本ページはプロモーションを含みます。契約条件は事業者ごとに異なるため、申込み前に必ず契約書と最新の公式情報をご確認ください。
売掛先に対する買掛金があり、次回の支払いで相殺される予定なら、請求書の額面がそのまま入金されるわけではありません。ファクタリングを申し込むときは、相殺予定額を差し引いた後の入金見込みを説明する必要があります。
結論からいうと、相殺予定がある売掛金も相談できますが、一律に買取対象になるとは限りません。審査では、相殺の合意内容、反対債権の発生時期、相殺後の金額、売掛先の支払予定を確認されます。
この記事では、申込前から相殺予定が分かっているケースに限定し、審査で見られる点、準備書類、契約前の確認手順を解説します。ファクタリングそのものの仕組みから確認したい方は、ファクタリングの基礎ガイドも参照してください。
相殺予定の売掛金も相談できるが額面全額とは限らない
相殺とは、取引当事者がお互いに支払う債務を負っているとき、対応する金額を差し引いて決済する方法です。たとえば、自社が売掛先へ100万円を請求する一方、同じ相手へ30万円の買掛金を支払う予定なら、合意内容によっては差額70万円が振り込まれます。
この場合、ファクタリング会社が回収を見込めるのは、原則として100万円ではなく70万円です。審査の起点は請求書額面ではなく、相殺後に実際に入金される見込み額です。
| 確認項目 | 金額例 |
|---|---|
| 請求書の額面 | 100万円 |
| 自社が売掛先へ支払う買掛金 | 30万円 |
| 合意済みの相殺予定額 | 30万円 |
| 相殺後の入金予定額 | 70万円 |
ただし、相殺が予定されていても、どの売掛金とどの買掛金を、いつ、いくら相殺するのかが決まっていなければ、70万円で確定しているとは限りません。「毎月だいたい相殺している」という口頭説明だけでは、審査担当者が回収見込みを判断できない場合があります。
各社の買取基準は異なります。相殺後残額の全額が買い取られるとも限らず、売掛先の信用力、支払期日、契約関係、資料の整合性などを含めて判断されます。
本記事の対象は、ファクタリングを申し込む前から相殺予定が分かっている売掛金です。買取後に予想外の減額や一部入金が起きた場合は、契約後の事故として別の対応が必要です。
相殺予定が審査で慎重に見られる3つの理由
回収できる金額が請求書額面より少なくなる
ファクタリングは、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社へ売却する取引です。相殺によって売掛先が実際に支払う金額が減れば、譲渡対象として評価できる金額も小さくなります。
請求書100万円だけを提出し、30万円の相殺予定を伝えなければ、審査時の前提と実際の入金額が一致しません。契約書に債権額や抗弁、相殺、取引条件の変更に関する表明保証・報告義務がある場合、不開示が契約上の問題になる可能性もあります。
売掛先が相殺を主張できる時系列が問題になる
民法では、相殺の一般要件に加え、債権が譲渡された場面で債務者が譲受人へ相殺を主張できる範囲が定められています。反対債権を取得した時期や債権譲渡の対抗要件を備えた時期などにより扱いが変わるため、請求書の数字だけでは判断できません。
相殺の可否は、債権と反対債権が発生した時期を並べて確認する必要があります。継続取引で毎月売買があり、複数の請求と支払いが混在する場合は特に注意が必要です。
契約後の差額トラブルにつながりやすい
相殺予定を曖昧にしたまま額面全額を譲渡すると、支払日に入金不足が発生します。2社間ファクタリングで利用者が売掛金を受領してファクタリング会社へ送る契約では、差額の原因確認や報告が必要になります。
「ノンリコースだから何も説明しなくてよい」「不足分は必ず自己資金で補う」といった一律の判断はできません。契約時に開示した事実、相殺の成立時期、表明保証、回収委託の内容で対応が変わります。
申込前に4つの金額を整理する
申込前には、請求額・反対債権・相殺予定額・入金予定額の4つを別々に整理します。同じ取引先との売買が複数ある場合は、請求書番号や発注番号ごとに対応関係を示すと説明しやすくなります。
- 売掛先への請求額
- 自社が売掛先へ支払う買掛金などの金額
- 当事者間で合意済みの相殺額
- 相殺後に銀行振込される予定額
相殺額が未確定なら、予想額を確定額として書かず、「売掛先からの支払通知待ち」「上限30万円の可能性」など、現在の状態を明記します。支払通知が届いたら再見積もりになるかも確認してください。
請求書の額面だけでなく、通帳にいくら入る予定かまで一枚の表にすると、申込時の説明がぶれにくくなります。未確定の項目は無理に埋めず、確認中と伝えることが大切です。
審査で用意したい書類
基本契約書・発注書・請求書
基本契約書で、相殺、値引き、返品、検収、損害金などの条項を確認します。発注書や納品書、検収書は、譲渡する売掛金が実在し、金額が確定していることを説明する資料です。一般的な提出書類はファクタリングの必要書類でも確認できます。
買掛金明細・相殺通知・支払通知
売掛先へ支払う買掛金の明細、相殺通知、支払通知があれば提出します。重要なのは、相殺対象と金額を第三者が追える書面にすることです。メールで合意した場合は、相手、日付、対象請求、金額が分かる状態で保存します。
通帳と過去の入金・相殺履歴
毎月同じ方法で相殺しているなら、過去の請求額、相殺額、実入金額を一覧にします。通帳だけでは差額の理由が分からないため、支払通知と対応させてください。
| 書類 | 審査で確認しやすくなる点 |
|---|---|
| 基本契約書 | 相殺条項、支払条件、返品・値引き条件 |
| 請求書・検収書 | 売掛金の発生、額面、支払期日 |
| 買掛金明細 | 反対債権の内容と金額 |
| 相殺通知・支払通知 | 相殺合意、実際の入金予定額 |
| 通帳 | 過去の支払実績と入金名義 |
相殺予定の状態別に見る申込み判断
金額と日付が書面で確定している
請求額100万円、相殺額30万円、振込予定額70万円のように書面で確認できれば、審査の前提を説明しやすくなります。ただし、70万円がそのまま買取上限になると決まるわけではありません。
毎月相殺しているが今回の通知はまだない
過去の履歴は参考になりますが、今回も同額とは限りません。見積もり段階であることを伝え、支払通知の提出期限や、確定後に買取額が変わるかを確認します。
売掛先が一方的な控除を示している
控除の根拠、契約条項、対象取引を確認します。2026年1月施行の取適法の対象取引では、中小受託事業者に責任がない代金減額や振込手数料の負担が問題になる場合があります。ただし、すべての控除が同法違反になるわけではありません。対象範囲と事情を公正取引委員会や弁護士へ相談してください。
相殺額を巡って争いがある
金額に争いがある債権は、回収見込みを確定しにくいため審査が難しくなります。相手の主張を伏せて申し込まず、争いのない部分だけを対象にできるか相談します。
申込みから契約までの確認手順
- 相殺予定を最初の申告欄・担当者への連絡で伝える
- 相殺後の入金予定額を示して見積もりを依頼する
- どの請求書のどの範囲を譲渡するか確認する
- 売掛先への通知・承諾や債権譲渡登記の要否を確認する
- 相殺額が変わった場合の報告期限と連絡方法を確認する
とくに、契約書の対象債権額と実際の入金予定額を一致させることが重要です。見積書、契約書、別紙の債権明細で数字が異なる場合は、署名前に訂正を依頼してください。
債権譲渡登記は、法人が行う金銭債権の譲渡について第三者対抗要件を備えるための制度です。一方、債務者である売掛先への対抗要件は通知・承諾との関係を別に確認する必要があります。登記の有無だけで、売掛先が必ずファクタリング会社へ直接支払うと判断しないでください。詳しくは債権譲渡登記の仕組みも参考にしてください。
民法上の相殺と債権譲渡で確認したいこと
民法505条は、同種の目的を持つ債務が互いに存在し、双方の債務が弁済期にある場合などの相殺要件を定めています。民法469条は、債権譲渡があった場面で、債務者が譲渡人に対して持つ債権を使い、譲受人へ相殺を主張できる範囲を定めています。
ポイントは、反対債権をいつ取得したか、相殺の対象となる債務の支払期日はいつか、譲渡の対抗要件をいつ備えたかです。後から取得した反対債権でも条文上の例外に当たる場合があるため、単純に「譲渡通知より前なら可、後なら不可」とまとめることもできません。
法的な相殺可否と、ファクタリング会社が買い取るかという審査判断は別です。前者は民法と個別契約、後者は回収可能性と各社基準に基づきます。法的判断が必要なときは契約書と時系列をそろえて弁護士へ相談してください。
金融庁の注意喚起では、ファクタリングは債権の売買と説明される一方、売掛金を回収できない場合に買戻しや自己資金による支払いを当然に求めるなど、実質的に貸付と同様の機能を持つ取引への注意が示されています。相殺予定があるからといって、契約内容を確認せず買戻し条項を受け入れないことが大切です。
審査が難しいときの代替策
相殺予定を含む債権の審査が難しい場合は、相殺後残額に申請額を合わせるか、相殺のない債権へ切り替えることを軸に、次の選択肢を検討します。
- 相殺後の確定残額だけで再申請する
- 相殺や金額争いのない別の売掛金を使う
- 売掛先が承諾する場合は3社間方式を相談する
- 相殺をせず、売掛金と買掛金を別々に振り込めるか交渉する
- 支払サイト短縮や前受金を売掛先へ相談する
- 融資、当座貸越、補助的な資金調達と費用を比較する
ファクタリングの手数料は買取額を減らすため、相殺後残額が小さいほど手取りも限られます。ファクタリング手数料の相場と計算方法で、必要資金を満たすか計算してください。
相殺後の確定額では資金が足りない場合、額面全額で無理に申し込むのではなく、別債権や別手段へ切り替えます。売掛先が大企業でも支払条件の確認は必要です。大企業の支払サイトも併せて確認すると、入金日を含む資金繰りを組み直しやすくなります。
よくある質問
Q: 相殺予定がある売掛金は必ず審査に落ちますか?
A: 必ず落ちるとは限りません。相殺後の入金予定額、相殺の合意内容、売掛先の信用力、必要書類などを各社が審査します。相殺予定を事前に開示して相談してください。
Q: 請求額100万円、相殺予定30万円なら70万円を全額買い取ってもらえますか?
A: 70万円が回収見込みの起点にはなりますが、全額買取を保証するものではありません。手数料、掛目の有無、売掛先、支払期日などで条件が変わります。
Q: 相殺通知がまだ届いていなくても申し込めますか?
A: 相談はできます。ただし、相殺額が未確定であることを伝え、過去の支払通知や取引明細を提出します。確定後に再審査や契約額の変更が必要になる場合があります。
Q: 相殺予定を伝えず請求書だけ提出するとどうなりますか?
A: 審査前提と実入金がずれ、契約上の表明保証や報告義務を巡る問題につながる可能性があります。直ちに犯罪と断定はできませんが、分かっている相殺予定は申込時に開示すべきです。
Q: 債権譲渡を売掛先へ通知すれば相殺されませんか?
A: 一律にはいえません。民法469条では、反対債権の取得時期などにより、債務者が譲受人へ相殺を主張できる場合があります。個別の時系列と契約を弁護士へ確認してください。
Q: 相殺額を巡って売掛先と争いがある場合も利用できますか?
A: 争いのある部分は回収見込みが不確定なため、審査が難しくなる可能性があります。争いのない残額だけを対象にできるかファクタリング会社へ相談し、法的な争点は弁護士へ確認してください。
まとめ
相殺予定の売掛金は、一律にファクタリングできないわけではありません。ただし、申込前から相殺が分かっているなら、請求書額面ではなく相殺後の入金予定額を審査の前提にする必要があります。
審査前の行き違いを防ぐため、相殺予定は申込時に必ず開示してください。
申込前に相殺予定を開示し、請求額・相殺額・入金予定額を同じ資料で示すことが最も重要です。基本契約、買掛金明細、相殺通知、支払通知、通帳をそろえ、対象債権の範囲と変更時の報告方法を契約前に確認してください。
