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売掛金(未収入金)の内訳書は、法人税申告時に、決算日時点の売掛金と未収入金を相手先別に示す勘定科目内訳明細書です。売掛金元帳をそのまま添付する書類ではありません。
国税庁の現行様式では、相手先別期末現在高が50万円以上のものを個別に記載します。50万円以上が5口未満なら多額なものから5口程度を記載し、その他は一括します。記載対象が100口を超える場合は、多額なものから100口にまとめる方法などを選べます。合計額は貸借対照表の残高と一致させます。
- 内訳書の記載項目と準備資料
- 50万円基準と100口ルール
- 売掛金・未収入金の記載例
- 貸借対照表と残高を合わせる手順
- e-Tax用CSVを作る際の注意点
本記事は、国税庁が公開する「令和6年3月1日以後終了事業年度用」の様式と、2026年7月30日時点のe-Tax情報をもとに一般的な作成方法を解説します。個別の申告判断は、所轄税務署または税理士へ確認してください。
売掛金(未収入金)の内訳書とは
法人税申告書に添付する勘定科目内訳明細書の一つ
「売掛金(未収入金)の内訳書」は、法人が法人税申告時に提出する勘定科目内訳明細書の一つです。国税庁の現行様式では、複数ある内訳書のうち「③売掛金(未収入金)の内訳書」として用意されています。
内訳書を作る目的は、貸借対照表に計上した売掛金・未収入金について、誰に対する債権がいくら残っているかを決算日時点で示すことです。請求書の発行履歴や1年間の全取引を並べる書類ではありません。
売掛金と未収入金の期末残高の内訳を示す
対象となる金額は、原則として事業年度終了日現在の残高です。3月決算法人なら3月31日、12月決算法人なら12月31日時点の残高を取引先ごとに集計します。
売掛金は通常の営業取引から生じた未回収代金、未収入金は固定資産の売却など営業取引以外から生じた未回収金です。同じ様式を使いますが、科目欄で売掛金・未収入金を区別します。
売掛金元帳や得意先元帳とは目的が違う
売掛金元帳は、取引先ごとの売上発生、入金、残高を日常的に管理する補助簿です。内訳書は、元帳から決算日時点の残高を抜き出し、国税庁の記載基準に沿ってまとめた申告添付書類です。
| 書類 | 主な目的 | 記載する内容 |
|---|---|---|
| 売掛金元帳・得意先元帳 | 日常の債権管理 | 発生日、請求額、入金額、残高 |
| 請求一覧 | 請求・回収状況の管理 | 請求番号、請求日、支払期限等 |
| 売掛金(未収入金)の内訳書 | 法人税申告時の残高内訳 | 相手先、期末現在高、摘要等 |
内訳書を作成する前に準備する資料
内訳書へ直接入力する前に、貸借対照表と補助元帳を確定します。先に相手先一覧だけを作ると、決算整理仕訳や入金の消込が反映されず、合計が一致しないことがあります。
- 決算確定後の貸借対照表・試算表
- 売掛金元帳・未収入金補助元帳
- 相手先の正式名称・所在地・番号が分かる資料
貸借対照表・試算表
決算確定後の貸借対照表または試算表から、売掛金と未収入金の期末残高を確認します。この金額が、内訳書で一致させるべき基準額です。
税抜経理、税込経理、消費税の決算整理、貸倒引当金などの処理によって表示科目が変わる場合があります。内訳書を作る前に決算整理仕訳が反映されているか確認してください。
売掛金元帳・得意先元帳
売掛金を相手先別に集計するために使います。売上を相手先別の補助科目で管理していない場合は、請求一覧や未入金一覧と照合して取引先別残高を作ります。
同じ取引先に本店・支店の残高がある場合、契約相手や請求先の管理単位を確認します。自社内の管理名が重複していると、同一相手先を二重に数えることがあります。
未収入金の補助元帳
未収入金は、取引先だけでなく発生原因を確認します。固定資産売却代金、保険金、補助金など、内容に応じて摘要欄へ取引内容を記載するためです。
売掛金と未収入金の区分が曖昧な場合は、売掛金と未収入金の違いを確認し、取引実態に基づいて整理します。
取引先名称・所在地が分かる資料
請求書、取引先台帳、契約書、法人番号公表サイトなどで、正式名称と所在地を確認します。現行様式では登録番号または法人番号を記載すれば名称・所在地を省略できますが、番号の入力誤りを防ぐため、元資料を残しておきます。
売掛金内訳書の記載項目
国税庁の現行様式には、次の項目があります。
| 記載欄 | 記載内容 | 確認資料 |
|---|---|---|
| 科目 | 売掛金、未収入金など | 試算表・補助元帳 |
| 登録番号(法人番号) | 相手先の番号 | 請求書・法人番号公表情報 |
| 相手先の名称(氏名) | 法人名・屋号・個人名 | 取引先台帳 |
| 相手先の所在地(住所) | 本店所在地・住所等 | 請求書・取引先台帳 |
| 期末現在高 | 決算日時点の相手先別残高 | 補助元帳・未入金一覧 |
| 摘要 | 未収入金の取引内容等 | 契約書・仕訳証憑 |
科目
売掛金と未収入金を同じ様式へ記載するため、各行がどちらの科目かを示します。会計ソフトで「未収金」など別名を使っている場合も、申告書や貸借対照表との対応が分かるようにします。
相手先の名称・所在地
法人は正式名称、個人は氏名を記載します。所在地・住所も取引先台帳と照合します。現行様式の注記では、登録番号または法人番号を記載した場合、相手先の名称と所在地を省略できます。
ただし、番号を記載しただけで相手先別の行そのものを省略できるわけではありません。期末現在高や科目は必要です。
期末現在高
決算日時点で未回収となっている残高を記載します。決算日後に入金された金額でも、決算日時点で未回収なら原則として期末残高に含まれます。
反対に、決算日前に入金済みなのに未消込の金額が残っていれば、元帳を修正してから内訳書を作ります。内訳書側だけを減額すると帳簿と不一致になります。
摘要
現行様式の注記では、未収入金について取引内容を摘要欄へ記載します。「車両売却代金」「保険金」など、残高が生じた理由を簡潔に示します。
売掛金についても、通常の取引と異なる事情や集約方法を説明する必要がある場合は、摘要欄を活用します。具体的な書き方が不明な場合は税務署・税理士へ確認してください。
50万円基準と100口ルール
50万円基準は、内訳書の合計から50万円未満を除く制度ではありません。個別に記載する相手先を決める基準です。「その他」への一括記載を含め、売掛金・未収入金の全体残高を内訳書に反映します。
- 50万円以上は相手先別に記載
- 5口未満なら多額なものから5口程度
- 個別記載しない残高もその他へ含める
相手先別期末残高50万円以上を各別に記載する
国税庁の現行様式では、相手先別期末現在高が50万円以上のものを個別に記載します。ここでいう金額は通常、1件の請求額ではなく、決算日時点の相手先別残高です。
同じ取引先に請求書が3件あり、各30万円で合計90万円残っているなら、相手先別残高は90万円です。請求書1件が50万円未満だからといって個別記載の対象外にはなりません。
50万円以上が5口未満なら多額なものから5口程度を記載する
50万円以上の相手先が5口に満たない場合、現行様式の注記では、期末現在高の多額なものから5口程度を記載します。
たとえば50万円以上が2社だけでも、その2社だけで終えるとは限りません。50万円未満の相手先から残高の大きいものを加え、5口程度を個別記載する考え方です。
その他の相手先は一括記載する
個別記載しなかった相手先の残高は、「その他」などとして一括記載します。この一括額を含めた総額が、貸借対照表の売掛金・未収入金残高と一致するようにします。
したがって「50万円未満は内訳書に書かなくてよい」という理解は不正確です。個別行にしない相手先も、残高合計からは除きません。
記載対象が100口を超える場合の簡素化
現行様式では、記載すべき口数が100口を超える場合、次のいずれかの方法が認められています。
- 期末現在高の多額なものから100口を記載し、100口目に残りを一括して記載する
- 自社の支店・事業所別などで期末現在高を集計して記載する
1の方法では、100番目の相手先だけを100口目に書くのではありません。100口目に、50万円未満の相手先を含む残りの金額をまとめます。様式の注記に沿って集約方法が分かるように記載してください。
売掛金と未収入金の合計口数で判断する
100口超かどうかは、売掛金だけ、未収入金だけで別々に判定するのではなく、両科目の合計口数で判断します。売掛金90口、未収入金15口なら合計105口です。
e-Taxで提出する場合も、売掛金と未収入金を科目別の別ファイルに分けるのではなく、同じ内訳書データとして扱います。
売掛金(未収入金)の内訳書の記載例
以下はルールを理解するための架空例です。実際は自社の帳簿、現行様式、申告方法に合わせてください。
売掛金を取引先別に記載する例
決算日時点の売掛金残高が次のようになっているとします。
| 相手先 | 期末残高 |
|---|---|
| 青空商事株式会社 | 1,200,000円 |
| 東山物産株式会社 | 760,000円 |
| 西海販売株式会社 | 520,000円 |
| 北川企画株式会社 | 340,000円 |
| 南野工業株式会社 | 280,000円 |
| その他8社 | 400,000円 |
| 合計 | 3,500,000円 |
50万円以上の3社を個別記載します。50万円以上が5口未満なので、残高の多い北川企画と南野工業を加えて5口程度とし、残る8社400,000円を「その他」として一括記載します。
| 科目 | 相手先 | 期末現在高 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 青空商事株式会社 | 1,200,000円 | |
| 売掛金 | 東山物産株式会社 | 760,000円 | |
| 売掛金 | 西海販売株式会社 | 520,000円 | |
| 売掛金 | 北川企画株式会社 | 340,000円 | |
| 売掛金 | 南野工業株式会社 | 280,000円 | |
| 売掛金 | その他8社 | 400,000円 | 一括記載 |
| 売掛金計 | 3,500,000円 |
個別行とその他を足した3,500,000円が、貸借対照表の売掛金残高と一致することを確認します。
小谷良太記載例では、個別5口だけで終わらず『その他』まで足すのがポイントです。作業表にはその他の相手先別内訳も残しておくと差額調査が早くなります。
未収入金の取引内容を摘要に記載する例
| 科目 | 相手先 | 期末現在高 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 光丘自動車株式会社 | 880,000円 | 旧営業車両売却代金 |
| 未収入金 | 山川損害保険株式会社 | 310,000円 | 保険金 |
| 未収入金計 | 1,190,000円 |
未収入金は、本業の売上代金ではないため、摘要に何の未回収金かを記載します。補助金・助成金等の計上時期や科目は個別事情で異なるため、税理士等へ確認してください。
その他の相手先を一括記載する例
「その他10社 600,000円」と記載した場合、その600,000円を構成する取引先別一覧は社内資料として保存します。申告書の行数を減らしても、帳簿上の根拠まで省略するわけではありません。
内訳書の合計が合わないとき、その他の内訳がないと確認に時間がかかります。作業表には、個別記載・一括記載の区分を残しましょう。
100口を超える場合の記載例
売掛金110口、未収入金5口で合計115口ある場合、金額の多いものから99口を個別記載し、100口目へ残る16口分をまとめる方法が考えられます。
| 行 | 記載内容 |
|---|---|
| 1〜99口目 | 期末現在高の多い相手先を個別記載 |
| 100口目 | 残り16口分を一括記載 |
残りには50万円未満の相手先も含めます。支店・事業所別で集計する方法を選ぶ場合は、自社の集計単位と帳簿の対応が追えるようにしてください。
売掛金・未収入金・売掛金元帳の違い
売掛金は本業の営業取引による未回収代金
商品販売やサービス提供など、通常の営業取引で代金を後日回収する場合に売掛金を使います。請求書を出したかどうかだけでなく、売上を計上すべき時期と回収状況に基づきます。
未収入金は本業以外の取引による未回収金
固定資産の売却代金など、本業以外の取引から生じた未回収金に使われます。売掛金と名称が似ていますが、取引の性質が違います。
売掛金元帳は日々の発生・回収を管理する帳簿
元帳は売掛金の増減を継続的に記録します。売掛金の基礎を押さえ、取引先別に売上と入金を記録しておくと、決算時の内訳書作成が容易になります。
内訳書は決算日時点の残高内訳
内訳書は、日々の取引履歴を全て表示するのではなく、決算日時点で残っている金額を相手先別にまとめます。決算日後の入金は、期末残高が実在したことを確認する資料にはなりますが、決算日時点の残高をゼロにするものではありません。
貸借対照表と内訳書の残高を照合する手順
科目ごとの期末残高を確認する
決算整理後の試算表から、売掛金と未収入金の金額をそれぞれ転記します。連結前、部門別、税抜処理前など途中の帳票を使わないよう、決算確定版の日時とファイル名を記録します。
取引先別残高を合計する
補助元帳の残高を取引先別に並べ、マイナス残高や相手先未設定を抽出します。マイナスは入金の過計上、前受金、取引先の誤りなどが考えられるため、内訳書で相殺せず原因を確認します。
一括記載分を含めて貸借対照表と一致させる
個別記載分+その他一括分=科目合計になるかを確認します。売掛金と未収入金の両方を合算した総額だけでなく、それぞれの科目別にも照合してください。
- 個別記載分+その他=科目合計
- 売掛金と未収入金を科目別にも照合
- 差額は内訳書だけでなく帳簿側から原因確認
消込漏れ・貸倒処理・翌期入金を確認する
売掛金の消込漏れ、入金の重複登録、取引先の付け違いを確認します。長期間残っている債権について貸倒処理が必要かは、税務上の要件があるため自己判断で内訳書から除かず、税理士等へ相談します。
決算日後の通帳を確認し、翌期入金額が期末残高と対応するかを見る方法も有効です。ただし、翌期入金の有無だけで会計・税務処理を確定しないでください。
e-Tax用CSVを作成する場合
売掛金と未収入金を1ファイルで提出できる
e-TaxのFAQでは、売掛金と未収入金を勘定科目ごとの別ファイルにせず、一つのCSVファイルで提出することが案内されています。科目欄によって各行を区別します。
行区分・文字数・入力形式を守る
CSVは表計算ソフトで見た目が整っていても、項目順、桁数、文字種、必須項目などが記録要領と違うと読み込めません。勘定科目内訳明細書のCSV記録要領の最新版を確認します。
法人番号・登録番号の桁、金額欄の形式、使用できない文字、空欄の扱いなどを、提出に使うe-Taxソフトのバージョンと合わせてください。
合計行と改ページの扱いを確認する
紙様式の見た目をそのままCSVへ転記するのではなく、記録要領で定められた行区分に従います。合計行、次葉、改ページに相当するデータの扱いも最新版の仕様を確認してください。
現行の記録要領とチェックコーナーを使う
e-TaxのCSV作成方法では、作成方法やチェック機能が案内されています。過年度に使ったCSVを流用する場合も、項目追加や仕様変更がないか確認してから当期データへ更新します。



CSVは見た目が整っていても仕様違いで読み込めないことがあります。提出年の記録要領とチェック結果をセットで保存しておくと安心です。
売掛金内訳書でよくある記載ミス
売掛金元帳の全明細をそのまま転記する
内訳書は決算日時点の相手先別残高を示す書類です。1年間の売上・入金明細をそのまま並べると、必要な残高内訳になりません。元帳を相手先別に集計してから記載します。
50万円未満をすべて除外して合計が合わない
50万円は個別記載の基準です。個別記載しない残高も「その他」に含めます。また、50万円以上が5口未満なら、多額なものから5口程度を記載する注記にも注意してください。



50万円未満を消してよいという意味ではありません。個別行にしない残高も『その他』へ入れ、貸借対照表と合うところまで確認してください。
未収入金の摘要を書かない
現行様式では、未収入金の取引内容を摘要欄へ記載します。売掛金と同じように相手先名と金額だけで終えないようにします。
貸借対照表と内訳書の合計が一致しない
決算整理前の元帳を使う、その他を除外する、取引先を二重集計するなどが主な原因です。内訳書を直接修正する前に、試算表・補助元帳・請求一覧のどこで差が生じたかを確認します。
古い様式・古いCSV要領を使う
国税庁の様式やe-Taxの記録要領は更新されることがあります。過去ファイルをコピーするときも、対象事業年度と改訂日を確認してください。
売掛金(未収入金)の内訳書に関するよくある質問
売掛金内訳書は個人事業主も提出しますか?
本記事で扱う「売掛金(未収入金)の内訳書」は、法人税申告に添付する勘定科目内訳明細書です。個人事業主の所得税申告で使う収支内訳書や青色申告決算書とは別です。個人の提出書類は申告方法に応じて確認してください。
売掛金がない場合も作成しますか?
売掛金・未収入金がない場合の提出方法は、利用する申告ソフトや他の内訳書の提出状況を含めて確認が必要です。空欄・該当なしの扱いをe-Taxの案内、税務署、税理士へ確認してください。
50万円未満の取引先は記載不要ですか?
一律に不要ではありません。50万円未満でも、50万円以上が5口未満なら多額なものから5口程度の個別記載対象になり得ます。それ以外の残高も「その他」として一括し、合計へ含めます。
100口を超える場合はどうしますか?
多額なものから100口を記載し、100口目に残額を一括する方法、または自社の支店・事業所別等で集計する方法があります。売掛金と未収入金の合計口数で判断します。
売掛金と未収入金は同じ内訳書に書けますか?
はい。現行様式は売掛金と未収入金を同じ内訳書に記載し、科目欄で区別します。e-TaxのCSVも科目別にファイルを分けず、一つのファイルで提出する案内があります。
貸借対照表と金額が合わない場合はどうしますか?
決算整理の反映、取引先別残高、その他一括分、消込、重複入力、科目振替を順番に確認します。内訳書だけを貸借対照表へ合わせるのではなく、帳簿との不一致原因を修正してください。
まとめ
売掛金(未収入金)の内訳書は、決算日時点の残高を国税庁の基準に沿って相手先別に示す書類です。作成時は次の5点を確認します。
- 対象事業年度に合う国税庁の現行様式を使う
- 売掛金・未収入金を科目別に整理する
- 50万円以上を個別記載し、5口未満・100口超の注記も確認する
- 個別記載しない残高も「その他」に含める
- 内訳書の合計を貸借対照表と一致させる
税務上の科目判断、貸倒処理、特殊な集約方法などは個別事情で結論が変わります。提出前に国税庁・e-Taxの最新版を確認し、不明点は所轄税務署または税理士へ相談してください。

