本ページにはプロモーションが含まれています。警備業法、労働法令、社会保険、税務、契約、融資条件は事業と取引で異なります。重要な判断は、公的な現行資料と契約書を確認し、必要に応じて行政窓口、社会保険労務士、税理士、弁護士、金融機関等へ相談してください。
警備会社では、警備員の給与、社会保険料、交通費を毎月支払う一方、発注元からの入金は勤務実績の承認・請求後になることがあります。新しい現場を受注しても、入金までの人件費を立て替えられなければ資金不足になります。
まず現場ごとに、契約単価、配置人数、勤務時間、給与、法定福利費、交通費、装備、教育、管理費を並べます。そのうえで勤務実績、請求予定、入金予定を13週間表へつなぎます。
この記事では、警備会社の資金繰りが苦しくなる原因、現場別原価、給与、請求、欠員、採用、価格交渉、設備投資、資金調達、緊急時の対応を解説します。
警備会社の資金繰りは、現場の売上より先に支払う給与・交通費・装備費を現場別に管理することから始まります。
契約単価から時給だけを引いても現場の利益は分かりません。法定福利費、交通費、採用・教育、制服・装備、管制担当の工数まで入れて、入金日までの立替額を確認します。
- 現預金と13週間の最低残高
- 現場別の配置・勤務実績
- 給与・社会保険・交通費の支払日
- 請求確定・発行・入金予定
- 欠員・応援・残業の追加原価
- 採用・教育・制服・装備費
- 現場別の実質粗利
警備会社の資金繰りが苦しくなる理由
給与が売掛金の入金より先に出る
警備業務を提供した後、勤務実績を集計し、発注元の確認を受けて請求する場合があります。請求後の支払サイトがあるため、給与・社会保険料・交通費の支払いが入金より先になります。
厚生労働省の賃金の支払方法に関するQ&Aは、労働基準法第24条に基づく通貨、直接、全額、毎月1回以上、一定期日という賃金支払の原則を説明しています。
発注元から入金されていないことだけを理由に、給与を無断で遅らせることはできません。
人員不足で原価が上がる
欠員が出ると、残業、休日勤務、遠方からの応援、派遣・外注、緊急募集等が必要になります。契約単価が同じでも、実際の配置原価は上がります。
警察庁の省力化投資促進プラン―警備業―では、人手不足の状況や、警備ロボット、バーチャル警備、交通誘導システム等の省力化策が示されています。
現場開始前の費用がある
採用、教育、健康診断、制服、無線機、誘導灯、車両、宿泊、待機場所等の費用が先に発生します。
短期イベントでは、勤務開始から請求・入金までに事業が終わっても、立替だけが残る場合があります。
追加対応を請求できない
警備時間の延長、人数追加、夜間、緊急、遠方、資格者配置、書類対応等の条件が曖昧だと、追加原価だけが増えます。
営業担当と管制担当で契約条件の認識が違う場合もあります。現場指示を受けた時に、誰が追加費用を承認するか決めます。
大口契約への依存が高い
一つの施設、建設会社、イベント会社、自治体等への売上比率が高いと、契約終了や入金遅れが全社へ影響します。
売上比率だけでなく、配置人数、売掛金残高、支払サイト、更新時期を確認します。
現場を増やす前に、初回入金までの給与・社会保険料・交通費を立て替えられるか確認します。
受注増で配置人数が増える時ほど、入金前に必要な給与資金も増えます。
現場別の配置原価と粗利を出す
現場台帳を作る
| 項目 | 管理する内容 |
|---|---|
| 契約 | 発注元、期間、警備区分、単価 |
| 配置 | 日時、人数、資格要件、責任者 |
| 勤務 | 通常、残業、深夜、休日、休憩 |
| 人件費 | 給与、手当、法定福利費 |
| 付帯費 | 交通、車両、宿泊、食事 |
| 準備費 | 採用、教育、制服、装備 |
| 管理費 | 管制、巡回、報告、請求 |
| 入金 | 締日、請求日、支払日 |
現場コードを勤務表、給与、経費、請求書へ共通で付けます。
1時間当たり原価をそろえる
給与だけでなく、会社負担の社会保険料、交通費、教育、装備、採用、管理者工数を含める基準を決めます。
細かすぎて更新されない計算ではなく、通常配置、資格者、夜間、遠方など原価区分をそろえます。
予定と実績を比較する
受注時の予定人数・時間と、実際の勤務・残業・応援を比較します。契約売上が同じでも、欠員や延長で利益が下がる現場を早く見つけます。
現場別粗利を完成時まで見る
短期イベントは、準備、事前打合せ、当日、撤収、報告まで含めます。月次施設警備は、採用・教育・代替要員を期間へ配賦します。
現場粗利は契約単価から給与だけを引かず、配置に必要なすべての変動費と管理費を反映します。
欠員対応や警備時間延長を実績へ反映し、赤字になった現場を翌月まで放置しません。
13週間資金繰りと給与予定を作る
給与支払いを先に置く
給与、社会保険料、交通費精算、外注費の支払日を13週間表へ入れます。その後に、確定している売掛金の入金予定を入れます。
| 週 | 主な入金 | 主な支出 |
|---|---|---|
| 第1週 | 前月請求の入金 | 交通費、装備 |
| 第2週 | 施設警備料 | 給与、外注費 |
| 第3週 | イベント警備料 | 社会保険料、税金 |
| 第4週 | 交通誘導警備料 | 車両、家賃、返済 |
実際の締日・支払日は契約に合わせ、給与支払日より前に資金が不足しないか確認します。
入金確度を分ける
請求済み、勤務実績承認済み、確認中、未請求を分けます。未請求や確認中を確定入金として扱わないでください。
発注元の締日を逃すと、入金が1か月遅れる場合があります。
未請求や承認待ちの売上を確定入金と分けると、給与日前の不足額を早く把握できます。
繁忙期の給与増を反映する
工事、イベント、年末年始、催事等で配置が増える場合、給与・交通費も増えます。新規現場の初回入金日までの累計立替額を出します。
下振れシナリオを作る
入金2週間遅れ、欠員増、残業増、短期現場中止等を反映します。
支払サイトの計算方法も確認し、休日を含む実際の着金日を入れてください。
勤務実績・請求・入金をつなぐ
勤務実績を早く確定する
紙の勤務表、現場責任者の確認、管制入力、発注元承認が分断されると請求が遅れます。
勤務終了後の提出期限、差戻し対応、承認者を決めます。電子化する場合は、本人確認、改ざん防止、アクセス権、保存も確認します。
契約条件と請求項目を一致させる
通常時間、時間外、深夜、休日、資格者、車両、交通、宿泊、緊急、キャンセル等の請求条件を契約へ入れます。
発注元の現場担当者が追加配置を依頼しても、請求承認権限がない場合があります。追加指示の承認経路を事前に決めます。
請求漏れをチェックする
勤務実績はあるが請求明細にない項目、契約人数との差、延長時間、交通費等を照合します。
請求書発行後は、支払日、入金額、相殺、差額を消し込みます。
未収を原因別に分ける
未到来、請求書不備、実績差異、発注元確認、相殺、延滞に分けます。経理だけで抱えず、営業・管制・現場責任者と期限を共有します。
勤務実績を売上へ変える最後の工程として、承認・請求・入金消込まで管理します。
欠員・採用・教育・装備費を管理する
採用単価と定着を確認する
求人媒体、紹介、面接、教育、制服、配置開始までの費用を採用経路別に集計します。採用人数だけでなく、配置開始率と一定期間後の在籍も見ます。
教育時間を原価へ入れる
法令上必要な教育、現場別研修、資格取得、書類作成にかかる時間と費用を管理します。必要な教育を省略して原価を下げることはできません。
J-Net21の警備保障業も、警備業法に加え、勤務形態を踏まえた労働関係法令への配慮を挙げています。
制服・装備を台帳管理する
制服、無線機、誘導灯、防寒・暑熱対策品、車両、機械警備機器等について、購入、貸与、返却、修理、更新を記録します。
現場ごとの特殊装備は契約価格へ反映できるか確認します。
欠員時の応援コストを測る
遠方応援の交通・宿泊、残業、管理者の穴埋め、外注等を現場原価へ入れます。
人手不足の現場を単価据え置きで継続すると、売上があっても現金が残りません。
採用費は人数ではなく、実際に配置でき、一定期間勤務した人材1人当たりで評価します。
契約単価と追加対応を見直す
労務費上昇の根拠を示す
最低賃金、採用費、社会保険料、交通費、教育費、装備費の変化を整理します。
中小企業庁の警備業自主行動計画フォローアップには、労務費、最低賃金、法定福利費、制服・装備、ガソリン代等に関する調査項目があります。
自社の実績を根拠に、契約更新前から交渉します。
追加料金の条件を明確にする
延長、増員、夜間、休日、緊急、資格者、遠方、キャンセル、待機等を契約へ入れます。
追加指示を受ける窓口と、承認記録の方法を決め、無償対応を防ぎます。
不採算現場に期限を設ける
配置方法の変更、単価改定、契約範囲の変更、終了を検討します。重要顧客だからという理由だけで赤字を継続すると、給与資金を圧迫します。
警備区分別に採算を見る
施設、交通誘導、雑踏、機械警備等では、契約期間、設備、配置、教育、原価が異なります。
警察庁の警備業に関する事業統計で業界の概況を確認できますが、自社の採算は区分・地域・契約ごとに判断します。
融資・設備投資・売掛金資金化を比較する
融資は増加運転資金を説明する
新規現場に必要な配置人数、給与、交通費、初回入金日を示します。通常月の運転資金と、短期イベントの一時資金を分けます。
運転資金が足りない時の対策も使い、13週間表と契約書、勤務計画を準備します。
省力化投資は回収期間を見る
警備ロボット、カメラ、センサー、管制、シフト・勤怠、交通誘導システム等は、人手不足や管理負担を減らす可能性があります。
購入・リース・保守費、必要人員、導入期間、顧客契約への反映、故障時対応を比較します。補助金等は入金時期と対象経費を確認します。
確定売掛金だけを資金化対象として確認する
警備業務を提供済みで、請求額・支払期日が確定したBtoB売掛金がある場合、ファクタリングを相談できる可能性があります。
ファクタリングの仕組みを確認し、未提供の将来契約や勤務実績未確定分を、確定した請求債権と同じに扱わないでください。
ファクタリング手数料の計算方法で手取りを計算し、給与支払い後も現場粗利が残るか確認します。
給与支払いが迫る時の対応
直近7日と13週間を確定する
現預金、確定入金、給与、社会保険料、交通費、外注費、税金、返済を日付順に並べます。
勤務実績確認中や未請求の売上は、確定入金と分けます。
請求停滞を解消する
未提出、差戻し、承認待ち、請求書不備を現場別に確認します。発注元と契約した手続に沿って、必要資料を早く整えます。
給与を無断で遅らせない
給与資金が不足する場合は、支払日より前に社労士、労働局、金融機関、税理士、弁護士等へ相談してください。
労働者へ一方的に支払延期を求めたり、発注元入金まで待たせたりしないでください。
赤字配置を同時に止める
追加資金を確保しても、欠員応援や無償延長で赤字が続けば再び不足します。単価、配置、契約範囲、採用、請求漏れを同時に見直します。
給与資金を確保する対応と、赤字現場・請求遅れを止める対応を同じ日に始めます。
よくある質問
Q: 警備会社はなぜ黒字でも資金不足になりますか?
A: 給与、社会保険料、交通費、装備費を先に支払い、警備料は勤務実績の承認・請求後に入金されるためです。
Q: 発注元の入金が遅れたら給与も遅らせられますか?
A: できません。賃金には毎月1回以上・一定期日等の支払原則があります。資金不足が見えた時点で専門家や金融機関へ相談してください。
Q: 現場別原価には何を含めますか?
A: 給与、法定福利費、交通、残業、採用、教育、制服・装備、車両、宿泊、管制・管理工数等を含める基準を決めます。
Q: 警備単価を見直す時は何を示しますか?
A: 最低賃金、給与、法定福利費、採用・教育、交通、装備、燃料等の自社実績と、必要な配置条件を示します。
Q: 省力化設備は資金繰り改善になりますか?
A: 人員や管理負担を減らせる可能性がありますが、購入・保守・導入費も発生します。契約と回収期間を確認します。
Q: 警備会社はファクタリングを使えますか?
A: 提供済みで請求額・支払期日が確定したBtoB売掛金があれば相談できる可能性があります。手数料後に現場粗利が残るか確認します。
まとめ
警備会社の資金繰りは、現場別の配置原価、給与支払日、請求確定、入金予定をつなげて管理します。
給与だけでなく、法定福利費、交通、採用、教育、制服・装備、欠員応援、管理工数を現場原価へ入れてください。赤字現場は単価、配置、契約範囲を見直します。
資金不足が見えた時は、給与を無断で遅らせず、期限前に専門家や金融機関へ相談します。資金調達と同時に請求停滞と不採算を止めます。
警備会社の資金繰り改善は、各現場の勤務実績を粗利付きの入金へ早く変え、給与支払いを先に確保することです。
