本ページにはプロモーションが含まれています。経営改善計画の内容、金融支援、計画策定支援制度の対象・費用負担は、会社の状況、金融機関、支援制度等によって異なります。最新条件は各機関へ確認してください。
経営改善計画で資金繰りを立て直すには、売上や利益の目標だけでなく、入金・支払・借入返済を反映した現預金残高までつなげる必要があります。黒字計画でも売掛金の回収が遅ければ、支払日に現金が足りないことがあるからです。
最初に13週間の資金繰りで不足日を確認し、その後に現状分析、改善施策、損益計画、12か月の資金繰り計画を作ります。提出して終わりではなく、毎月の実績差異を確認して施策と資金計画を更新します。
この記事では、経営改善計画に入れる項目、数字のつなぎ方、金融機関への説明、公的支援、短期の資金不足が迫る時の対応を解説します。
経営改善計画は、利益を増やす話だけでなく「いつ現金が足りなくなり、施策でどう埋めるか」まで示す計画です。
売上を20%増やすと書くだけでは資金繰り計画になりません。誰が、いつ、何をして、受注・請求・入金が何月に増えるかまで分けると実行できる計画になります。
- 直近2〜3期の決算書
- 直近の試算表・借入一覧
- 売掛金・買掛金の回収支払条件
- 13週資金繰り表
- 12か月の資金繰り実績・計画
- 改善アクションプラン
- 損益・返済計画
経営改善計画は利益と現金をつなぐ計画
経営改善計画は、業績が悪化した原因を整理し、どの施策で収益・財務・資金繰りを改善するかを数値と行動で示すものです。
中小企業庁の早期経営改善計画策定支援では、ビジネスモデル俯瞰図、経営課題と基本方針、アクションプラン、損益計画、資金繰表を計画の構成として示しています。
経営改善計画は一つの決まった様式だけではありません。提出先、金融支援の有無、会社の規模、窮境の程度により必要な内容は異なります。
事業計画と資金繰り計画を一致させる
売上計画が増えていても、入金が翌々月なら当月の現金は増えません。原価や外注費を先に払う事業では、売上増加によって一時的な資金需要が増えることもあります。
損益計画の売上・費用が、いつ入金・支払になるかを資金繰り表へ置き換えてください。
計画書を作るだけでは現金は増えない
経営改善計画を金融機関へ提出しても、融資、返済条件変更、保証等が自動的に決まるわけではありません。金融機関や支援機関は、会社の実態、実現可能性、資金使途、返済可能性等を個別に確認します。
計画作成と同時に、期限が迫る支払い、回収可能な売掛金、相談が必要な借入を動かす必要があります。
資金繰り表だけでも不十分
資金繰り表は現金の増減を示しますが、なぜ売上が落ちたか、どの顧客・商品を見直すか、誰が施策を実行するかまでは示しません。
経営改善計画では、事業の原因分析、改善行動、損益効果、現金効果を一つの流れにします。
計画作成前に資金不足の期限を確認する
長期計画を作り始める前に、今日の預金残高と直近13週間の入出金を確認します。計画完成前に資金が尽きるなら、作成と短期対応を並行しなければなりません。
今日の現預金と支払予定を確定する
すべての銀行口座、手元現金、確実な入金、給与、仕入、外注費、家賃、税金・社会保険料、借入返済を並べます。
未確定の売上見込は、確定入金と分けてください。「受注できそう」「融資を申し込む予定」を確実な入金として扱うと、資金不足の発見が遅れます。
13週間を週単位で見る
月次資金繰りでは、月中の給与日や口座振替日に残高が足りない問題を見落とすことがあります。資金が厳しい時は、少なくとも13週間を週単位で作ります。
| 週 | 期首残高 | 確定入金 | 確定支払 | 期末残高 |
|---|---|---|---|---|
| 第1週 | 300万円 | 50万円 | 180万円 | 170万円 |
| 第2週 | 170万円 | 80万円 | 120万円 | 130万円 |
| 第3週 | 130万円 | 30万円 | 200万円 | ▲40万円 |
この例では、第3週に40万円不足します。支払調整、回収前倒し、既存枠、短期資金等を、第3週より前に検討します。
不足額を最低必要額と余裕額に分ける
最低限必要な金額と、予期せぬ遅延に備える運転余裕を分けます。すべてを外部調達で埋める前に、支払日変更、不要支出停止、未請求回収、遊休資産等を確認します。
会社が危機的な状態にある時の初動は会社が潰れそうな時に見る数字と資金繰り改善策でも整理しています。
経営改善計画に入れる7項目
1. 会社・事業の概要
会社、事業、主要商品・サービス、顧客、仕入先、販売経路、入金・支払条件を整理します。
単なる会社案内ではなく、どこで粗利が生まれ、どこに運転資金が必要かを見えるようにします。
2. 財務・資金繰りの現状
売上高、粗利率、営業利益、借入残高、月返済額、現預金、売掛金、在庫、買掛金等の推移を確認します。
同業他社との比較より先に、自社の前年差、計画差、部門差を見ます。資金繰り悪化の時期と、その前に変化した数字を対応させることが重要です。
3. 悪化原因
外部要因と内部要因を分けます。
| 区分 | 例 | 確認する数字 |
|---|---|---|
| 売上 | 主要顧客の失注、単価低下 | 顧客別売上・単価 |
| 粗利 | 原材料高、外注費増 | 商品別・案件別粗利 |
| 固定費 | 人員・家賃・システム過多 | 損益分岐点 |
| 運転資金 | 回収長期化、在庫増 | 売掛・在庫回転 |
| 財務 | 返済負担増 | 年間返済額・CF |
「景気が悪い」だけで終えず、自社で変えられる原因と変えにくい原因を分けます。
4. 改善の基本方針
どの事業を伸ばすか、縮小するか、撤退するか、どの顧客・商品・コストを見直すかを決めます。
すべてを改善する計画ではなく、現金と利益への効果が大きい施策に優先順位を付けます。
5. アクションプラン
施策ごとに、担当者、開始日、完了日、月次目標、費用、損益効果、現金効果を記載します。
| 施策 | 担当 | 期限 | 損益効果 | 現金化時期 |
|---|---|---|---|---|
| 不採算案件の価格改定 | 営業責任者 | 9月 | 粗利月30万円増 | 11月入金から |
| 過剰在庫の処分 | 購買責任者 | 8月 | 処分損を計上 | 8〜9月に80万円回収 |
| 不要契約の解約 | 管理責任者 | 8月 | 固定費月10万円減 | 9月支払から |
改善効果を計上する月と、現金が動く月を分けます。
施策は「実行した日」「損益に効く月」「現金に効く月」の三つを分けて記録します。
6. 損益・財務計画
売上、原価、粗利、販管費、営業利益、経常利益を月次・年次で作ります。必要に応じて貸借対照表と借入残高も計画します。
売上増加率は、顧客数、単価、受注確度、営業人員等へ分解し、根拠を残します。
7. 資金繰り・返済計画
損益計画を、回収サイト・支払サイト・税金・設備投資・借入・返済へ変換します。
日本政策金融公庫の経営改善計画書策定の手引にも、売掛金回収や支払、財務収支を含む資金繰り表の作成例があります。
最終的に各月の現預金残高がマイナスにならないか、借入返済後も必要な運転資金が残るかを確認します。
改善施策を資金繰りへ反映する方法
売上増加は請求・入金月へずらす
9月に追加受注しても、納品が10月、請求が10月末、入金が12月末なら、現金効果は12月です。9月の資金繰りへ入れてはいけません。
受注確度が低い案件は、基本計画と上振れ計画を分けます。
コスト削減は解約・支払終了月から入れる
8月に解約を決めても、契約上10月まで支払が続くなら、資金効果は11月以降です。違約金や原状回復費がある場合は先に支出が増えることもあります。
在庫・売掛金・買掛金を反映する
在庫削減は仕入支出を減らす効果と、在庫売却で現金を得る効果を分けます。売掛金回収の短縮は、取引先との合意と実際の入金月で反映します。
買掛金の支払延長は、取引先の同意なく計画へ入れません。支払遅延を前提にした資金繰りは実行可能性が低く、取引関係を損ないます。
借入・リスケを確定前に入れない
融資申込中、借換え相談中、返済条件変更の相談中は、承認・合意前の資金です。基本計画では未確定として扱い、実行された場合の別シナリオを作ります。
資金調達が通らないと即座に資金ショートする計画なら、支出削減や回収改善を含む代替案が必要です。
ファクタリングは将来入金の前倒しとして扱う
確定した売掛金をファクタリングすると、入金時期は早まりますが、手数料分だけ将来受け取る現金が減ります。
資金繰り表では、ファクタリング入金、手数料、売掛先入金後の送金を契約方式に合わせて反映します。仕組みはファクタリングの資金の流れで確認できます。
金融機関へ説明する時の資料と注意点
資金使途・必要日・返済原資を一致させる
金融機関へ融資や条件変更を相談する場合は、何に、いつ、いくら必要か、その資金で何が改善し、どこから返済するかを説明します。
運転資金なら、仕入、給与、外注費、売掛回収までの期間等を示します。赤字補填だけでなく、赤字原因と改善期限を説明します。
借入一覧を一本化する
金融機関別、借入日、当初額、残高、金利、月返済、保証、担保、返済条件変更の有無を一覧にします。
複数行と取引がある場合は、一行だけに異なる説明をしないでください。計画と借入一覧の数字を統一します。
計画の前提を明示する
売上、粗利、回収日、支払日、コスト削減、資産売却等の前提を書きます。
楽観、基本、悲観の三つを作る場合は、それぞれで資金不足日と必要対応を確認します。
金融機関へ示す基本計画は、根拠を説明できる前提で作り、上振れだけに依存しないようにします。
計画提出は支援決定ではない
経営改善計画を提出しても、融資・保証・返済条件変更が約束されるわけではありません。金融機関、信用保証協会、支援機関等が個別に判断します。
資金が必要な日から逆算し、必要資料と審査・協議期間を確認してください。運転資金そのものの整理は運転資金が足りない時の対策も参考にできます。
計画と実績の差を毎月見直す
経営改善計画は、提出時より実行後の管理が重要です。
月次試算表と資金繰り実績を早く確定する
月が終わったら、売上、粗利、固定費、現預金、売掛金、在庫、借入残高を確認します。締めてから何か月も経過すると、資金不足の発見が遅れます。
差異を金額と原因に分ける
| 項目 | 計画 | 実績 | 差異 | 原因 |
|---|---|---|---|---|
| 売上入金 | 800万円 | 650万円 | ▲150万円 | 納品が翌月へ延期 |
| 仕入支払 | 400万円 | 450万円 | ▲50万円 | 原材料の前倒し購入 |
| 固定費 | 200万円 | 190万円 | +10万円 | 契約解約が前倒し |
差異が一時的か、翌月以降も続くかを判断します。
未達額だけでなく、未達の原因が翌月に解消するのか、計画の前提を変える必要があるのかを判断してください。
アクションプランを更新する
計画未達なら「営業を強化する」と書くだけでなく、案件数、見積提出数、成約率、単価、担当、期限を見直します。
施策を実施したのに効果が出ない場合は、前提そのものを修正します。
13週資金繰りを毎週更新する
月次実績を反映し、直近13週の入出金を更新します。資金不足が見えた時点で、支払前に金融機関・取引先・支援機関へ相談できる状態を保ちます。
中小企業庁の収益力改善支援も、計画成立後の定期的なモニタリングを支援内容に含めています。
公的な計画策定支援と相談先
早期経営改善計画策定支援
中小企業庁は、認定経営革新等支援機関の支援を受けて、資金繰り計画、ビジネスモデル俯瞰図、アクションプラン等を作成する中小企業者等に対する支援を案内しています。
対象要件、費用負担、申請手続き、支援期間は変更される可能性があるため、中小企業庁の最新ページで確認してください。
中小企業活性化協議会の収益力改善支援
収益力低下や借入増加のおそれがある中小企業を対象に、収益力改善アクションプランと簡易な収支・資金繰り計画の作成支援が案内されています。
より本格的な金融支援や事業再生が必要な場合は、経営改善計画策定支援等の対象になるか相談します。
金融機関・認定支援機関
借入返済や融資相談がある場合は、取引金融機関へ早めに相談します。認定支援機関には税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関等が含まれます。
専門家へ依頼する場合も、経営者自身が売上・粗利・資金不足日・改善施策を説明できる状態にしてください。
日本政策金融公庫・信用金庫の様式
日本政策金融公庫の経営改善計画書(簡易版)や、多摩信用金庫の12か月資金繰り表等の様式例があります。
提出先が指定する様式がある場合は、その様式を優先します。
計画だけでは間に合わない時の短期対応
支払期限前に相談する
給与、仕入、家賃、税金・社会保険料、借入返済の期限を確認し、遅れる前に支払先・関係機関へ相談します。無断延滞を計画に入れないでください。
未請求・未回収を確認する
納品済みなのに請求していない案件、請求漏れ、入金遅延、相殺・検収待ちを確認します。早期回収を相談できる売掛金があるか整理します。
不要支出と資産を確認する
すぐ停止できる支出、解約時期がある固定費、遊休資産、過剰在庫等を確認します。本業に必要な資産まで慌てて売らないよう、事業への影響を見ます。
確定売掛金の資金化を比較する
売掛金の入金は確実だが、支払日との間に一時的な差がある場合は、ファクタリングで前倒しできる可能性があります。
ただし手数料がかかり、将来入る現金を先に受け取る手段です。慢性的な赤字や返済過多を解決するものではありません。費用はファクタリング手数料の相場と計算で確認できます。
短期資金を使う場合も、翌月以降の資金繰り計画を同時に更新してください。
よくある質問
Q: 経営改善計画と事業計画は同じですか?
A: 重なる部分はありますが、経営改善計画は悪化原因、改善施策、損益・財務・資金繰りの立て直しを具体化する目的が強い計画です。提出先に必要項目を確認してください。
Q: 経営改善計画を作れば融資を受けられますか?
A: 計画作成だけで融資は決まりません。金融機関等が資金使途、実現可能性、返済可能性、会社の状況を個別に判断します。
Q: 資金繰り表は何か月分必要ですか?
A: 提出先の指定によります。危機管理には13週を週次で、経営改善計画には12か月の月次計画や中長期計画を組み合わせる方法があります。
Q: 売上が回復する計画なら資金繰りも改善しますか?
A: 入金が後になる事業では、売上増加に伴い先行支出が増えることがあります。回収・支払条件を反映して現預金残高まで確認してください。
Q: 計画と実績がずれたら作り直すべきですか?
A: 差異の原因と継続性を確認し、施策、損益予測、資金繰りを更新します。大きな前提変更がある場合は、金融機関や支援者へ早めに共有してください。
Q: 自社だけで作れない場合はどこへ相談しますか?
A: 取引金融機関、中小企業活性化協議会、認定経営革新等支援機関、税理士、公認会計士、中小企業診断士等が候補です。支援制度の対象と最新条件を公式ページで確認してください。
まとめ
経営改善計画で資金繰りを立て直すには、現状分析、悪化原因、改善方針、アクションプラン、損益計画、資金繰り計画を一つにつなげます。
最初に13週間の資金不足日を確認し、売上・費用を実際の入金・支払月へ変換します。融資や条件変更は確定前に基本計画へ入れず、実行された場合のシナリオを分けてください。
計画は提出して終わりではなく、月次実績と13週資金繰りを更新し、差異が出た施策を修正して初めて機能します。
