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資金調達計画書は、「何に・いくら必要か」「いつ調達するか」「どの方法で用意するか」「返済や回収をどう見込むか」を一枚でつなぐ資料です。 必要資金と調達方法の合計を一致させるだけでは不十分で、実際の支払日より前に資金が入り、返済後も最低現金残高を割らないことを確認します。
テンプレートを埋める順番は、調達方法からではなく、支払日と必要額の積み上げからです。 「借りられる額」を先に置くと、不要な借入や資金不足が起こりやすくなります。
- 資金調達計画書と事業計画書・資金繰り表の違い
- 必要資金、調達方法、実行時期、返済をまとめる項目
- 600万円を調達する架空の記入例
- 金融機関や社内で説明できる数字の整え方
資金調達計画書とは何を決める資料か
資金調達計画書という名称や様式は提出先によって異なります。創業計画書の「必要な資金と調達方法」、事業計画書の資金計画、社内の資金調達方針などに含まれることがあります。
必要資金と調達方法を一致させる
設備、在庫、採用、広告、赤字補てんなどの必要資金を左側へ、自己資金、借入、出資、補助金などの調達方法を右側へ置き、双方の合計を一致させます。
合計が一致しても、支払い600万円に対して調達が550万円なら不足です。反対に、使途が説明できない余剰調達も利息や希薄化などのコストを増やします。
調達の実行時期を決める
設備代の支払日が10月31日なら、11月に融資実行されても間に合いません。申込、審査、契約、入金の期間を逆算し、余裕日を含めた期限を置きます。
補助金は交付決定と入金が同時とは限らず、出資も合意から着金まで手続きがあります。方法ごとに「入金できる最短日」ではなく、現実的な予定日を使います。
返済・持分・使途制約を記録する
借入には返済と利息、出資には持分や意思決定への影響、補助金には対象経費と報告、ファクタリングには手数料と対象債権があります。
調達額だけで比べず、返済後の現金、既存株主への影響、使途制約、実際の手取り額まで同じ表にします。
事業計画書・資金繰り表との違い
3つの資料は重なりますが、答える質問が違います。
| 資料 | 主な質問 | 時間軸 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 事業計画書 | なぜ事業が成り立つか | 中長期 | 顧客、商品、競争、収支、体制 |
| 資金調達計画書 | 何円をいつどう用意するか | 調達前後 | 必要資金、方法、時期、条件、返済 |
| 資金繰り表 | 月末に現金が残るか | 月次・週次 | 入金、支払、借入、返済、残高 |
事業計画書は調達の根拠を説明する
金融機関や投資家は、調達表の数字だけでなく、売上の前提、経費、人員、顧客、経営者の経験を確認します。運転資金の事業計画書テンプレートは、融資相談向けの詳しい資料を扱っています。
資金調達計画書では、その事業計画から「いつ何円必要になるか」を抜き出します。
資金繰り表はタイミングを検証する
年間売上と利益がプラスでも、設備代を先払いし、売上入金が3か月後なら資金ショートします。資金繰り予測が外れる原因も確認し、月末残高の不足月と金額を計画書へ戻します。
3資料の数字を同じ前提にする
事業計画の人件費が月200万円、資金繰り表が180万円、調達計画が150万円では説明できません。税込・税抜、入金サイト、設備の支払条件、借入返済開始月を統一します。
- 売上開始月と入金月が一致している
- 設備・在庫・採用費の金額が一致している
- 借入額、実行月、返済開始月が一致している
- 自己資金の残高根拠がある
- 返済後の最低現金残高が同じ
資金調達計画書に入れる9項目
提出先の様式を優先しつつ、社内管理用には次の項目を持たせます。
1. 資金使途
設備資金、運転資金、納税、買収費用など、用途を分けます。「事業資金一式」では見積もりも事後管理もできません。
設備なら見積先・数量・支払条件、運転資金なら人件費何か月分、仕入何回分という根拠を添えます。
2. 必要額
見積書、給与台帳、契約書、過去実績などから積み上げます。予備費を入れるなら、何の変動に備え、上限を何%としたかを記載します。
3. 必要日
発注日ではなく、資金が口座から出る日を置きます。手付金、中間金、残金に分かれる場合は行を分けます。
4. 調達方法
自己資金、借入、出資、社債、補助金、クラウドファンディング、売掛債権活用などから選びます。企業の資金調達方法一覧で特徴を確認し、今回の使途に合わない方法を外します。
5. 調達先
金融機関名、制度名、投資家候補、補助金名などを記載します。検討中と内諾済みを同じ確度で扱わず、接触前・相談中・申込・承認・契約・入金済みに分けます。
6. 調達額と手取り額
額面調達額から、融資事務費、保証料、出資関連費用、クラウドファンディング手数料、ファクタリング手数料などを控除します。
必要支払額は「調達額」ではなく「実際に使える手取り額」で満たします。
7. 実行予定日
申込日、資料提出日、審査回答日、契約日、着金日を置きます。単に「9月中」では、支払日の前後が判断できません。
8. 返済・条件
借入額、金利、期間、据置、毎月返済、担保・保証、資金使途を記載します。出資は株式種類、持分、主要条件、補助金は対象経費・補助率・精算時期を記録します。
9. 予備案と撤退条件
第一案が期限までに決まらない場合の第二案、支出延期、規模縮小、自己資金の追加上限を決めます。 「何とかする」を予備案にしないことが重要です。
そのまま使える資金調達計画書テンプレート
次の表をスプレッドシートへコピーし、1行1使途・1方法で作成します。
必要資金の表
| No. | 資金使途 | 根拠 | 支払先 | 必要日 | 必要額 | 確度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 設備資金 | 見積書A | A社 | YYYY/MM/DD | 0円 | 確定 |
| 2 | 初期在庫 | 発注予定表 | B社 | YYYY/MM/DD | 0円 | 見込 |
| 3 | 運転資金 | 固定費3か月 | 複数 | YYYY/MM/DD | 0円 | 見込 |
| 合計 | 0円 |
確度は、契約済み、見積取得済み、概算などに分けます。概算が大きい場合は相見積もりや仕様確定を先に行います。
調達方法の表
| No. | 調達方法 | 調達先 | 額面 | 費用 | 手取り | 入金予定日 | 条件・返済 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 自己資金 | 自社 | 0円 | 0円 | 0円 | YYYY/MM/DD | 返済なし |
| 2 | 融資 | 金融機関 | 0円 | 0円 | 0円 | YYYY/MM/DD | 期間・返済 |
| 3 | 補助金等 | 制度名 | 0円 | 0円 | 0円 | YYYY/MM/DD | 対象経費 |
| 合計 | 0円 | 0円 | 0円 |
必要資金合計と手取り合計を一致させます。入金が支払後なら、その期間を別の方法でつなぐ必要があります。
実行管理の表
| 方法 | 次の行動 | 担当 | 期限 | 状況 | 不成立時の代替 |
|---|---|---|---|---|---|
| 融資 | 申込資料提出 | 代表 | YYYY/MM/DD | 相談中 | 設備を分割発注 |
| 補助金 | 交付要綱確認 | 経理 | YYYY/MM/DD | 未着手 | 自己資金上限を確認 |
小谷良太表は一度作って終わりではありません。見積額、審査日、着金予定が変わるたびに、資金繰り表と同じ日付で更新すると判断がぶれません。
600万円を調達する記入例
以下は、製造事業を始める架空の会社が600万円を必要とする例です。実際の条件ではありません。
必要資金を積み上げる
| 使途 | 必要日 | 金額 |
|---|---|---|
| 生産設備 | 10月31日 | 300万円 |
| 初期材料 | 10月20日 | 120万円 |
| 採用・教育 | 11月30日まで | 60万円 |
| 固定費3か月分 | 12月31日まで | 120万円 |
| 合計 | 600万円 |
設備の見積額、材料の発注量、固定費の内訳を添付します。固定費3か月分は、売上発生ではなく初回入金までの期間から決めます。
調達方法を組み合わせる
| 方法 | 額面 | 費用 | 手取り | 入金予定 |
|---|---|---|---|---|
| 自己資金 | 150万円 | 0円 | 150万円 | 即時 |
| 金融機関融資 | 400万円 | 10万円 | 390万円 | 10月15日 |
| 前受金 | 60万円 | 0円 | 60万円 | 10月10日 |
| 合計 | 610万円 | 10万円 | 600万円 |
額面610万円でも、費用10万円を差し引いた手取りは600万円です。融資費用を別途自己資金から払う場合は、その支払いも必要資金側へ入れます。
返済後残高を確認する
仮に融資400万円を年3.0%、5年、元金均等で返す単純な概算なら、元金は月約6.7万円で、これに利息が加わります。実際の約定返済は金融機関の返済予定表を使ってください。
売上入金が12月開始なら、10〜11月の支出と返済を自己資金・前受金で支えられるかを月別に確認します。日本政策金融公庫の運転資金も参考に、設備と運転資金を分けて説明します。
予備案を設定する
融資実行が10月31日へ遅れた場合は、生産設備を200万円分だけ先行し、残り100万円を第2段階へ延期する、と決めます。前受金が30万円に減った場合は材料発注量を見直します。
予備案は別の高コスト調達へ自動的に切り替えることではなく、支出額と開始時期を変える案も含めます。
調達方法を選ぶときの比較基準
調達方法は、資金の性質と会社の状況で選びます。
融資
経営権を維持しやすい一方、元金と利息を返済します。設備や反復する運転資金など、返済原資が説明できる使途に向きます。
審査期間と提出資料を見込み、必要日の直前に相談しないことが重要です。
出資
原則として約定返済はありませんが、株式や意思決定、将来の売却方針を話し合います。単なる資金提供ではなく、企業価値と成長計画を共有する相手を選びます。
出資額だけでなく、調達後の持分比率と次回調達への影響を資本政策表で確認します。
補助金・助成金
対象経費の一部を支援する制度が中心で、申請・審査・交付決定・実績報告があります。支払後に精算される場合は、一時的な立替資金が別に必要です。
採択前提で契約を確定せず、不採択時の縮小案を用意します。
売掛債権の活用
確定した売掛金の入金を前倒しする方法です。将来売上や未完成の契約をそのまま資金化するものではありません。手数料を含む手取りと、通常入金を待つ場合の不足コストを比較します。
ファクタリングを使う判断基準で、融資との違いを確認してください。
- 額面ではなく手取り
- 入金可能日と支払期限
- 返済・持分・使途制約
- 必要資料と社内決議
- 不成立時に失う時間と費用
提出先別に説明を変える
同じ数字でも、相手が知りたい点は異なります。
金融機関向け
資金使途、返済原資、既存借入、担保・保証、資金繰りを重視します。売上計画は契約、受注、過去実績などで裏付けます。
月次返済後も手元資金が残ることを示し、赤字月があるなら原因と回復時期を説明します。
投資家向け
市場、成長率、競争優位、資金使途による企業価値向上、次のマイルストーンを説明します。単月の返済余力より、調達資金が成長へどう変わるかが中心です。
ただし、成長率だけで現金不足を隠さず、次回調達までのランウェイを示します。
補助金・社内決裁向け
補助金は公募目的、対象経費、実施体制、成果指標へ合わせます。社内決裁では、第一案・予備案・最大損失・担当責任を明確にします。



同じ600万円でも、金融機関には返済、投資家には成長、社内には実行責任を説明します。数字の前提は変えず、相手が判断する順番へ並べ替えましょう。
資金調達計画書で起きやすいミス
完成前に、次の誤りを点検します。
必要資金に運転資金が入っていない
設備代だけを計上し、売上入金までの給与・家賃・仕入が抜けるケースです。初回売上ではなく初回入金までの固定費と変動費を入れます。
調達額と手取り額を混同する
事務費、保証料、手数料を差し引くと、支払額に届かないことがあります。資金調達コストで、金額だけでなく利用期間もそろえて比較します。
売上と入金を同じ月に置く
掛取引なら、売上計上から30日・60日後に入金されます。検収や請求締めが遅れる可能性も織り込みます。
第一案しかない
融資否決、出資遅延、補助金不採択で計画全体が止まります。支出延期、段階投資、規模縮小、前受けなど、資金を増やさない代替案も置きます。
更新履歴がない
誰がいつ金額を変えたか分からないと、古い表で意思決定します。基準日、版番号、変更理由、承認者を記録してください。
資金調達計画書に関するよくある質問
資金調達計画書に決まった様式はありますか?
一律の様式はありません。金融機関や制度が指定する様式を優先し、社内用には資金使途、必要額、必要日、方法、手取り、入金日、返済・条件、予備案を追加します。
事業計画書があれば資金調達計画書は不要ですか?
事業計画書に必要資金と調達方法、時期、返済が十分に含まれていれば別紙不要の場合があります。ただし、実行管理には一枚の調達表を作ると更新しやすくなります。
運転資金は何か月分を入れますか?
一律ではありません。売上開始から初回入金までの期間、固定費、仕入サイト、季節変動、最低現金残高から計算します。根拠のない「3か月分」ではなく月次資金繰りで確認してください。
自己資金はいくら入れるべきですか?
業種、総額、審査、手元資金の安全余裕で変わります。自己資金をすべて使って調達後残高が0円になる計画も危険です。支払後・返済後の最低残高を残します。
補助金を調達方法に入れてもよいですか?
採択・交付決定・入金の確度を分けて記載します。精算払いなら、支出から入金までをつなぐ別資金が必要です。不採択時の代替案も併記します。
計画書はいつ更新しますか?
見積変更、申込、審査回答、契約、着金、支払延期が起きた都度更新し、少なくとも月次で資金繰り表と照合します。基準日と版番号を残してください。
まとめ
資金調達計画書は、必要資金と調達方法を並べるだけの表ではありません。支払日までに手取り額を用意し、返済・持分・使途制約を理解し、調達後も最低現金残高を守るための実行資料です。
「何に・いくら・いつ必要か」から作り、調達方法、着金日、返済、予備案の順でつないでください。



最後に「第一案が1か月遅れたら残高はいくらか」を試してください。遅延しても支払いを守れる計画なら、実行時の選択肢が増えます。
参考にした公的・公式情報
- 日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック」(2026-07-31確認)
- 日本政策金融公庫「創業計画の書き方」(2026-07-31確認)
- 日本政策金融公庫「創業計画Q&A」(2026-07-31確認)
- J-Net21「よいビジネスプランの書き方」(2026-07-31確認)
- J-Net21「金融機関に提出する事業計画書の書き方」(2026-07-31確認)

