含まれています。販売、決済、返品、返金、広告、物流、会計、税務、融資、債権譲渡の条件は、商品、販売先、プラットフォーム、決済会社、法人で異なります。各サービスの現行規約・管理画面を確認し、税理士、弁護士、金融機関等へ相談してください。
EC事業では、商品を仕入れ、広告費、倉庫費、送料、システム利用料を先に支払い、注文・決済・出荷を経て売上金が口座へ入ります。売上が伸びても、在庫と広告への投資が先に増えれば、現金が足りなくなることがあります。
資金繰りを安定させるには、管理画面の売上だけでなく、出荷済み、返品・返金、手数料控除、入金可能額、実際の口座入金をチャネルごとに照合することが重要です。
この記事では、EC事業の資金繰りが苦しくなる理由、在庫・広告・決済・返品、商品別粗利、13週間表、融資・入金早期化、緊急時の対応を解説します。
EC事業の資金繰りは、注文数ではなく、仕入れた日から返品期限を経て売上金が口座へ入るまでを管理することから始まります。
売上管理画面の金額と、銀行口座へ入る金額は同じとは限りません。注文・出荷・返品・手数料・保留・振込をチャネル別に照合してください。
- 現預金と13週間の最低残高
- 仕入れ・発注・入荷・在庫日数
- 注文・決済・出荷・入金可能額
- 返品・返金・取消・保留金
- 広告費・販促費・獲得粗利
- 送料・倉庫・梱包・システム費
- 商品別・チャネル別の粗利と在庫
EC事業の資金繰りが苦しくなる理由
売れる前に商品を仕入れる
物販ECでは、販売前に商品・原材料を仕入れ、輸送、関税、倉庫、検品、撮影等へ支払います。
販売までの期間が長いほど、現金が在庫に変わったまま戻りません。予約販売、受注生産、無在庫等では構造が異なるため、自社の販売方式に合わせます。
売上金がすぐ銀行へ入るとは限らない
注文時に決済が完了しても、出荷、売上確定、返金・取消、決済会社・モールの締めを経て振り込まれます。
入金サイクルや最低振込額、手数料、保留条件はサービス・契約で異なります。たとえばSTORESの売上はいつ振り込まれますか?では、同サービスの現行振込条件が案内されていますが、他の自社EC・決済・モールへそのまま当てはめないでください。
広告費が売上より先に引き落とされる
検索広告、SNS広告、アフィリエイト、インフルエンサー、クーポン、ポイント等の販促費が発生します。
売上が増えても、広告のカード引落しと仕入れが先で、売上金の振込が後なら資金不足になります。
返品・返金で入金予定が減る
返品、注文取消し、配送事故、不正利用、チャージバック等により、確定したと思った売上から返金・調整が行われる場合があります。
商品代だけでなく、往復送料、決済手数料、再梱包、廃棄、値下げ再販の費用も確認します。
繁忙期前に仕入れが集中する
年末、セール、季節商品、イベント前は、販売前に在庫と広告へ投資します。
予測を外すと過剰在庫になり、売れても次回仕入れと税金・広告費が重なります。
経済産業省の令和6年度電子商取引に関する市場調査では、2024年の国内BtoC-EC市場規模等が公表されています。市場の拡大と、自社の現金回収が早いことは別問題です。
売上成長率より先に、在庫と広告へ追加で必要な現金を確認します。
売上が増える局面ほど、仕入れ・広告・物流が先行し、決済入金までの運転資金が増えます。
注文から口座入金までを分ける
注文と売上確定を分ける
注文受付、決済承認、出荷、受領、売上確定、返品期限、入金可能、振込を別の状態にします。
未出荷、取消、返金予定の注文を、使える現金として扱わないでください。
チャネル別に入金予定を作る
自社EC、Amazon、楽天市場、その他モール、卸売、代引き等を分けます。
同じ商品でも、締め日、入金日、手数料、保留・相殺の条件が異なります。
売上総額と振込額を照合する
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 注文総額 | 商品、送料、税、クーポン等 |
| 取消・返品 | 注文取消し、返金、チャージバック |
| 控除 | 販売・決済・振込等の手数料 |
| 相殺 | 広告、物流、モール費等 |
| 保留 | 返品、不正、契約上の留保 |
| 振込額 | 実際に口座へ入る金額 |
管理画面と銀行口座を月次だけでなく入金ごとに照合します。
売上金の保管場所を把握する
決済会社、モール、代引き会社、海外決済等に未入金残高がある場合、金額と入金予定日を記録します。
「売上金残高」が即時に自由利用できるかは、出金条件・保留・手数料を確認してください。
注文、出荷、売上確定、入金可能額、口座入金を分けると、実際に使える現金が分かります。
仕入れ・在庫・発注を管理する
商品別に在庫日数を出す
商品ごとに、期首在庫、仕入れ、販売、返品、廃棄、期末在庫を追います。
金額だけでなく、何日分の販売量を持っているかを確認します。
定番・季節・新商品を分ける
定番品、季節品、トレンド品、限定品、新商品、終売品は、需要予測と値下げリスクが異なります。
全商品に同じ発注点・安全在庫を使わないでください。
発注ロットと支払条件を比較する
大量発注で単価が下がっても、保管、保険、陳腐化、値下げ、廃棄、資金拘束が増えます。
仕入先の支払日、製造・輸送期間、最低ロット、追加発注の可否を含めて判断します。
返品在庫を通常在庫と分ける
未開封再販可、再検品、アウトレット、修理、廃棄に分けます。
システム上だけ在庫へ戻し、倉庫に現物がない状態を防ぎます。
長期滞留品を処理する
値下げ、セット販売、卸売、販路変更、返品交渉、廃棄を判断します。
J-Net21の資金繰り改善のための財務・資本戦略も、在庫管理の徹底を資金繰り改善の原則として挙げています。在庫が資金繰りを圧迫する時の対策も確認してください。
在庫は売価ではなく取得原価と現金化までの日数で管理し、返品品と長期滞留品を分けます。
広告費と販促費を管理する
広告費を日次売上だけで評価しない
広告から注文までの時間、返品、キャンセル、リピートを考慮します。
広告管理画面の売上貢献と、EC側の確定売上・粗利を照合します。
商品粗利から広告上限を決める
販売価格から、商品原価、決済・販売手数料、送料、倉庫、梱包、返品引当等を差し引きます。
残った粗利の範囲で獲得費用を設定します。売上高に対する広告比率だけでは赤字商品を見逃します。
カード引落しを週別に入れる
広告費の利用日、締め日、引落日、通貨、利用枠を記録します。
決済売上の振込前に広告カードが引き落とされる週を13週間表へ入れます。
クーポン・ポイント・送料無料を原価にする
値引き、ポイント負担、送料無料、モールイベント参加費等を販促原価として商品・チャネルへ配賦します。
モール負担と店舗負担を区別してください。
予算停止ルールを決める
粗利、返品率、在庫日数、入金予定、広告カード利用枠が基準を外れた時に、予算を縮小・停止します。
売れているから広告を増やすのではなく、次回仕入れ後の現金残高まで見ます。
広告費は売上ではなく、返品・手数料・物流を引いた獲得粗利で判断します。
広告予算を増やす時は、追加仕入れとカード引落しから売上金振込までの不足額も同時に計算します。
決済・モール・返品返金を管理する
規約と管理画面の入金条件を確認する
決済会社・モールごとに、締め、入金、早期振込、最低金額、手数料、保留、相殺を確認します。
比較記事や過去の記憶ではなく、現在の契約プランと管理画面を正本にします。
返品・返金条件を表示する
消費者庁の通信販売広告についてでは、通信販売における返品特約等の表示について案内されています。
商品の種類、契約、法令に沿って、返品可否、期間、送料負担、返金方法等を表示します。通信販売には訪問販売のようなクーリング・オフ制度がそのまま適用されるわけではない点も、消費者庁の現行案内で確認してください。
返金原資を残す
売上金を全額仕入れへ回さず、返品率・チャージバック等をもとに返金原資を見込みます。
繁忙期後は返品が集中する場合があるため、販売月と返金月をずらして試算します。
保留・アカウント制限に備える
本人確認、商品情報、配送、苦情、不正利用等を理由に入金が保留される場合があります。
保留解除の条件・必要資料を確認し、単一チャネルの残高だけで給与や仕入れを組まないでください。
海外販売を別管理する
越境ECでは、通貨換算、決済、関税、輸送、返品、入金口座等を分けます。
経済産業省の電子商取引実態調査には越境ECの市場動向も掲載されていますが、税・通関・消費者保護は対象国・地域の専門家へ確認してください。
商品別・チャネル別の粗利を管理する
商品別の着地粗利を出す
商品原価に、輸送、関税、検品、倉庫、梱包、送料、決済・販売手数料、広告、返品、廃棄を加えます。
表面上の粗利率が高くても、返品と広告が多い商品は現金を残しません。
チャネル別に費用を分ける
自社EC、モール、卸等について、販売手数料、決済、広告、ポイント、物流、固定費を配賦します。
同じ商品でもチャネル別の手取りと入金日が異なります。
セール前後を一体で評価する
セール月の売上だけでなく、事前仕入れ、広告、値引き、ポイント、返品、翌月入金を一体で確認します。
売上記録を更新しても、在庫処分や値引きで粗利が残らなければ資金改善になりません。
新規客とリピートを分ける
新規獲得費とリピート売上を分け、回収までに必要な期間を確認します。
将来のリピートを前提に、現在の赤字と資金不足を無制限に許容しないでください。
商品・チャネルごとに、着地粗利、在庫日数、入金日を並べて販売判断を行います。
13週間資金繰り表を作る
支払いを先に入力する
仕入れ、広告カード、給与、倉庫、物流、システム、家賃、税金、返済を週別に入力します。
その後に、決済会社・モール別の確定入金を入れます。
| 週 | 主な入金 | 主な支出 |
|---|---|---|
| 第1週 | 自社EC決済振込 | 仕入れ・広告 |
| 第2週 | モール売上振込 | 給与・社会保険料 |
| 第3週 | 代引き・卸売入金 | 倉庫・物流・梱包 |
| 第4週 | その他決済振込 | 税金・返済・システム |
自社の締め・振込・引落しへ置き換えます。
入金確度を分ける
口座入金済み、振込確定、入金可能、出荷済み、未出荷、注文のみを分けます。
返品・返金・保留が見込まれる金額を別にします。
在庫発注と広告を連動する
発注量を増やす時は、広告費、物流費、売上金の振込日まで計算します。
欠品回避だけを優先し、給与や税金の現金を使い切らないでください。
下振れを試算する
売上減、広告単価上昇、返品増、入金保留、仕入遅延、為替変動等を反映します。
資金繰り表の作り方と運転資金が足りない時の対策も確認してください。
在庫発注・広告カード引落し・売上金振込を13週間表で重ねると、成長時の不足額を早く把握できます。
融資と入金早期化を比較する
契約条件と在庫を先に見直す
入金サイクル、仕入支払、発注ロット、広告上限、滞留在庫を見直します。
恒常赤字や過剰在庫を資金調達だけで延命しません。
融資は季節仕入れ前に相談する
金融機関へ、商品・チャネル別粗利、在庫一覧、売上金残高、広告費、返品率、13週間表を提示します。
日本政策金融公庫の融資業務等を確認し、繁忙期の仕入れ前に相談してください。審査と条件は個別です。
入金早期化の費用を比較する
決済会社・モールの早期振込、短い入金プラン等が利用できる場合、追加手数料と短縮日数を比較します。
サービスごとに対象売上、手数料、申請期限、保留時の扱いが異なります。
売掛債権の資金化はBtoB債権を分ける
企業向け卸売等の確定売掛債権は、条件によりファクタリングを相談できる場合があります。一方、一般消費者向け注文や決済会社・モール残高が同じ条件で資金化できるとは限りません。
ファクタリングの仕組みと注意点と手数料の計算方法を確認し、債権・契約・売掛先・手数料を個別確認します。金融庁のファクタリング利用の注意喚起にもあるとおり、買戻し・償還請求等の実態を確認してください。
支払いが迫る時の対応
今日使える現金を確定する
銀行口座、決済残高、モール残高、代引き未入金、返金予定を分けます。
入金可能日と保留条件が不明な残高を、支払い原資にしません。
発注・広告を一時調整する
粗利、在庫日数、欠品影響を見て、低回転品の発注と赤字広告を止めます。
販売機会だけでなく、給与・税金・返金の優先度を確認します。
滞留在庫を現金化する
値下げ、セット、卸、販路変更等を検討します。
ただし、ブランド、契約、表示、品質、返品条件を守り、採算割れを記録してください。
返金と顧客対応を先送りしない
資金不足を理由に正当な返金を無断で遅らせず、規約・法令に沿って対応します。
必要に応じて税理士、弁護士、金融機関、商工会議所、よろず支援拠点等へ相談します。
13週間表を毎日更新する
振込確定、返品、保留解除、仕入れ、広告停止、資金調達を反映します。
管理画面の売上ではなく、返金後に口座へ入る確定額を基準に支払いを判断します。
よくある質問
Q: EC事業はなぜ売上が増えても資金不足になりますか?
A: 仕入れ、在庫、広告、物流費が先に増え、決済売上の振込が後になるためです。返品・手数料も差し引いて確認します。
Q: 注文時点の売上を資金繰り表へ入れてよいですか?
A: 未出荷、取消、返品、保留の可能性があります。出荷・売上確定・入金可能・振込を分け、確度を付けて入力してください。
Q: 在庫は多いほど欠品を防げますか?
A: 欠品は減らせても、保管・値下げ・廃棄・資金拘束が増えます。商品別の販売速度、調達期間、発注ロットで決めます。
Q: 広告費は売上比率で管理すればよいですか?
A: 売上比率だけでなく、商品原価、決済・販売手数料、送料、返品等を引いた獲得粗利で判断します。
Q: モールや決済会社の売上金はすぐ引き出せますか?
A: 入金サイクル、最低振込額、手数料、保留・相殺はサービス・契約で異なります。現行管理画面と規約を確認してください。
Q: EC売上はファクタリングできますか?
A: 企業向け卸売等の確定売掛債権は条件により相談できる場合があります。消費者注文やモール残高は同じ条件とは限らないため個別確認が必要です。
まとめ
EC事業の資金繰りは、注文数や管理画面の売上ではなく、仕入れ・在庫・広告・物流から返品控除後の口座入金までを追うことが基本です。
商品・チャネル別に着地粗利、在庫日数、広告費、手数料、入金日を管理し、繁忙期前の仕入れと広告を13週間表へ反映します。
不足が見える時は、発注・広告・滞留在庫を見直し、融資や利用可能な入金早期化を費用と期間で比較してください。
EC事業の資金繰り改善は、売る量を増やすだけでなく、在庫と決済残高を口座現金へ戻す速度を上げることです。
