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売掛金を取引先振出の小切手で回収した場合、簿記上は一般に「現金」で受け取り、売掛金を消します。 借方が現金、貸方が売掛金です。
以前に自社が振り出した小切手を取引先から受け取り、売掛金の回収に充てた場合は、借方を当座預金、貸方を売掛金とするのが基本です。 振出人、受取日、取立依頼日、入金日を確認せず、すべて普通預金で処理しないでください。
- 他社振出小切手で売掛金を回収する仕訳
- 自社振出小切手が戻ってきた場合の仕訳
- 取立依頼・当座入金・不渡り時の処理
- 2027年3月末の電子交換終了へ向けた実務対応
売掛金を小切手で回収したときの基本仕訳
商品やサービスを掛けで販売すると、売上計上時に売掛金が発生します。後日、取引先から小切手を受け取れば、売掛金を減らします。
仕訳を決める主な事実は、次の4点です。
| 確認事項 | 仕訳への影響 |
|---|---|
| 小切手の振出人 | 他社振出か、自社振出が戻ったか |
| 受取日 | 売掛金を消す基準日 |
| 銀行への取立依頼日 | 手元現金から預金への移動 |
| 決済結果 | 正常入金か、不渡りか |
小切手を受け取った日と、銀行口座へ入金された日を同じ日にしないことが基本です。
日本商工会議所の簿記検定講評は、他人振出小切手を簿記上は現金として扱うと説明しています。受け取った時点で普通預金に入れず、取立依頼の時点で預金へ振り替えます。
取引の全体像
売上110,000円を掛けで計上し、後日、取引先振出の小切手で回収する架空例です。
売上時は、次の仕訳です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 110,000円 | 売上 | 100,000円 |
| 仮受消費税等 | 10,000円 |
小切手受取時に売掛金を消し、銀行へ持ち込んだ時に現金を当座預金などへ振り替えます。会計ソフトでは一つにまとめず、実際の日付へ合わせます。
他社振出小切手で回収したときの仕訳
取引先または第三者が振り出した小切手を受け取る場合です。この記事では、すぐに取立てできる一般的な小切手を前提にします。
小切手受取時
売掛金110,000円の回収として、取引先振出の小切手110,000円を受け取った場合です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 110,000円 | 売掛金 | 110,000円 |
他社振出小切手は、紙幣や硬貨ではなくても、簿記上は現金として扱うのが基本です。
現金出納帳では、通貨と小切手を補助項目で分けると、金庫の現金実査と一致させやすくなります。日本商工会議所の講評も、補助簿では他人振出小切手と通貨を区別して管理する必要性に触れています。
銀行へ取立依頼したとき
受け取った小切手を取引銀行へ預け入れ、当座預金へ入金する場合です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 110,000円 | 現金 | 110,000円 |
会社が普通預金へ入金する契約なら、借方は普通預金です。銀行明細の入金日と、取立依頼日・資金利用可能日が異なる場合は、自社の会計方針に従います。
金融機関によっては、取立中を「未取立小切手」「預け金」などで管理することがあります。期末をまたぐ重要な金額は、残高証明と取立状況を照合し、税理士や会計士へ確認してください。
取立手数料が差し引かれたとき
小切手110,000円を取立て、手数料550円が普通預金から引かれた架空例です。手数料が別途引落しなら、次のように分けます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 110,000円 | 現金 | 110,000円 |
| 支払手数料 | 500円 | 普通預金 | 550円 |
| 仮払消費税等 | 50円 |
手数料の消費税区分は、金融機関の明細やインボイスを確認します。小切手の額面から差し引かれて入金された場合も、額面全額を現金から振り替え、手数料を別に計上すると照合しやすくなります。
小切手の一部だけが売掛金回収の場合
額面200,000円の小切手のうち、売掛金150,000円を回収し、残り50,000円が前受金である例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 200,000円 | 売掛金 | 150,000円 |
| 前受金 | 50,000円 |
額面だけで売掛金全額を消さず、取引先から受け取った内訳書や入金連絡を確認します。
- 振出人と支払金融機関
- 小切手番号・額面・振出日
- 売掛金へ充当する請求書番号
- 受取日・取立依頼日・入金日
- 手数料と不渡りの有無
自社振出小切手が戻ってきたときの仕訳
以前、自社が仕入先などへ振り出した小切手が、別の取引を経て自社へ戻り、売掛金の回収に使われる場合があります。
自社が小切手を振り出した時点で、通常は当座預金を減らしています。その小切手が戻れば、銀行から支払われる必要がなくなるため、当座預金を戻します。
自社振出時の仕訳
仕入代金110,000円を自社振出小切手で支払った架空例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 110,000円 | 当座預金 | 110,000円 |
自社振出小切手で売掛金を回収した時
その小切手が取引先から戻り、売掛金110,000円へ充当された場合です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 110,000円 | 売掛金 | 110,000円 |
自社振出小切手が戻った場合は「現金」ではなく、先に減らした当座預金を戻します。
会計ソフトで普通預金しか使っていない会社でも、小切手がどの口座から振り出されたかを確認してください。実際の銀行口座と異なる科目へ戻すと、銀行残高と帳簿が一致しません。
自社振出か判断できない場合
小切手表面の振出人名、支払銀行、口座情報、小切手番号を確認します。自社の小切手帳控えや当座勘定照合表と照合してください。
取引先名が記載されていても、振出人が取引先とは限りません。第三者から受け取った小切手を取引先が裏書・交付している可能性もあります。
小谷良太小切手を受け取ったら、まず振出人を見ます。取引先名だけで他社振出と決めず、小切手帳控えと当座明細まで確認すると誤仕訳を防げます。
先日付小切手・預金小切手・線引小切手の注意点
小切手の種類や記載によって、換金方法や管理上の注意が変わります。
先日付小切手
先日付小切手は、実際の受取日より後の日付が振出日として記載された小切手です。実務上、振出人との合意で指定日まで取立てを待つことがあります。
受取時に現金とするか、別の債権科目で管理するかは、換金可能性、契約、重要性、会計方針を確認します。単に簿記問題の仕訳を当てはめず、税理士や会計士へ相談してください。
指定日まで実質的に資金化できないなら、通常の即時取立可能な小切手と同じ資金として扱わない方が安全です。
資金繰り表でも、受取日に入金せず、実際に利用可能となる見込日へ置きます。
預金小切手
預金小切手は、金融機関が振出人となる小切手です。高額取引で使われることがありますが、真偽確認、受取方法、取立手続を金融機関へ確認します。
会計上の処理は取引実態に応じます。振込と同じ日に普通預金へ入ったとみなさず、受取・預け入れ・決済を証憑で追います。
線引小切手
小切手表面に平行線が引かれた線引小切手は、受取方法が制限されます。現金化の手続や本人確認は金融機関へ確認してください。
会計仕訳だけでなく、紛失・盗難を防ぐ保管、担当者以外による照合、受領書の発行を社内規程へ入れます。
電子記録債権は小切手と同じ仕訳ではない
でんさいなどの電子記録債権は、紙の小切手とは別の決済手段です。債権発生、譲渡、支払期日の処理を電子記録債権の科目・補助簿で管理します。
紙の小切手を廃止して振込やでんさいへ切り替える場合は、会計科目だけでなく、請求書、取引先マスター、承認手続も更新します。
小切手が不渡りになったときの処理
銀行へ取立依頼しても、残高不足、形式不備、支払停止などで支払われないことがあります。これを不渡りといいます。
全銀協の手形交換制度では、6か月間に2回の不渡りを起こした者について、2年間の当座預金取引・貸出取引を禁止する取引停止処分制度が運営されています。
不渡り判明時に確認すること
金融機関から返却された小切手、不渡理由、返却日、手数料を確認します。取引先へ連絡し、代替支払日と方法を書面で確認します。
不渡り時に「売掛金へ戻す」「不渡小切手」「不渡債権」など、どの科目を使うかは会社の科目体系によります。回収可能性と追加費用を明示できる科目を使います。
小切手110,000円が不渡りになり、不渡債権へ振り替える単純例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 不渡債権 | 110,000円 | 普通預金または現金 | 110,000円 |
銀行が一度普通預金へ入金し、後日取り消した場合は普通預金を貸方にします。まだ現金科目で保有していたなら現金を貸方にします。
取立手数料や遅延損害金を加算する場合は、契約と法的根拠を確認します。回収不能の可能性があるなら、売掛金の回収不能も参考にし、弁護士・税理士へ早めに相談してください。
売掛金を二重に計上しない
受取時に売掛金を消し、不渡り時に売掛金を戻す処理をすると、元の売掛明細と新しい債権が二重になることがあります。
請求書番号、小切手番号、不渡債権番号を連携し、残高は一つだけ残します。売掛金ロールフォワードで期首から期末の増減を照合してください。
- 銀行の不渡通知と返却小切手を保存する
- 帳簿上の小切手が現金か預金か確認する
- 不渡債権へ振り替え、二重残高を防ぐ
- 取引先の代替支払日と方法を書面化する
- 重要額は弁護士・税理士・金融機関へ相談する
小切手回収の内部統制と月末照合
小切手は紙の証券なので、受取から取立までの紛失・盗難・改ざんリスクがあります。仕訳の正しさだけでなく、現物管理を整えます。
受領時に控えを残す
振出人、額面、番号、振出日、受取日、担当者、充当請求書を記録します。可能な範囲で写しを保存し、アクセス権を制限します。
保管と取立を分ける
金庫保管者と銀行持込者を分け、受渡記録を残します。長期間保管せず、金融機関へ取立可能日と期限を確認します。
現金出納帳と現物を照合する
現金勘定に含まれる他社振出小切手を一覧化します。現金実査では、紙幣・硬貨と小切手を別に数えます。
月末に次の式を確認します。
帳簿上の現金=通貨現物+手元の他社振出小切手+その他の通貨代用証券
会社の現金定義に従い、銀行へ預け入れ済みの小切手を手元現金へ残さないでください。
売掛金元帳と照合する
小切手受取日に売掛金を消し、請求書番号へ充当します。額面と請求額が異なる場合は、前受金、値引き、相殺、複数請求の合算を確認します。
売掛金元帳と売掛金の消込を使い、得意先別残高と現物を対応させます。



小切手の仕訳は二段階です。受取日に売掛金を消し、取立依頼日に現金を預金へ振り替えると、現物と帳簿の場所が一致します。
2027年3月末の電子交換終了へ向けた対応
全国銀行協会は、2027年3月31日をもって電子交換所における手形・小切手の交換を廃止すると案内しています。
2027年度初から小切手が法律上ただちに使用不能になるという意味ではありませんが、金融機関ごとに取扱いが変更される可能性があります。
全銀協によると、最終振出期限を公表している金融機関の多くが2026年9月30日を期限としており、2026年10月1日以降に振り出された小切手は、対象金融機関で原則として当座勘定から支払えない場合があります。
自社の金融機関へ確認する
最終振出日、最終取立受付日、個別取立、手数料、当座預金口座の扱いを確認します。取引銀行が複数ある場合は、一覧表を作ります。
取引先と代替手段を決める
銀行振込、口座振替、でんさいなどの候補から、支払日、手数料負担、承認手続、通知方法を合意します。小切手から振込へ変えると、受取時の現金仕訳は不要になります。
会計・請求システムを更新する
取引先マスターの支払方法、入金予定、消込ルールを変更します。未使用小切手帳の管理、印鑑、当座預金の権限も見直します。
移行期間中の二重ルールを防ぐ
取引先ごとに切替日を記録し、旧小切手と新振込の両方を誤って入金予定へ入れないようにします。小切手回収済みの売掛金へ振込があった場合は、過入金として原因を確認します。
売掛金の小切手回収に関するよくある質問
小切手の仕訳と管理で迷いやすい点を整理します。
売掛金を他社振出小切手で回収した仕訳は?
一般的には、借方を現金、貸方を売掛金として、受取日に記帳します。銀行へ預け入れた時に、借方を当座預金または普通預金、貸方を現金として振り替えます。
他社振出小切手を受け取った日に普通預金にしてもよいですか?
受取時点ではまだ銀行口座へ入っていないため、一般には現金で処理します。即日預け入れでも、受領と預入れの事実を二段階で記録すると現物管理が明確です。
自社振出小切手が戻った場合の仕訳は?
借方を当座預金、貸方を売掛金とするのが基本です。自社振出時に減らした当座預金を戻すためです。小切手帳控えと当座明細で自社振出か確認してください。
先日付小切手も現金で処理しますか?
換金可能性、当事者の合意、重要性、会計方針によります。指定日まで実質的に資金化できない場合は、通常の即時取立可能な小切手と分けて管理し、税理士・会計士へ確認してください。
小切手が不渡りになったら売掛金へ戻しますか?
不渡債権などへ振り替える方法があります。銀行が入金を取り消したのか、現金科目で保有中だったのかにより貸方が変わります。元の売掛金と二重計上しないよう請求書番号を連携します。
2027年4月から小切手は使えませんか?
2027年3月31日で電子交換所の交換は終了しますが、全銀協は、2027年度初から小切手そのものがただちに使用不能になるわけではないと説明しています。取扱いは金融機関ごとに変わる可能性があるため、最終振出・取立期限を確認してください。
まとめ
売掛金を他社振出小切手で回収したら、一般に借方を現金、貸方を売掛金とします。銀行へ取立依頼した時に、現金を当座預金または普通預金へ振り替えます。
自社振出小切手が戻った場合は、先に減らした当座預金を戻します。不渡りや先日付小切手は、通常の回収と分けて管理し、重要額は専門家へ確認してください。
仕訳の起点は小切手の振出人と実際の日付です。受取日・取立依頼日・入金日を証憑と一致させてください。
紙の手形・小切手と資金化の違いは、手形割引とファクタリングでも解説しています。



2026年は移行期限の確認が必要です。自社の帳簿だけでなく、取引銀行と取引先の切替日を一覧にして、振込などへの変更を早めに進めましょう。
参考にした公的・公式情報
- 日本商工会議所「第146回簿記検定試験 3級 出題の意図・講評」(2026-07-30確認)
- 日本商工会議所「第137回簿記検定試験 3級 出題の意図・講評」(2026-07-30確認)
- 全国銀行協会「電子交換所」(2026-07-30確認)
- 全国銀行協会「手形・小切手の電子化に関する抜本的な取組み」(2026-07-30確認)
- 全国銀行協会「手形交換制度」(2026-07-30確認)

