本ページにはプロモーションが含まれています。ファクタリングと融資の審査・契約条件は各社と案件により異なります。会計・税務・法務の個別判断は、金融機関、税理士、弁護士等へ確認してください。
銀行融資を相談した際、「この入金は何ですか」「売掛先から入金された直後の送金先はどこですか」と、通帳履歴について聞かれることがあります。ファクタリング会社からの入金や、2社間契約で売掛先から受け取った代金を送金した履歴が残っているためです。
ファクタリングは一般に売掛債権を売却する取引であり、利用履歴だけを理由に融資が必ず否決されるとは限りません。ただし、資金繰りが悪化した理由、手数料負担、今後の返済原資を説明できなければ、銀行は追加確認が必要になります。
銀行へ説明する時は、ファクタリングを隠すより、日付・金額・相手先・利用目的を資料で一致させることが重要です。
この記事では、通帳に残る典型的な履歴、銀行へ渡す1行説明表、添付資料、担当者への伝え方、避けたい説明を順番に解説します。
銀行担当者が知りたいのは、名前の分からない入出金を責めることではなく、資金の流れと今後の返済原資です。通帳の該当行に番号を振り、根拠資料と対応させると説明しやすくなります。
- 該当期間の通帳または入出金明細
- ファクタリング対象の請求書・契約書
- ファクタリング契約書・精算書
- 入出金説明表
- 3〜6か月の資金繰り表
ファクタリングの通帳履歴は隠さず説明する
銀行から通帳履歴について質問されたら、まず事実を整理して説明します。利用会社名、対象債権、契約方式、入金額、手数料、利用目的を確認してください。
金融庁の注意喚起は、一般的なファクタリングを債権の売買、つまり債権譲渡契約と説明しています。したがって、一般的なファクタリングは借入金と同じものではありません。
ただし、銀行は契約名だけでなく会社の資金繰り全体を見ます。短期間に何度も利用している、手数料負担が大きい、売掛金入金後も資金が残っていないといった状況なら、融資後の返済可能性を確認する必要があります。
通帳履歴の説明では、「ファクタリングを使った事実」と「資金繰りが今後どう改善するか」を分けて伝えます。
利用しただけで融資否決と決まるわけではない
融資の判断は金融機関、制度、申込内容により異なります。ファクタリングの利用歴があるだけで一律に否決されると断定はできません。
一時的な入金サイトのずれ、大型受注の先行費用、補助金や融資実行までのつなぎなど、合理的な資金需要はあります。重要なのは、債権売却で得た資金を何に使い、その後どう正常化したかを説明できることです。
ファクタリングが銀行融資へ影響する経路の全体像は、ファクタリングは銀行融資に影響する?で解説しています。本記事では、銀行から通帳について聞かれた後の資料作成に絞ります。
銀行が確認したいのは資金の流れと返済原資
金融庁が公表した事業性融資の基本的な考え方では、事業の実態や将来性、将来キャッシュフロー、資金使途に見合う返済計画を踏まえる考え方が示されています。
そのため、通帳の1行だけを切り取って説明するより、次の流れを一つにします。
- なぜ資金が必要だったか
- どの売掛債権を売却したか
- いくら受け取り、手数料はいくらだったか
- 何の支払いに使ったか
- 対象の売掛金はいつ入金されたか
- 現在はファクタリングを使わずに回るか
- 融資後の返済原資は何か
ファクタリング利用で通帳に残る典型的な履歴
契約方式や入金方法により履歴は異なります。自社の契約書と通帳を照合し、以下のどの流れに当てはまるか確認してください。
ファクタリング会社からの入金
契約後、ファクタリング会社から買取代金が振り込まれます。振込名義は運営会社名、サービス名、決済代行会社名等の場合があります。
たとえば額面500万円の売掛金を手数料5%で売却し、追加費用がなければ、入金額は475万円です。実際には振込手数料や登記費用等が加わる場合があるため、契約書や精算書の手取り額と通帳入金額を照合します。
銀行担当者には、日付・金額・振込名義・資金使途をセットで示します。「一時的な入金です」だけでは、取引内容を確認できません。
2社間契約では売掛先入金後の送金が残る
2社間ファクタリングでは、売掛先が通常どおり利用会社の口座へ代金を支払い、利用会社が契約に従ってファクタリング会社へ送金する形があります。
この場合、通帳には次のような動きが残ります。
- ファクタリング会社から買取代金が入金
- 後日、売掛先から請求額が入金
- 同日または契約上の期限までにファクタリング会社へ送金
銀行には、最初の入金と後日の送金を別取引に見せず、同じ売掛債権に関する一連の精算として説明します。
ここで必要なのは、請求書から買取入金、売掛先入金、ファクタリング会社への送金までの対応関係です。金額が違う場合は、手数料、相殺、分割請求、別債権等の理由を書きます。
3社間契約では売掛先から直接支払われる場合がある
3社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社へ直接支払う形が一般的です。その場合、自社通帳に売掛先からの入金と送金が残らないことがあります。
ただし、買取代金の入金は残ります。3社間契約書、債権譲渡通知や承諾、請求資料を示し、どの売掛金を売却したか説明します。
別口座や複数債権がある場合
売掛先入金が別口座へ入る、複数請求をまとめて売却した、一部だけを資金化した場合は、通帳1冊では流れが完結しません。
対象口座すべての明細を用意し、「口座Aで買取代金を受領」「口座Bで売掛金を回収」「口座Bから精算」のように整理します。都合の悪い口座を省くと、説明資料と決算書・売掛金元帳が合わなくなります。
銀行へ出す入出金説明表の作り方
通帳コピーに手書きで長い説明を加えるより、該当行へ番号を振り、別紙の説明表と対応させると見やすくなります。
説明表は、通帳の不明な入出金を「契約・請求・精算」の資料へつなぐ索引として作ります。
| No. | 日付 | 入出金 | 金額 | 相手先・摘要 | 内容 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 6月10日 | 入金 | 475万円 | ○○株式会社 | 500万円の売掛債権を売却した買取代金 | 契約書・精算書 |
| 2 | 6月28日 | 入金 | 500万円 | △△株式会社 | 対象請求書の売掛先入金 | 請求書・入金明細 |
| 3 | 6月28日 | 出金 | 500万円 | ○○株式会社 | 2社間契約に基づく回収代金の送金 | 契約書・振込控え |
これは記載例です。自社の実際の契約・金額・日付に置き換えてください。
根拠資料は通帳の番号とそろえる
銀行へ提出する主な資料は次のとおりです。
- 対象の請求書
- 基本契約書、発注書、納品書、検収書
- ファクタリング契約書
- 買取明細、精算書
- 振込控え
- 売掛金元帳
- 総勘定元帳
特に、請求書・ファクタリング契約書・精算書の3点で、対象債権、額面、手数料、手取り額を確認できるようにします。
通帳の該当行へ「別紙No.1」と記載し、契約書にも同じ番号の付箋を付けると、担当者が追いやすくなります。原本へ直接書き込まず、提出用コピーやPDFへ注記する方法が安全です。
会計処理と説明表を合わせる
ファクタリングの会計処理は、契約内容、債権の移転、償還請求権等により個別判断が必要です。銀行へ提出する試算表、総勘定元帳、通帳説明表で名称や金額が食い違わないよう、顧問税理士へ確認してください。
一般的なファクタリングと融資の違いは、ファクタリングと銀行融資の比較で整理しています。契約名だけで機械的に処理せず、実際の契約条件を基に判断します。
資金繰り表を一緒に出す
通帳説明表は過去の資金移動を説明する資料です。銀行が融資後の返済可能性を判断するには、将来の入出金も必要です。
J-Net21の資金繰り表の解説では、資金繰り表を将来の現金の流れを把握し、融資相談を円滑にする資料として説明しています。
少なくとも次の3〜6か月について、月初残高、売上入金、仕入・外注費、給与、税・社会保険、借入返済、その他支出、月末残高を記載します。将来の入出金を月ごとに並べ、ファクタリングを終了した後も月末残高を維持できるか確認してください。
銀行担当者への伝え方
説明は、「取引の事実」「利用理由」「現在の状況」「融資後の計画」の順に進めると整理しやすくなります。
1. どの債権を売却したか
「6月末入金予定の△△社向け請求500万円を、6月10日に2社間ファクタリングで売却しました」と、対象と契約方式を明確にします。
2. なぜ利用したか
資金使途を具体化します。「資金繰りのため」だけではなく、「大型受注の材料費300万円と外注費150万円の支払日が売掛金入金より18日早かったため」のように、金額と日付を示します。
利用理由は、抽象的な苦しさではなく、支払日と入金日のずれで説明します。
3. いくら負担したか
額面、手数料率、手数料額、その他費用、手取り額を示します。銀行は、ファクタリングを繰り返しても利益と現金が残るか確認します。
ファクタリング手数料の相場も参照し、自社が実際に負担した総額を把握してください。
4. 現在も利用しているか
一度で終了したなら、終了日と現在の利用残を説明します。継続中なら、対象債権、月額、手数料、終了予定、正常化策を示します。
銀行に話す時は、今後3〜6か月の資金繰りとファクタリング終了予定を一緒に示します。終了時期を決められない場合は、売上総利益、回収サイト、支払条件、固定費の改善策を説明します。
5. 融資金を何に使い、何で返すか
ファクタリングの穴埋めだけを目的に新しい融資を受けると、債権売却と借入返済が重なり、資金繰りがさらに複雑になることがあります。
融資希望額を、仕入、設備、納税、運転資金等に分け、返済原資を月次の営業キャッシュフローで示します。
日本政策金融公庫のインターネット申込の必要書類でも、法人に決算書、状況により試算表、設備資金では見積書等を求めています。通帳だけでなく、事業全体を説明する資料をそろえてください。
融資以外の方法も含めて見直す場合は、企業の資金調達方法で、借入、資産売却、出資、ファクタリング等の違いを確認できます。
状況別の説明例
以下は会話を組み立てる例です。そのまま使わず、実際の契約と数字に合わせてください。
一時的な入金ずれで利用した場合
「主要取引先の支払日が6月末、材料費と給与の支払日が6月10日だったため、500万円の請求書を売却し475万円を受け取りました。手数料は25万円です。6月28日に売掛金500万円が入金し、同日ファクタリング会社へ送金して契約は終了しています。7月以降は通常の入金で回り、再利用予定はありません」
大型受注の先行費用に使った場合
「通常月商を上回る受注があり、材料費と外注費が先行しました。発注書、原価表、納品予定、請求予定を添付しています。受注粗利と今後の入金で返済可能な計画ですが、同じ規模の受注に備え、今回の融資で短期運転資金枠を整えたいと考えています」
継続利用している場合
「過去4か月、毎月300万〜500万円の債権を資金化しています。主因は売掛サイト60日と外注費30日払いの差です。現在、取引先へ分割請求と支払サイト短縮を交渉し、固定費も月20万円削減しました。添付の資金繰り表では、融資実行後3か月で利用額を半減し、6か月で終了する計画です」
継続利用を一時利用のように見せず、改善策と実績を月次で示します。
銀行への説明で避けたいこと
ファクタリング利用を隠す
通帳、試算表、売掛金元帳、債権譲渡登記、取引先情報等から確認される可能性があります。見つかるかどうかではなく、正確な情報開示を優先してください。
履歴を消すことはできないため、隠すのではなく説明できる状態に整えます。
利用を隠す、別名目にする、金額を変える対応は避けてください。 融資申込書で他の資金調達や債務について質問された場合は、設問に従って正確に回答します。
「借入ではないので関係ない」とだけ答える
一般的なファクタリングが債権売却でも、資金繰りに与える影響はあります。銀行が確認しているのは、契約分類だけでなく手数料負担と継続性です。
契約書や手数料を把握していない
手数料率、手数料額、償還請求権、買戻し、精算方法、契約終了状況を説明できないと、会社の資金管理に不安を持たれる可能性があります。
ファクタリング契約で通帳コピーを求められる理由や代替書類は、通帳コピーなしでファクタリングを使えるかで確認できます。銀行説明では、ファクタリング申込時より広い資金繰り資料が必要になる点に注意してください。
融資相談前の最終チェック
- 通帳の該当行へ番号を付けたか
- 入出金説明表と通帳の日付・金額が一致するか
- 請求書と売掛先入金を対応させたか
- ファクタリング契約書と精算書を用意したか
- 手数料とその他費用を把握したか
- 利用目的を支払日と金額で説明できるか
- 現在の利用残と終了予定を説明できるか
- 融資希望額の資金使途を分けたか
- 融資後の返済を資金繰り表へ入れたか
- 税理士と会計処理を確認したか
金融庁は金融の円滑化に向けた取組で、金融機関へ事業者の資金繰り相談に丁寧に対応するよう要請しています。質問されるまで待つのではなく、資金が必要な時期に余裕を持って相談してください。
よくある質問
Q: ファクタリングの通帳履歴があると銀行融資に落ちますか?
A: 利用履歴だけで一律に否決されるとは限りません。利用理由、手数料負担、継続状況、融資後の返済原資等を金融機関が個別に判断します。
Q: ファクタリング会社からの入金は何と説明すればよいですか?
A: 対象の売掛債権を売却して受け取った買取代金と説明し、請求書、契約書、精算書を添付します。会計科目は契約内容を基に税理士へ確認してください。
Q: 2社間ファクタリングの送金履歴はどう説明しますか?
A: 売掛先から受け取った対象債権の代金を、契約に従ってファクタリング会社へ送金した一連の精算と説明します。買取入金から送金までを同じ番号で対応させます。
Q: 銀行へファクタリング契約書を見せる必要がありますか?
A: 必要資料は金融機関により異なります。ただし、入出金の根拠、手数料、契約終了状況を説明するため、契約書と精算書を用意しておく方が確認に対応しやすくなります。
Q: 継続利用中でも融資を相談できますか?
A: 相談はできますが、融資可否は個別判断です。毎月の利用額、手数料、利用原因、終了予定、融資後の資金繰りを説明してください。
Q: 銀行に聞かれる前に伝えた方がよいですか?
A: 融資相談で対象期間の通帳や資金繰りを提出するなら、説明が必要な入出金は先に資料化する方が対話を進めやすくなります。提出範囲と説明方法は担当者へ確認してください。
まとめ
ファクタリング利用後の通帳には、買取代金の入金、売掛先からの入金、ファクタリング会社への送金等が残ります。銀行から質問されたら、対象債権、契約方式、額面、手数料、資金使途、契約終了状況を整理してください。
通帳の該当行へ番号を振り、入出金説明表、請求書、契約書、精算書、売掛金元帳、資金繰り表へつなげると、過去の取引と将来の返済原資を分けて説明できます。
銀行への説明は、ファクタリングの名称を取り繕うことではなく、資金の流れと改善計画を同じ数字で示す作業です。
最後に、通帳、会計帳簿、銀行への説明で同じ取引を同じ数字・同じ理由で説明できるかを確認し、余裕を持って金融機関へ相談しましょう。
