本ページはプロモーションが含まれています。
源泉所得税が差し引かれて入金された場合も、売掛金は請求した報酬の総額で計上し、入金時に「預金+源泉徴収された所得税」で全額を消し込みます。源泉徴収税額は売上の値引きや回収不能ではなく、受取人にとって所得税等の前払いに当たるためです。
個人事業主が税抜報酬10万円・消費税1万円を明確に区分して請求し、源泉徴収税額が1万210円、振込額が9万9,790円となった架空例では、入金時に「普通預金9万9,790円+事業主貸1万210円/売掛金11万円」と処理する方法があります。使用する勘定科目は会計ソフトや税理士の方針に従ってください。
- 売上時と源泉徴収後の入金時の仕訳
- 報酬と消費税を区分した場合の計算例
- 源泉徴収の対象になる報酬・支払者の確認
- 請求額と入金額が合わないときの調査手順
- 確定申告へつなげる証憑・補助簿の残し方
本記事は、主に源泉徴収の対象となる報酬を受け取る個人事業主側の一般的な処理を扱います。源泉徴収の対象となる報酬・料金、税率、支払者の義務、法人・非居住者の扱いは取引によって異なります。個別の判断や確定申告は税務署、税理士等へ確認してください。
源泉所得税がある売掛金の基本仕訳
源泉徴収は、支払者が報酬から所得税および復興特別所得税を差し引き、受取人に代わって国へ納める仕組みです。受取人の売上自体が差引後の手取額になるわけではありません。
売上時は請求総額を売掛金にする
税抜報酬10万円、消費税1万円、請求総額11万円の架空例です。税込経理の簡略例では次のように計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 110,000円 | 売上 | 110,000円 |
税抜経理では売上と仮受消費税等を分けます。いずれの場合も、売掛金の起点は請求総額です。源泉徴収後に受け取る予定額だけを売掛金にすると、売上高と所得税の前払額の両方を小さく計上することになります。
入金時は手取額と源泉徴収税額で消し込む
請求書で報酬10万円と消費税1万円が明確に区分され、報酬部分10万円を源泉徴収の対象として差し支えないケースを想定します。
源泉徴収税額=100,000円×10.21%=10,210円
入金額=110,000円-10,210円=99,790円
個人事業主が源泉徴収税額を「事業主貸」で処理する架空例は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 99,790円 | 売掛金 | 110,000円 |
| 事業主貸 | 10,210円 |
借方合計と貸方合計は11万円です。会計ソフトや事務所の方針によっては、仮払所得税等の別科目で管理する場合があります。科目名よりも、確定申告時に源泉徴収税額を集計できることと、売掛金を請求総額で消せることが重要です。
源泉所得税は経費ではない
源泉徴収税額は、報酬を得るために支払った手数料ではありません。受取人の所得税等の前払いとして、確定申告で年税額から控除する対象になります。
差し引かれた金額を支払手数料や売上値引にすると、所得税の前払額が帳簿から消えてしまいます。請求書、入金明細、支払調書等と照合できる補助科目を使ってください。
売掛金の消込単位を請求書と合わせる
一つの入金に複数請求書が含まれる場合、請求書ごとに報酬額・消費税額・源泉徴収税額を分けます。売掛金の消込手順を参考に、入金総額だけでなく対象請求書番号を記録してください。
小谷良太入金が少ないと値引きに見えますが、源泉徴収税額は確定申告で使う大切な情報です。請求書番号ごとに手取額と税額をセットで残しましょう。
源泉徴収税額の計算例
源泉徴収の対象額は、請求書の表示や報酬の種類で変わります。以下は国税庁の説明を基にした一般的な例であり、すべての報酬に同じ率が適用されるわけではありません。
報酬と消費税を明確に区分した場合
弁護士・税理士報酬等について、請求書に報酬と消費税等が明確に区分されている場合は、消費税等を除いた報酬額だけを源泉徴収の対象としても差し支えないと国税庁は説明しています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 報酬 | 100,000円 |
| 消費税等 | 10,000円 |
| 請求総額 | 110,000円 |
| 源泉徴収税額 | 10,210円 |
| 手取入金額 | 99,790円 |
この場合も売上・売掛金は11万円で、入金時の差額1万210円を源泉徴収税額として管理します。
税込み総額だけを記載した場合
請求書に「報酬110,000円」とだけ記載され、報酬と消費税等が明確に区分されていない例では、原則として11万円全体が対象となります。
110,000円×10.21%=11,231円(1円未満切捨て)
110,000円-11,231円=98,769円
請求書の表示が違うだけで手取額が変わることがあるため、発行前に支払者と計算基準を確認します。
100万円を超える部分の税率
原稿料、講演料、弁護士・税理士等の報酬など、国税庁が示す対象では、1回に支払われる金額が100万円を超える場合、100万円以下の部分と100万円を超える部分で税率が分かれることがあります。
- 100万円以下の部分:10.21%
- 100万円を超える部分:20.42%
ただし、司法書士等の控除額がある報酬、外交員報酬、ホステス等の報酬などは別の計算があります。報酬の種類を確認せず、一律に10.21%を掛けないようにしてください。
手取契約は総額へ逆算する
「税引後で10万円を受け取る」という手取契約では、請求額を10万円としてさらに源泉徴収するのではなく、国税庁が示す式により支払金額と税額を逆算する必要があります。
10.21%が適用される例では、国税庁は手取額÷0.8979という考え方を示しています。契約書が税込・税抜・手取のどれを指すかを明確にし、支払者と同じ計算表を使います。
- 報酬・料金が源泉徴収の対象か
- 支払者が源泉徴収義務者か
- 報酬と消費税が請求書で明確に区分されているか
- 100万円超部分や報酬固有の計算があるか
- 契約金額が総額・税抜・手取のどれか
すべての売掛金が源泉徴収対象ではない
個人事業主への支払いだからといって、すべての売掛金から源泉所得税を差し引くわけではありません。所得税法で列挙された報酬・料金等と、支払者側の要件を確認します。
対象となる報酬・料金を確認する
国税庁は、原稿料・講演料、弁護士・税理士等への報酬、特定の芸能・外交員報酬など、源泉徴収が必要な報酬・料金等を示しています。制作業務でも、契約全体の内容や成果物によって判断が分かれ得ます。
国税庁「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」で該当区分と計算方法を確認してください。
支払者側の条件も確認する
支払者が法人か個人か、個人の場合は給与等の支払状況などによって源泉徴収義務が変わります。受取人側だけで判断せず、契約前または請求前に支払者の経理担当へ確認します。
交通費・材料費等を区分する
名目を変えただけで実態が報酬と同じなら、源泉徴収の対象から外れるとは限りません。一方、支払者が交通機関やホテルへ直接支払う通常必要な交通費・宿泊費などは、国税庁が報酬に含めなくてもよい例を示しています。
立替金、実費、報酬を請求書で分け、証憑と契約の実態を一致させます。
法人が受け取る売上は同じ扱いとは限らない
内国法人が受け取る報酬については、個人と同じ範囲で源泉徴収されるわけではありません。法人化前後の請求を混在させず、請求主体、契約名義、入金口座を揃えてください。
フリーランスの売掛金管理では、請求から入金確認までの基本フローを解説しています。
請求額と入金額が合わないときの確認手順
源泉徴収税額と思われる差額があっても、振込手数料、値引き、相殺、請求漏れが混ざることがあります。推測で事業主貸へ振り替えず、支払者の計算根拠を確認します。
1. 請求書と契約書を確認する
報酬、消費税等、立替金、源泉徴収税額、手取額の表示を確認します。請求書に源泉徴収税額を記載していても、最終的な徴収・納付義務は支払者側で判断されます。
2. 支払通知書・入金明細を入手する
入金額だけでは差額の内訳が分かりません。支払者から次を確認します。
- 対象請求書番号
- 支払対象額
- 源泉徴収の対象額
- 適用税率・控除額
- 振込手数料や相殺額
- 実際の振込額
3. 自社計算と1円単位で突き合わせる
1円未満切捨ての位置、消費税を含めるか、複数請求書を合算するかで差が出ます。電卓結果だけでなく、支払者がどの単位で計算したかを確認してください。
4. 誤控除・控除漏れは支払者へ照会する
対象外の報酬から差し引かれた、税率が違う、消費税区分が反映されていない等の疑いがある場合は、請求書・契約書を添えて支払者の経理担当へ照会します。
原因が確定する前に売上値引や雑損失へ振り替えないでください。支払者による訂正、追加支払、翌月調整になる場合があります。
5. 売掛金残高と源泉徴収台帳を更新する
差額が確定したら請求書別に消し込み、源泉徴収税額の月別・支払者別一覧を更新します。売掛金を減らす仕訳も参考に、値引き・手数料・源泉徴収を同じ差額科目へまとめないようにします。



差額が10.21%に近くても、消費税を含むかどうかで金額は変わります。請求書と支払通知書を並べ、支払者の計算対象額から確認してください。
確定申告につなげる管理方法
源泉徴収税額は確定申告で所得税等の前払額として扱うため、年末にまとめて推測するのではなく、入金の都度記録します。
支払者別・月別の補助簿を作る
少なくとも次の列を持つ一覧が実用的です。
| 管理項目 | 内容 |
|---|---|
| 支払者 | 法人名・屋号 |
| 請求書番号 | 売掛金との紐付け |
| 報酬額 | 源泉徴収対象額の基礎 |
| 消費税等 | 区分表示の確認 |
| 源泉徴収税額 | 前払税額 |
| 入金額・入金日 | 通帳との照合 |
| 支払調書 | 受領有無・差異 |
支払調書がなくても帳簿を整える
報酬等の支払調書は、支払者が税務署へ提出する法定調書であり、受取人への交付が常に義務付けられているとは限りません。支払調書が届くことだけに依存せず、請求書・支払通知書・通帳・契約書から源泉徴収税額を記録します。
支払調書が届くことだけに依存せず、自社台帳を入金の都度更新します。支払調書を受け取ったら、自社台帳と支払金額・源泉徴収税額を突き合わせ、差異を支払者へ確認します。
年度をまたぐ入金を区分する
年内に売上を計上し、翌年に入金・源泉徴収されるケースでは、売上の年と源泉徴収税額を確定申告へ反映する年の確認が必要です。支払日や収入計上時期など個別事情で扱いが変わるため、年度をまたぐ売掛金の仕訳を参照し、税理士等へ確認してください。
会計ソフトの自動仕訳を検証する
銀行連携では入金額しか取得できず、差額を自動的に支払手数料へ振り分けるルールが設定されていることがあります。源泉徴収ありの入金は通常の振込差額と分けてください。専用ルールを設け、事業主貸等の正しい補助科目へ修正します。
- 業務委託契約書・発注書
- 発行した請求書
- 支払通知書・振込明細
- 通帳・銀行取引明細
- 源泉徴収税額の補助簿
- 受領した支払調書
- 支払者との訂正・照会記録



支払調書が届いてから整理するのではなく、入金ごとに源泉徴収台帳へ追加しましょう。売掛金消込と同時に行えば、年末の漏れを減らせます。
源泉所得税と売掛金の仕訳に関するよくある質問
源泉徴収後の入金額だけを売上にしてよいですか?
入金額だけを売上にすると、源泉徴収された所得税等の分だけ売上が少なくなります。売上時に請求総額を売掛金・売上として計上し、入金時に預金と源泉徴収税額の合計で売掛金を消し込むのが基本です。
源泉徴収税額は支払手数料になりますか?
源泉徴収税額は通常の支払手数料ではなく、受取人の所得税等の前払いとして確定申告で精算する金額です。個人事業主では事業主貸等で管理する方法があるため、使用科目は会計ソフトや税理士の方針に従ってください。
消費税にも10.21%を掛けますか?
原則は消費税等を含む支払額が対象ですが、請求書等で報酬額と消費税等が明確に区分されている場合は、報酬額のみを対象としても差し支えないと国税庁は説明しています。自社の請求表示と支払者の計算を確認してください。
個人事業主への支払いはすべて源泉徴収されますか?
すべてではありません。原稿料、講演料、弁護士・税理士等の報酬など法令で定められた報酬・料金等か、支払者が源泉徴収義務者かを確認します。業務名だけで判断が難しい場合は税務署や税理士へ相談してください。
支払調書が届かないと確定申告できませんか?
支払調書がなくても、請求書、支払通知書、通帳、契約書、自社の源泉徴収台帳から支払額と源泉徴収税額を確認して申告準備を進めます。記録が食い違う場合は、支払者へ内訳を照会してください。
入金額が計算より少ない場合はどうしますか?
源泉徴収税額、振込手数料、値引き、相殺、請求漏れを分けて確認します。支払者の支払通知書と自社請求書を照合し、原因が確定するまで差額を売上値引や雑損失へ振り替えないでください。
まとめ
源泉所得税が差し引かれた売掛金は、売上時に請求総額で計上し、入金時に手取額と源泉徴収税額を合わせて消し込みます。差し引かれた税額は経費ではなく、確定申告で精算する前払税額として追跡します。
請求書では報酬・消費税・源泉徴収税額・手取額を分かりやすくし、支払通知書と通帳を請求書番号別に照合してください。対象報酬、支払者、税率、100万円超部分等の扱いは一律ではないため、国税庁の最新情報と個別事情を確認します。

