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発送費を売掛金に含めるかは、誰が負担する費用かと、取引先へ何を請求したかで決まります。 売主負担の発送費は通常、荷造運賃などの費用として処理し、商品代金の売掛金とは分けます。
買主負担の発送費を売主が立て替えて請求する場合は、契約と証憑に応じて立替金で処理する方法と、請求総額を売掛金に含める方法があります。 会計ソフトの初期設定だけで決めず、見積書・契約書・請求書・配送会社のインボイスを照合してください。
- 発送費を売掛金に含める場合と含めない場合
- 売主負担・買主負担・送料込み価格の仕訳例
- 立替金として処理する条件とインボイスの注意点
- 入金時に差額を残さない消込手順
発送費を売掛金に含めるかは負担者で判断する
発送費は、商品販売に伴って配送会社へ支払う運賃や梱包費です。実務では「送料」「配送料」「荷造運賃」「運送費」などの名称が使われます。
仕訳を決める最初の質問は、配送会社へ誰が支払ったかではありません。最終的に発送費を負担する契約当事者が誰かを確認します。
売主が自社負担で配送するなら、配送会社への支払いは売主の販売費です。買主が負担し、売主が一時的に支払っただけなら、売主の費用ではなく立替えとなる可能性があります。
一方、「商品100,000円、送料1,000円」と売主が自社のサービスとして請求する場合は、請求額101,000円が売掛金です。この送料を会計上の売上へ含めるか、送料収入として分けるかは、会社の表示・経理方針によります。
判断に使う4つの資料
発送費の処理は、次の順で確認します。
| 資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 見積書・契約書・注文書 | 送料込みか、別途請求か、買主負担か |
| 請求書 | 商品代と送料をどう表示し、いくら請求したか |
| 配送会社のインボイス | 宛名、登録番号、税率、税額 |
| 入金明細 | 請求総額と同額か、手数料や値引きがあるか |
資料の表示が一致していない場合は、仕訳だけで帳尻を合わせず、営業担当へ契約内容を確認します。とくに「実費」と書いてあっても、売主が自社の責任で配送サービスを提供しているなら、単純な立替えとは限りません。
売掛金は取引先への請求債権
売掛金は、商品やサービスの通常の営業取引から生じる未回収代金です。商品代に送料を加えて取引先へ請求し、その総額を受け取る権利があるなら、総額を売掛金として管理できます。
反対に、売主負担の送料を取引先へ請求していなければ、送料分の売掛金は発生しません。配送会社へ支払った時点で費用を計上します。
配送会社への支払額と取引先への請求額は、別の取引として考えると判断しやすくなります。
売主負担の発送費は売掛金に含めない
「送料無料」「当社負担」「送料込み」として、販売価格とは別に送料を請求しない場合を考えます。
商品100,000円を掛けで販売し、消費税10,000円、配送会社へ送料1,100円を普通預金から支払った架空例です。税抜経理方式とします。
商品販売時の仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 110,000円 | 売上 | 100,000円 |
| 仮受消費税等 | 10,000円 |
取引先へ請求するのは110,000円なので、売掛金も110,000円です。
発送費支払時の仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 荷造運賃 | 1,000円 | 普通預金 | 1,100円 |
| 仮払消費税等 | 100円 |
勘定科目は、会社の科目体系により「発送費」「運送費」「販売費」などでも構いません。同じ性質の取引へ継続して同じ科目を使うことが重要です。
売主負担の発送費は売上代金の回収債権ではないため、売掛金を1,100円増やしません。
送料込み価格でも販売価格へ含まれている場合
「送料無料」と表示していても、経営上は販売価格に配送コストを織り込んでいることがあります。顧客へ別途請求していない以上、会計仕訳は上記と同じです。
商品ごとの採算を把握するには、発送費を案件や注文単位へ配賦します。会計上の売掛金と、管理会計上の商品別原価を分けてください。
小谷良太「送料無料」は送料がゼロという意味ではありません。売掛金へ足すのではなく、注文別の粗利から発送費を引いて採算を確認してください。
買主負担の発送費を売掛金に含める仕訳
商品代とは別に送料を取引先へ請求し、売主が配送を手配する例です。商品100,000円、送料1,000円、消費税合計10,100円を掛けで請求します。
請求総額を売上として処理する方法
売主が配送を含む取引の対価として101,000円を請求するなら、次のように処理できます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 111,100円 | 売上 | 101,000円 |
| 仮受消費税等 | 10,100円 |
配送会社へ1,100円を支払った時は、売主負担の例と同じく、荷造運賃1,000円と仮払消費税等100円を計上します。
この方法では、送料の請求額は売上、配送会社への支払額は費用です。両者の差額が配送手配の採算へ反映されます。
会社によっては、商品売上100,000円と送料収入1,000円を分けて記帳します。総額と消費税の処理が一致し、継続的に管理できるなら、補助科目で分ける方法もあります。
入金時の消込
取引先から111,100円が普通預金へ入った場合は、次の仕訳です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 111,100円 | 売掛金 | 111,100円 |
商品代110,000円だけを消し込み、送料1,100円を残さないようにします。請求書単位で売掛金の消込を行うと、差額を発見しやすくなります。
送料だけ後日確定する場合
出荷時点で送料が確定せず、商品代だけ先に請求する会社もあります。その場合は、送料確定後に追加請求書を発行し、別の売掛金として計上します。
見込額を売掛金に入れたままにすると、実際の請求額と残高が合いません。送料表や契約から合理的に確定できない限り、請求前の見込送料を得意先別売掛金へ混ぜない方が管理しやすくなります。
- 契約書に送料別途または配送対価の記載がある
- 請求書に商品代・送料・税率・税額を表示する
- 配送会社への支払いを別取引として記帳する
- 入金時は送料を含む請求総額を消し込む
買主負担の実費を立替金で処理する仕訳
売主が買主の依頼で、買主が本来支払うべき配送費を一時的に支払う場合は、立替金として処理できる可能性があります。
国税庁は、ホテルが客のタクシー代を立て替える例で、本来客が直接支払うべき対価をホテルが代わって支払い、その旨を明確に区分している場合は、ホテルの課税売上や課税仕入れにしない考え方を示しています。
発送費でも、誰が配送サービスの提供を受けたか、配送会社の請求先、契約、請求表示を確認します。名称だけを「立替金」に変えても、実態が売主の配送サービスなら立替えにはなりません。
立替時の仕訳
買主が負担する発送費1,100円を売主が普通預金から支払った架空例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 立替金 | 1,100円 | 普通預金 | 1,100円 |
この時点では、売主の費用として荷造運賃へ計上しません。
商品売上と立替金を同じ請求書で請求する場合
商品売上110,000円と、立替金1,100円を取引先へ請求します。会計上は次のように分けられます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 111,100円 | 売上 | 100,000円 |
| 仮受消費税等 | 10,000円 | ||
| 立替金 | 1,100円 |
システム上、立替金の回収まで売掛金へまとめる方法です。別に「未収入金」などで管理する会社もありますが、請求書残高と入金を対応させる運用を決めてください。
立替金処理では、送料1,100円を売上や仮受消費税等へ重ねて計上しないことが重要です。
入金時の仕訳
取引先から111,100円が入金されたら、売掛金を全額消します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 111,100円 | 売掛金 | 111,100円 |
立替払いが多い会社では、立替金が資金繰りへ与える影響も確認してください。小額でも回収が遅れると、売主が継続的に資金を負担します。
立替金精算書とインボイス
国税庁のインボイス制度資料では、取引先宛てのインボイスを自社の仕入税額控除へ使う場合、立替金精算書などで自社の課税仕入れであることを明らかにする考え方が示されています。
発送費を真の立替えとして扱う場合は、配送会社のインボイスの宛名と保存者、立替金精算書の記載、買主が仕入税額控除を行うために必要な情報を確認します。
会計上の立替金処理と、買主側のインボイス保存要件は分けて確認してください。
税率、宛名、登録番号、立替金精算書の要否は個別事情で変わるため、判断が難しい場合は税理士または税務署へ確認します。



実費と書くだけでは立替えになりません。配送契約の当事者、インボイスの宛名、請求書の表示が同じ説明になるかを確認しましょう。
買主側で発送費を負担する仕訳
買主側では、何を取得するための送料かで科目が変わります。商品仕入に直接付随する送料は、仕入原価へ含める方法が一般的です。
商品と送料を掛けで仕入れた場合
商品100,000円、送料1,000円、消費税10,100円の請求を受けた架空例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 101,000円 | 買掛金 | 111,100円 |
| 仮払消費税等 | 10,100円 |
送料を「荷造運賃」などへ分ける会社もあります。棚卸資産の取得原価へ含める範囲と管理目的を確認してください。
固定資産の取得に伴う送料
機械や備品の購入に直接必要な運賃、据付費などは、固定資産の取得価額へ含める場合があります。少額資産や修繕との区分を含め、税理士へ確認してください。
売主が立て替えた送料を精算する場合
買主が本来負担すべき送料を売主が立て替えた場合、買主は配送サービスの仕入れと、売主への未払額を記帳します。配送会社のインボイスと立替金精算書の保存関係を確認します。
発送費の仕訳でよくある間違い
発送費は金額が小さく見えるため、月末にまとめて修正されがちです。しかし、件数が多いEC・卸売・製造では、残高差や消費税区分の原因になります。
売主負担なのに売掛金へ加える
取引先へ請求していない発送費を売掛金へ加えると、実際には回収できない残高が残ります。請求書の合計額と売掛金計上額を一致させてください。
送料収入と荷造運賃を相殺する
取引先への送料請求と配送会社への支払いは、原則として別取引です。差額だけを売上や費用へ計上すると、売上高と費用が過小になります。
総額表示が必要か、純額表示が適切かは取引の実態と会計基準で判断します。自社が本人か代理人かを含め、重要性が高い場合は会計専門家へ確認してください。
立替金を売上と二重計上する
立替時に立替金を計上し、請求時に売上も計上すると、同じ送料が利益へ影響します。立替金を消す仕訳と、商品売上の仕訳を分けます。
入金時に送料分だけ残す
商品代と送料を同じ請求書にした場合、取引先は合計額を振り込みます。入金額を商品代だけに充当すると、送料分の売掛金が残ります。
売掛金元帳の書き方を参考に、請求書番号、商品代、送料、税額、入金額を対応させてください。
振込手数料の差額と混同する
請求額111,100円に対して110,550円しか入金されない場合、550円が送料とは限りません。振込手数料、値引き、相殺、誤入金を確認します。
売掛金と振込手数料の処理では、差額消込とインボイスの考え方を解説しています。
- 請求書合計と売掛金計上額が一致する
- 送料請求と配送会社支払いを分けて記帳する
- 立替金の相手先・発生日・回収日を記録する
- 差額を送料と決めつけず理由を特定する
発送費の経理ルールを作る手順
取引ごとに判断がぶれないよう、契約と請求の類型を先に決めます。
1. 契約を3種類に分ける
「売主負担」「送料を売主の売上として請求」「買主費用の真の立替え」に分けます。営業担当が受注時に選べるよう、見積書の選択項目を統一します。
2. 請求書の表示を統一する
商品代、送料、立替金、税率、税額を区別します。立替金は対象の配送伝票番号を記載すると、後日照合しやすくなります。
3. 会計科目と税区分を登録する
売主負担は荷造運賃、送料請求は売上または送料収入、真の立替えは立替金など、会計ソフトの品目・税区分を設定します。
税抜経理と税込経理で仕訳表示は変わります。この記事の例は税抜経理であり、実際の会社の方式へ合わせてください。
4. 請求と入金を請求書番号で消し込む
複数注文をまとめて入金する取引先では、請求明細を保存します。商品代と送料を別々に手入力すると二重計上が起こりやすいため、請求データから連携する範囲を決めます。
5. 月末に立替金残高を確認する
立替金の残高が残っている場合は、未請求、未回収、入力漏れ、売掛金への振替漏れを確認します。古い残高を一括で費用へ振り替えないでください。



送料の科目より先に、契約の3分類を決めるのが近道です。見積書と請求書で同じ分類を使えば、経理だけで推測する場面を減らせます。
発送費と売掛金に関するよくある質問
発送費の請求と仕訳で迷いやすい点をまとめます。
送料を別途請求したら必ず売掛金に含めますか?
取引先へ送料を含む請求債権が発生するなら、請求総額を売掛金として管理できます。ただし、貸方を売上・送料収入にするか、真の立替えとして立替金を消すかは、契約と取引の実態で判断します。
送料無料の送料は売掛金になりますか?
取引先へ別途請求していなければ、送料分の売掛金は発生しません。売主が配送会社へ支払った発送費を荷造運賃などで処理し、注文別の採算管理では商品粗利から差し引きます。
発送費は売上に含めてもよいですか?
売主が配送を含む対価として送料を請求する場合、送料請求額を売上または送料収入として処理する方法があります。表示方法、会計方針、消費税区分を統一し、重要な判断は税理士へ確認してください。
発送費を立替金にする条件は何ですか?
買主が本来負担すべき配送費を売主が一時的に支払い、その事実を契約・請求書・証憑で明確にできることが基本です。「実費」と記載しただけでは足りず、配送契約の当事者やインボイスの宛名も確認します。
商品代と送料の税率が違うことはありますか?
取引内容によって判断が必要です。配送サービスの税率、商品に適用される税率、送料が対価の一部か立替えかを確認します。軽減税率対象商品を扱う場合は、請求書の税率区分を税理士へ確認してください。
送料分だけ売掛金が残った場合はどうしますか?
請求額、入金額、振込手数料、値引き、立替金振替を確認します。原因を特定せず雑損失へ振り替えず、請求書番号単位で元帳と入金明細を照合してください。
まとめ
発送費を売掛金に含めるかは、配送会社へ誰が支払ったかだけでは決まりません。最終負担者、配送サービスの契約当事者、取引先への請求内容から判断します。
売主負担なら発送費は通常費用、送料を対価として請求するなら請求総額が売掛金、買主費用の真の立替えなら立替金処理が基本の整理です。
請求書と売掛金を一致させ、配送会社への支払いを別に記帳します。インボイスの宛名や立替金精算書が関係する場合は、国税庁資料を確認し、税理士または税務署へ相談してください。
売掛金を減らす仕訳も合わせて確認すると、入金・値引き・相殺との違いを整理できます。
参考にした公的・公式情報
- 国税庁「インボイス制度に関するQ&A」(2026-07-30確認)
- 国税庁「立替金精算書」(2026-07-30確認)
- 国税庁「ホテルの客のタクシー代の立替払」(2026-07-30確認)
- 国税庁「消費税及び地方消費税の申告等」(2026-07-30確認)

