本記事は広告・PRを含みます。配布する資金繰り表は日常管理用の簡易テンプレートです。銀行、日本政策金融公庫、信用保証協会等へ提出する場合は、提出先の指定様式と案内を優先してください。個別の融資判断、会計・税務処理は、金融機関や税理士等へ確認してください。
資金繰り表をゼロからExcelで作るのは大変なので、無料で使える月次12か月のテンプレートを用意しました。
開始月と現預金残高を入れ、黄色いセルへ毎月の入金・支出を入力すると、当月収支、翌月繰越残高、最低予測残高、不足月数が自動計算されます。「使い方」「月次資金繰り表」「記入例」の3シート入りです。
利益ではなく、支払日に使える現金が足りるかを12か月先まで確認できるExcelテンプレートです。
この記事では、無料テンプレートの使い方、資金繰り表の項目、記入方法、銀行へ提出するときの注意点を解説します。用語の意味から確認したい方は、資金繰りの読み方と資金繰り表の見方も参考にしてください。
資金繰り表テンプレートを無料ダウンロード
本テンプレートは、会員登録なしで使えるExcelファイルです。以下のボタンからダウンロードできます。
- 使い方:入力手順、色の意味、提出時の注意
- 月次資金繰り表:空欄の12か月テンプレート
- 記入例:売掛金回収、仕入、人件費、納税、借入返済等を入力した見本
- 自動計算:営業収支、経常外収支、財務収支、当月収支、翌月繰越残高
- 警告表示:最低必要資金を下回る月を赤色で表示
黄色いセルだけ入力する
入力が必要なのは、開始月、開始時の現預金残高、月ごとの入金・支出、最低必要資金です。黄色いセルへ金額を入力してください。
入金と支出は、どちらも正の金額で入力します。たとえば外注費30万円なら「300000」と入力し、マイナス記号は付けません。支出を差し引く計算はテンプレート側で行います。
翌月繰越残高は自動でつながる
1か月目の翌月繰越残高が、2か月目の前月繰越残高になります。途中の数式を上書きしなければ、12か月分が連動します。
記入例では、開始時の現預金300万円から、毎月の入出金、納税、設備投資、新規借入、元金返済を反映しています。赤く表示された月は、月末残高が最低必要資金を下回る月です。
資金繰り表とは現金の入出金を時系列で見る表
資金繰り表とは、一定期間の現金収入と現金支出を並べ、今後の現預金残高を確認する表です。月次、週次、日次などの形式がありますが、通常の経営管理では月次表から始めると全体をつかみやすくなります。
J-Net21の解説でも、一定期間の現金収入・支出を分類・集計し、現金の過不足を把握する表と説明されています。Excelで合計や繰越が自動修正される形にしておくと、毎月更新しやすくなります。
損益計算書との違い
損益計算書は、一定期間の売上・費用・利益を示します。資金繰り表は、実際にいつ現金が入り、いつ出るかを示します。
たとえば、8月に100万円を売り上げても、入金が10月末なら、8月と9月の支払いには使えません。反対に、借入金500万円が入金されれば現金は増えますが、売上や利益が500万円増えるわけではありません。
| 取引 | 損益計算書 | 資金繰り表 |
|---|---|---|
| 掛け売上100万円 | 売上計上月へ反映 | 実際の入金予定月へ反映 |
| 借入500万円 | 原則として収益ではない | 入金月の財務収入へ反映 |
| 借入元金返済30万円 | 原則として費用ではない | 返済月の財務支出へ反映 |
| 設備購入200万円 | 減価償却等で期間配分 | 支払月の現金支出へ反映 |
黒字でも、売掛金の入金前に給与・仕入・返済が来れば現金は不足します。資金繰り表は、この時間差を見つけるための表です。
キャッシュフロー計算書との違い
キャッシュフロー計算書は、過去の一定期間における現金増減を、営業・投資・財務活動へ区分して示す財務諸表です。資金繰り表は、過去実績に加えて今後の予定を月別・週別等に並べ、将来の不足時期を予測するために使います。
資金繰り表テンプレートの項目
日本政策金融公庫の記入例には、前月繰越金、現金売上、売掛金回収、仕入・買掛金支払、人件費、借入・返済、経常外収支、翌月繰越金等が並んでいます。
本テンプレートも、その基本構造を日常管理向けに簡略化しました。
| 区分 | 主な項目 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 前月繰越 | 現金・普通預金・当座預金 | 通帳、ネットバンキング |
| 営業収入 | 売掛金回収、現金売上、その他収入 | 請求書、入金予定表、契約書 |
| 営業支出 | 仕入、外注、人件費、家賃、経費、税金・社会保険 | 支払予定表、給与台帳、納付書 |
| 経常外収支 | 設備売却、設備投資、臨時支出 | 見積書、契約書、支払予定 |
| 財務収支 | 新規借入、借入元金返済 | 返済予定表、融資契約書 |
| 残高 | 当月収支、翌月繰越、最低必要資金との差 | テンプレートで自動計算 |
売掛金回収は入金予定月へ入れる
売掛金は、売上を計上した月ではなく、実際に入金される予定月へ入力します。月末締め翌月末払い、翌々月末払いなど、取引先ごとの条件を確認してください。
支払いサイトの日数が分からない場合は、支払いサイトの計算方法で締め日と支払日を整理できます。
借入と返済は売上・経費と分ける
新規借入は財務収入、元金返済は財務支出へ入れます。利息は会社の管理方法に応じて営業支出または財務支出へ置きますが、毎月同じルールで集計してください。
元金返済を入れ忘れると、利益は出ているのに月末残高だけが減る原因を把握できません。
資金繰り表の作り方5ステップ
1. 開始月と現預金残高を入力する
最初に、作成を始める月と、その時点の現金・預金残高を入力します。複数口座がある場合は、事業に使える口座残高を合計してください。
借入専用口座、定期預金、預り金などを含めるかは、途中で範囲が変わらないように決めます。
2. 入金予定を月別に入れる
確定した請求書、契約、入金予定表から、売掛金回収を月別に入力します。まだ受注していない売上や審査前の融資は、確定入金と同じ扱いにしません。
入金確度が低い金額を含める場合は、別の行へ分けるか、保守的な金額で作ると不足を見落としにくくなります。
3. 支出予定を月別に入れる
仕入、外注、人件費、家賃、通信費、広告費、税金、社会保険等を支払月へ入力します。クレジットカードで使った月ではなく、口座から引き落とされる月へ入れるのがポイントです。
4. 借入・返済・設備投資を入れる
返済予定表から元金返済額を転記し、新規借入が確定している場合は入金月へ入れます。設備購入、敷金、保険の年払い、賞与など臨時支出も忘れずに反映します。
5. 翌月繰越残高と不足額を確認する
計算は次の流れです。
“text
営業収入-営業支出=経常収支
経常収支+経常外収支+財務収支=当月収支
前月繰越残高+当月収支=翌月繰越残高
翌月繰越残高-最低必要資金=余裕/不足
“
不足月がある場合は、金額だけでなく、何月から不足するかを確認します。時期が分かれば、回収交渉や融資相談を前倒しできます。
記入例で計算を確認
開始時の現預金が300万円で、9月の入出金が次のとおりだとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売掛金回収 | 180万円 |
| 現金売上 | 20万円 |
| 営業収入計 | 200万円 |
| 仕入・外注・人件費・家賃・その他経費・税社保 | 214万円 |
| 経常収支 | ▲14万円 |
| 借入元金返済 | 18万円 |
| 当月収支 | ▲32万円 |
| 翌月繰越残高 | 268万円 |
利益が出ていても、借入元金返済や納税で現金が減る月があります。本テンプレートの記入例では、設備投資や税金の支払いが重なる月に最低必要資金を下回り、赤色で表示されます。
重要なのは、赤字表示を見てから慌てることではありません。何月に、いくら不足するかが分かった時点で、対策の期限を決めることです。
資金繰り表へ入れ忘れやすい支出
借入金の元金返済
借入元金返済は損益計算書上の費用ではありませんが、預金は減ります。返済予定表を確認し、元金と利息の合計額が支払日に用意できるか見てください。
税金・社会保険・賞与
消費税、法人税、所得税、住民税、社会保険料、賞与は、毎月同額でないため漏れやすい支出です。納付書や前年実績を見て、概算でも先に置きます。
クレジットカードと口座振替
カード利用日ではなく引落日に現金が減ります。通信費、広告費、仕入、クラウドサービス等が複数カードに分かれている場合は、明細ごとに引落月を確認してください。
設備投資・敷金・保険料
設備代金、敷金・保証金、保険の年払い、更新料などは、通常月の経費だけを見ていると抜けます。見積書や契約書から支払日を転記します。
売掛金の回収遅延
期日を過ぎた売掛金を「予定どおり入る」と置くと、資金繰り表が楽観的になります。売掛金滞留の確認方法を参考に、遅れている取引先は入金予定を見直してください。
月次・週次・日次の使い分け
J-Net21の資金繰り表を活用するでは、過去実績を基に3~6か月先の資金状況を予見する考え方が紹介されています。
本テンプレートは、納税、賞与、保険料、設備投資など年に数回の支出も確認できるよう、12か月の月次表にしています。
| 状況 | 向く期間 | 更新頻度 |
|---|---|---|
| 通常の経営管理 | 月次12か月 | 月1回以上 |
| 3か月以内に不足可能性 | 13週の週次 | 週1回以上 |
| 支払日が迫っている | 日次1~4週間 | 毎日 |
資金不足が近い場合、月末残高だけでは足りません。月中の給与日、返済日、納税日、入金日を並べた日次表も作ってください。
銀行・日本政策金融公庫へ提出するときの注意点
日本政策金融公庫の各種書式ページには、資金繰り表、簡易版、記入例が掲載されています。公庫への提出や相談では、最新の公式書式と担当者の案内を確認してください。
指定様式を優先する
本記事のExcelは、日常管理を始めやすくするための簡易版です。提出先から書式を指定された場合は、その様式へ転記します。
公庫相談に使う表の確認点は、日本政策金融公庫への相談時に使う資金繰り表で詳しく整理しています。
実績と予定を分ける
過去月は通帳や試算表と一致する実績、将来月は請求書、契約書、返済予定表等を根拠にした予定として分けます。未確定の売上や融資を予定へ入れた場合は、前提を説明できるようにします。
算出根拠を準備する
日本政策金融公庫の記入例でも、売上高、経常収支、経常外収支等の算出根拠を記載する欄があります。入金予定表、支払予定表、借入一覧、返済予定表をそろえ、金額がつながるようにしてください。
不足月が見つかったら行うこと
資金繰り表で不足月が見つかったら、次の順番で確認します。
- 入金予定の確度と日付を取引先へ確認する
- 滞留売掛金の回収を進める
- 今後の取引条件について支払いサイト短縮を相談する
- 支払先へ早めに条件相談する
- 金融機関へ運転資金を相談する
- 確定した売掛金がある場合はファクタリングも比較する
支払いサイト短縮交渉の進め方では、交渉前の準備と文書・メール例を確認できます。
融資が間に合わず、支払日までの時間が短い場合でも、最初から高コストな手段へ決め打ちしないでください。必要額、必要日、入金予定、返済または手数料負担を並べて比較します。
売掛金がある場合、ファクタリングは入金期日前に資金化する選択肢です。ただし、請求額がそのまま手元に残るわけではありません。手数料、契約方式、償還請求権や買戻し条件を確認してください。
資金繰り表テンプレートに関するよくある質問
資金繰り表テンプレートは無料で使えますか?
はい。本記事のExcelテンプレートは無料でダウンロードできます。使い方、空欄の月次12か月表、記入例の3シートを収録しています。
資金繰り表はExcelで作れますか?
作れます。月を横軸、入出金項目を縦軸に並べ、収入計、支出計、当月収支、翌月繰越残高を数式で連動させます。本記事のテンプレートでは黄色セルへの入力だけで自動計算されます。
資金繰り表に最低限必要な項目は何ですか?
前月繰越残高、売掛金回収等の収入、仕入・人件費等の支出、借入・返済等の財務収支、当月収支、翌月繰越残高が最低限の項目です。
売上は発生月と入金月のどちらに入れますか?
資金繰り表では、原則として実際に現金が入る予定月へ入れます。売上を計上した月ではなく、請求書や契約で確認した入金予定日を基準にしてください。
借入金の元金返済も資金繰り表に入れますか?
入れます。元金返済は損益計算書上の費用ではありませんが、預金は減ります。返済予定表を確認し、返済月へ記入します。
資金繰り表は何か月先まで作ればよいですか?
まず3~6か月先を確認し、納税・賞与・保険料・設備投資など年に数回の支出も見るなら12か月表が便利です。資金不足が近い場合は週次や日次の表も作ります。
このテンプレートを銀行や日本政策金融公庫へそのまま提出できますか?
提出先に指定様式がある場合は、その様式を優先してください。本記事のテンプレートは日常管理向けの簡易版です。提出時は実績と予定、算出根拠、返済予定表等との整合も確認します。
まとめ
資金繰り表は、利益を確認する表ではなく、支払日に使える現金が足りるかを確認する表です。
本テンプレートでは、黄色いセルへ月ごとの入出金を入力すると、当月収支、翌月繰越残高、最低必要資金との差が自動計算されます。最初から細かい科目を増やしすぎず、まず12か月の残高をつなげてください。
完璧な表を一度作るより、月1回更新し、不足月が見えたら早めに動く方が役立ちます。必要運転資金そのものを計算したい場合は、運転資金の計算方法もあわせて確認してください。
