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売掛金を現金や小切手で回収し、紙の領収書を交付する場合、受取金額が5万円以上なら原則として収入印紙が必要です。 売上代金の受取書は印紙税の第17号の1文書に該当し、5万円未満は非課税です。
銀行振込で紙の領収書を発行しない場合や、領収書を電子データだけで交付する場合は、通常、貼付する紙の課税文書が作成されません。 ただし、相殺、混合決済、消費税額の区分、紙への出力・交付によって結論が変わるため、受取方法と作成した文書を分けて判断します。
- 売掛金回収の領収書に収入印紙が必要な条件
- 5万円の判定と消費税の区分記載
- 振込・小切手・相殺・電子領収書の違い
- 印紙の貼り忘れを防ぐ実務チェック
売掛金回収の領収書は5万円以上で収入印紙が必要
商品やサービスの売掛金を回収した時に、債権者が受領事実を証明する紙の領収書を作成し、支払者へ交付すると、印紙税の課税文書になる場合があります。
国税庁は、金銭または有価証券の受取書を、引渡しを受けた者が受領事実を証明するために作成し、引渡者へ交付する証拠証書と説明しています。
文書名が「領収書」でなくても、受領済みを示すレシート、受取書、仮領収書、納品書などが第17号文書に該当することがあります。
印紙税は売掛金という勘定科目にかかるのではなく、金銭・有価証券を受け取った事実を証明する紙の文書にかかります。
売上代金の受取書とは
商品販売代金、請負代金、サービス料金など、営業上の売上代金を受け取った証明書は「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」です。
売掛金は売上代金が未回収の状態なので、後日回収して紙の領収書を出せば、売上代金の受取書として判定します。
売掛金とは何かを確認し、貸付金返済、預り金、敷金など、売上代金以外の受取書と区別してください。
5万円未満は非課税
国税庁の案内では、売上代金の受取書は記載金額が5万円未満なら非課税です。5万円ちょうどは「5万円未満」ではないため、原則として課税対象です。
| 紙の領収書に記載した受取金額 | 原則の判定 |
|---|---|
| 49,999円 | 非課税 |
| 50,000円 | 課税 |
| 100,000円 | 課税 |
| 受取金額の記載なし | 第17号文書として別の税額区分を確認 |
課税対象の場合の印紙税額は、受取金額の区分で変わります。最新の税額表を国税庁で確認してください。
「5万円以下」ではなく「5万円未満」が非課税である点に注意します。
営業に関しない受取書
営業に関しない受取書は非課税となる場合があります。個人が私的な資産を売却した場合など、事実関係で変わります。
法人や事業者が通常の営業取引で売掛金を回収する領収書は、原則として営業に関するものとして確認します。判断が難しい場合は税務署・税理士へ相談してください。
収入印紙の金額を判定する手順
領収書へ印紙を貼る前に、受取方法、文書の媒体、受取金額、消費税表示を確認します。
1. 紙の文書を作成・交付したか
印紙税は文書税です。紙の領収書を作成し、相手へ交付した場合に課税文書かを判断します。
単なる社内控えや会計データだけで、相手へ受領事実を証明する文書を交付していないなら、第17号文書の作成とは異なります。
2. 金銭または有価証券を受け取ったか
現金のほか、小切手は有価証券として扱われます。相殺だけで現金・有価証券を受け取っていない場合は、後述の相殺の取扱いを確認します。
3. 売上代金に関する受取書か
商品代、工事代、サービス料金などの売掛金回収なら、売上代金の受取書です。借入金返済や預り金返還などと混在する場合は、文書の記載を分けます。
4. 記載金額が5万円以上か
紙の領収書に記載した金額を確認します。消費税額等を明確に区分した場合は、税抜金額で判定できることがあります。
5. 必要額の印紙を貼り、消印する
課税文書なら、作成者が所定の収入印紙を貼り、印章または署名などで消印します。印紙を貼っただけで消印しない状態を残さないでください。
- 受取方法は現金・小切手・振込・相殺のどれか
- 紙で交付するか、電子データだけか
- 売上代金と売上代金以外を分けたか
- 消費税額等を明確に区分したか
- 最新の印紙税額表と消印方法を確認したか
5万円判定と消費税の区分記載
領収書の総額が5万円以上でも、消費税額等を区分記載すると、税抜金額で印紙税の記載金額を判定できる場合があります。
税込55,000円の例
商品代50,000円、消費税5,000円、合計55,000円の紙の領収書を出す場合を考えます。
「商品代50,000円、消費税5,000円、合計55,000円」と明確に区分すると、記載金額は税抜50,000円です。5万円ちょうどなので、原則として課税対象です。
税込49,500円の例
商品代45,000円、消費税4,500円、合計49,500円なら、総額も5万円未満なので非課税です。
税込52,800円・税抜48,000円の例
「商品代48,000円、消費税4,800円」と区分記載できれば、税抜48,000円を記載金額として判定し、5万円未満となる可能性があります。
単に「税込52,800円」とだけ書いた場合は、消費税額が明確に区分されていません。税抜額を推測して判定せず、国税庁の取扱いを確認してください。
消費税額等を区分する目的は、印紙税を避けるためではなく、文書上の記載金額を正確に示すことです。
軽減税率対象と標準税率対象が混在する場合も、税率ごとの対価と消費税額を適切に表示します。個別の記載方法は税理士へ確認してください。
小谷良太税込額だけで5万円を判定すると誤ることがあります。領収書テンプレートで本体価格と消費税額を明確に分け、発行担当者が毎回同じ基準で確認できるようにしましょう。
銀行振込で売掛金を回収した場合
銀行振込で入金を受けただけでは、自社が紙の受取書を作成したことにはなりません。通帳や振込明細は金融機関が作成する記録であり、自社の領収書とは分けて考えます。
紙の領収書を発行しない場合
取引先と「銀行の振込記録をもって領収書に代える」と合意し、自社が紙の領収書を発行しなければ、自社が印紙を貼る紙の受取書はありません。
請求書へ「振込明細をもって領収証に代えます」と記載する運用があります。ただし、契約や取引先の社内規程によって領収書を求められる場合があります。
振込後に紙の領収書を出す場合
銀行振込でも、入金を受けた事業者が紙の領収書を作成し、取引先へ交付すれば、その文書について課税判定が必要です。
「銀行振込だから必ず印紙不要」ではなく、「課税対象となる紙の受取書を作成したか」で判断します。
領収書には「銀行振込により受領」など、受取方法を記載します。同じ入金に対する領収書を複数発行しないよう、発行履歴を管理してください。
振込手数料を差し引かれた場合
請求額110,000円に対し、振込手数料550円が差し引かれ109,450円入金された場合、領収書へ何円を記載するかは、当事者間の合意と差額の性質で確認します。
取引先負担の手数料を不足入金として残す場合と、売主が手数料を負担する場合では処理が異なります。売掛金と振込手数料の仕訳を参考に、請求額・受取額・相殺額を分けてください。
小切手で売掛金を回収した場合
国税庁は、受取書に記載された受取金額が現金と小切手で構成される場合、小切手も有価証券として第17号文書の判定に含める考え方を示しています。
小切手5万円を受け取った例
売掛金50,000円を小切手で回収し、紙の領収書を交付する場合、受取金額は5万円です。5万円未満ではないため、原則として課税対象です。
現金3万円と小切手3万円の例
合計6万円の金銭・有価証券を受け取り、1枚の紙の領収書へ6万円と記載するなら、5万円以上として判定します。
小切手の仕訳とは別に判断する
他社振出小切手は簿記上、一般に現金として処理します。印紙税では有価証券の受取書として含まれます。会計科目と印紙税の用語が違っても矛盾ではありません。
小切手の会計処理は、振出人、受取日、取立依頼日を分けて記録します。他社振出小切手は簿記上の現金として受け取り、銀行への取立時に預金へ振り替えます。
小切手は現金ではないから印紙判定から除く、という処理はしません。
売掛金を相殺した場合の収入印紙
売掛金と買掛金を相殺し、現金や有価証券を受け取らない場合があります。国税庁は、相殺による受領事実を明確にした受取書は、金銭や有価証券の受取事実を証明するものではないため、課税文書に該当しない考え方を示しています。
全額相殺の例
売掛金100,000円と買掛金100,000円を全額相殺し、「上記金額を相殺により受領」と明記した書面を作る場合です。現金・有価証券の受領がないことを文書上明確にします。
会計仕訳は次の単純例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 100,000円 | 売掛金 | 100,000円 |
この仕訳と印紙税判定は別ですが、相殺額を一致させます。
一部相殺・一部現金の例
売掛金100,000円のうち、70,000円を買掛金と相殺し、30,000円を現金で受け取る場合です。
紙の受取書に「相殺70,000円、現金30,000円」と明確に記載すれば、金銭受取部分30,000円を基に判定する考え方があります。30,000円は5万円未満です。
相殺と現金の内訳を記載せず、受取金額100,000円とだけ表示すると、文書の記載から全額が金銭受取と判断されるおそれがあります。
相殺は、相殺した事実と金額を領収書上で明確に区分することが重要です。
相殺合意書との違い
相殺合意書が別の契約書として課税文書に該当するかは、領収書とは別に判定します。文書名だけで非課税とせず、合意内容と証明目的を税務署・税理士へ確認してください。
- 請求総額
- 相殺した債権・債務と相殺額
- 現金・小切手で受け取った金額
- 相殺日と受取日
- 「相殺による」旨を明確に表示
電子領収書と収入印紙
PDF、メール、クラウドサービスなどで領収情報を電子データとして送る取引が増えています。
電子データだけで交付する場合
印紙税は紙の文書を課税対象とするため、領収書を電磁的記録として作成・送信するだけなら、通常は収入印紙を貼る紙がありません。
国税庁は電子メール等で送信した電磁的記録について、紙の正本等が相手へ交付されない場合の考え方を示しています。
ただし、電子領収書が印紙税不要でも、電子帳簿保存法に基づく保存が不要になるわけではありません。取引情報を電子的に授受した場合は、所定の方法で電子データを保存します。
受領者が印刷した場合
発行者が電子データだけを送信し、受領者が自社用に印刷した紙は、発行者が交付した紙の正本とは異なると考えられます。
一方、発行者が印刷し、押印・署名などをして紙で交付した場合は、電子データの有無にかかわらず、その紙について課税判定が必要です。
電子と紙を二重発行する場合
取引先の要望でPDFと紙を両方出す場合、紙の領収書について印紙税を判定します。二重使用を防ぐため、PDFへ「電子発行」、紙へ「原本」などの管理表示を行います。
電子化の要点はPDFというファイル形式ではなく、課税対象となる紙の文書を誰が作成し、相手へ交付したかです。
電子領収書の保存
取引年月日、金額、取引先で検索できる状態、改ざん防止措置など、電子帳簿保存法の要件を確認します。国税庁の最新の電子帳簿保存法一問一答を参照してください。



PDFにすれば終わりではありません。紙を発行しないルール、電子データの保存場所、再発行履歴まで決めると、印紙と証憑の両方を管理しやすくなります。
収入印紙の貼り忘れ・過怠税を防ぐ
課税文書に必要な印紙を貼らなかった場合、過怠税の対象となる可能性があります。発行後にまとめて確認するのではなく、文書作成時に判定します。
発行権限を限定する
領収書を発行できる担当者とシステムを決めます。営業所、現場、EC、経理がそれぞれ発行すると、二重発行と貼り忘れが起こりやすくなります。
テンプレートへ判定項目を入れる
受取方法、税抜金額、消費税額、相殺額、電子・紙の区分を入力しないと発行できない仕組みにします。
印紙受払簿を作る
印紙の購入、使用、残数、廃棄、担当者を記録します。金庫の現物と帳簿を定期的に照合します。
消印を確認する
収入印紙を貼付したら、文書と印紙にかかるよう消印します。社判だけでなく、署名による方法など、国税庁の案内を確認します。
再発行を管理する
領収書を再発行する場合も、作成目的や記載内容により課税文書となる可能性があります。「再発行」と明記し、元の領収書の回収・紛失届・発行番号を記録します。
課税判断の根拠を保存する
取引額が大きい、相殺と現金が混在する、複数税率がある、特殊な決済を使う場合は、税理士・税務署へ確認し、回答と事実関係を保存します。
売掛金回収と領収書の会計処理
収入印紙は領収書の課税判定ですが、売掛金の消込も同時に正しく行います。
現金で回収した場合
売掛金55,000円を現金で回収した単純例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 55,000円 | 売掛金 | 55,000円 |
紙の領収書を出す場合は、税抜金額と消費税表示を確認して印紙税を判定します。
銀行振込で回収した場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 55,000円 | 売掛金 | 55,000円 |
紙の領収書を出さなければ、自社が貼付する文書はありません。発行するなら別途判定します。
収入印紙を購入・使用した場合
収入印紙の購入時は、購入方法と保有目的により「租税公課」「貯蔵品」などの処理があります。未使用分が重要なら、期末棚卸が必要です。
日本商工会議所の簿記検定講評でも、収入印紙の購入を租税公課として処理する例が示されています。自社の継続処理と重要性を税理士へ確認してください。
ファクタリングと領収書は、売掛金売却時に領収書が必要かという別の検索意図を扱っています。本記事は売掛金の回収後に発行する紙の領収書と印紙税に限定しています。
月末には売掛金ロールフォワードを使い、現金・振込・相殺で消した売掛金と期末残高を照合してください。
売掛金と収入印紙に関するよくある質問
領収書発行で迷いやすい点を整理します。
売掛金5万円を現金で回収したら印紙は必要ですか?
紙の領収書を交付する場合、5万円ちょうどは5万円未満ではないため、原則として課税対象です。消費税額等を区分記載した場合の記載金額と、最新税額表を確認してください。
銀行振込なら領収書に印紙はいりませんか?
紙の領収書を発行しなければ、自社が印紙を貼る紙の受取書はありません。振込後に紙の領収書を作成・交付する場合は、その文書について課税判定が必要です。
小切手で5万円受け取った場合も印紙が必要ですか?
小切手は有価証券として受取書の判定に含まれます。紙の領収書に5万円と記載して交付するなら、5万円未満ではないため、原則として課税対象です。
売掛金と買掛金を相殺した領収書に印紙は必要ですか?
全額相殺で金銭・有価証券を受け取っておらず、その旨を文書に明確に記載した場合は、第17号文書に該当しない考え方があります。一部現金なら、相殺額と現金受取額を分けて記載します。
PDFの電子領収書を送れば印紙は不要ですか?
電子データだけを作成・送信し、発行者が紙を交付しない場合、通常は印紙を貼る紙の課税文書がありません。ただし、電子帳簿保存法の保存要件は別に確認してください。
領収書の消費税を分ければ必ず非課税になりますか?
いいえ。消費税額等を明確に区分すると税抜金額で記載金額を判定できる場合がありますが、その税抜金額が5万円以上なら課税対象です。記載方法は国税庁資料で確認してください。
まとめ
売掛金を現金や小切手で回収し、5万円以上の紙の領収書を交付する場合は、原則として収入印紙が必要です。5万円未満は非課税であり、5万円ちょうどは課税側です。
銀行振込は紙の領収書を出すか、相殺は現金部分があるか、電子領収書は発行者が紙を交付したかで判断します。
売掛金の仕訳と印紙税を混同せず、「何を受け取ったか」「どの文書を作成したか」「いくら記載したか」の順で確認してください。
領収書を発行した後は、売掛金の消込で請求書番号と入金を一致させます。



迷ったら決済方法だけで判断せず、実際に交付する紙を見てください。相殺額や消費税額を文書上で分けることが、正しい判定につながります。
参考にした公的・公式情報
- 国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」(2026-07-30確認)
- 国税庁「消費税額等が区分記載された受取書」(2026-07-30確認)
- 国税庁「売掛金と買掛金を相殺した場合の領収書」(2026-07-30確認)
- 国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税」(2026-07-30確認)
- 国税庁「電子取引の制度」(2026-07-30確認)

